▲自動車・カーライフに関する調査研究機関「リクルート自動車総研」の膨大な統計データを基に、ユーザーの購買行動や世の傾向を勝手に予想したり解説したりするコラム。今回は車に対する“感情”についての話。トヨタの社長が特別な愛着をもつというスープラ▲自動車・カーライフに関する調査研究機関「リクルート自動車総研」の膨大な統計データを基に、ユーザーの購買行動や世の傾向を勝手に予想したり解説したりするコラム。今回は車に対する“感情”についての話。トヨタの社長が特別な愛着をもつというスープラ

心の特別な場所を占める、親しい友人のような車

去る1月14 日 、北米デトロイトで行われたモーターショーで、新型トヨタ スープラが世界初披露された。

2002年に先代が生産終了してから17年ぶりの復活とあり、このニュースは多くのメディアで取り上げられていた。

3L直6ツインターボエンジンと後輪駆動(FR)を採用するなど、新型は名車の誉れ高い先代へのリスペクトが随所に込められたプロダクトとなっているようだ。

本項では同モーターショーで新型スープラのお披露目の舞台に立った、トヨタの豊田章男社長のスピーチに注目したい。

氏はそこで「それぞれの人生において、特別な愛着を持ち、あなたの心の中で特別な場所を占めるクルマが、1台はあると思います」

「私にとっては、それがスープラです(「2019北米国際自動車ショー トヨタプレスカンファレンス」より抜粋)」と語った。

豊田社長がマスタードライバー(テストドライバー)になるための訓練を、先代スープラで行っていたことが背景にあるという。

また、スピーチではスープラを“最も親しい友人”とも表現していた。

豊田社長が世界有数の自動車メーカーの代表取締役であることはさておき、我々にとっても、心の中で特別な場所を占める車は、人生を豊かにしてくれる存在だといえないだろうか。

見ただけで甘酸っぱい気持ちがよみがえったり、エンジンをかけるたびにワクワクしたり。

その存在の価値は、比喩ではない文字どおりでの“最も親しい友人”と変わらないかもしれない。
 

世代によって異なる、車への思いの違い

※2015年~2017年にリクルート自動車総研が行った『中古車購入実態調査』より ※2015年~2017年にリクルート自動車総研が行った『中古車購入実態調査』より

上のグラフ①をご覧いただきたい。

アンケート回答者の半数近くが、車は人生を豊かにしてくれる、と考えていることがわかる。

また下記のグラフ②が示すとおり、若い世代ほどそう認識している人が多い。
 

※2015年~2017年にリクルート自動車総研が行った『中古車購入実態調査』より ※2015年~2017年にリクルート自動車総研が行った『中古車購入実態調査』より

彼らの中では、単なる移動の道具と割り切れない感情が、車や車と過ごす時間に向 いていることは間違いない。

車種選択や車購入の動機は人それぞれだ。

そこに正解は存在しない。

だが、車を通じた人生の豊かさを考えたとき、豊田社長にとってのスープラのような、心の中で特別な場所を占める車を選ぶのも、非常に有効な方法だろう。

そういった意味でも、古今東西の車が手軽に選べる中古車の存在価値は、さらに見直されていくに違いない。
 

予算100万円で狙える“親しい友人候補”3選

1:トヨタ アリスト(2代目)
 

▲「先代スープラは中古車相場が急騰しており予算100万円では狙えないが、同じエンジンを搭載する2代目アリストなら大丈夫。VIP系セダン界では一世を風靡した名車のひとつだ ▲先代スープラは中古車相場が急騰しており予算100万円では狙えないが、同じエンジンを搭載する2代目アリストなら大丈夫。VIP系セダン界では一世を風靡した名車のひとつだ
 

2:マツダ RX-8(初代)
 

▲ロータリーエンジンという希有なメカニズムを搭載したスポーツカー。走りの楽しさもさることながら、ロータリーにかけるエンジニアたちの執念を知れば、愛着もひとしお ▲ロータリーエンジンという希有なメカニズムを搭載したスポーツカー。走りの楽しさもさることながら、ロータリーにかけるエンジニアたちの執念を知れば、愛着もひとしお
 

3:ローバー ミニ(初代)
 

▲2001年に惜しまれつつ生産が終了した旧世代ミニだが、中古車ならまだまだ健在。多少不便でも少しずつ手をかけながら乗るスタイルは、車との友情がさらに深まるはず ▲2001年に惜しまれつつ生産が終了した旧世代ミニだが、中古車ならまだまだ健在。多少不便でも少しずつ手をかけながら乗るスタイルは、車との友情がさらに深まるはず
 
text/編集部
photo/尾形和美、トヨタ、マツダ、ローバー