デジタルアウターミラーは人の“目”に寄り添えるか? 【次世代の自動車を考える いまどき・これからのクルマ学】
カテゴリー: トレンド
タグ: レクサス / EDGEが効いている
2019/02/06
レクサスESが搭載した世界初の先進技術に迫る
デジタルアウターミラーは、最上位グレード“version L”のみにメーカーオプションという設定ながら、レクサスによれば「装着率は20%を超える」とのこと。
筆者的にはこの手の先進装備に敏感な『イノベーター』や『アーリーアダプター』層に受け入れられたと感じている。
最初のデジタルミラーは、VWが2013年にXL1という超燃費仕様車に『Eミラー』という形で装着したと記憶しているが、これは限定発売で日本には未導入。
もちろん2016年6月に改訂された道路運送車両法を受けての投入、つまり『カメラモニタリングシステム』の国際基準に追随することで、後述する自動車の開発と生産が行えるようになったわけだ。
基本的な構造や考えは多くのメディアで報道されているので詳細は割愛するが、試乗した印象をいえばレクサス側がアピールした狙いは、ほぼ満たしているといっていい。
カメラを使い車両後方を撮影することで死角を極力減らせる点や、夜間時における後続車からのヘッドライトの眩惑もデジタル技術で抑え解決している。
もう少しわかりやすくいえば、誰もが使っているスマートフォンのカメラの機能(HDRに代表されるダイナミックレンジをコントロールして美しい写真が撮れる)が大きく進化して車載されている、と考えてもあながち間違いではない。
一方、画像の鮮明度や何よりもインパネの両サイドに“ちょこん”と後付けされたようにも見える5インチのディスプレイに違和感を覚えた人もいるようだ。
ただ、この位置に設置することでミラー to ミラーは通常のドアミラーよりずっと狭くなる(右側59㎜、左側26㎜)。数値うんぬんよりも視線を動かす量が確実に減ったことは安全運転に大きく寄与する。
先行して多くの車に装着が始まっている『デジタルインナーミラー』も同様だが、どうしても焦点が甘くなりがちなのは、通常の鏡の場合、人間の目は反射したその先の物体までの距離を合わせるのに対し、デジタルミラーではディスプレイの表面に距離を合わせるという仕組みにある。
カメラがパンフォーカスであることや、そこまで細かい情報の取得と表示は、むしろミラーを凝視することになりかねない、ということからも現状ではまずまずの着地点。その点はメーカーが何重にも検証を行っている。
今後も技術の進化は継続的に続くはずだし、画像/物体認識技術は世界中のサプライヤーがチャレンジしている重要なビジネスである。
液晶画面の表示タイミングを制御する『TCON』や、液晶画面を駆動させる『LCDドライバー』もレベルを上げてくることで、品質はさらに高まる。
いずれにせよ、先進技術はあくまでも“五感”に忠実でなければならない。
つまり人間の身体は車のように大きな進化はできないのだ。ゆえにどれだけ人に寄り添いながら技術を磨くかが重要なのではないか、これが今、一番感じていることである。
※カーセンサーEDGE 2019年2月号(2018年12月27日発売)の記事をWEB用に再構成して掲載しています
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