もはや常識?各社のハイブリッド・システムの違い、説明できる?
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2015/06/22
軽自動車以外の売れ筋はハイブリッド車が独占
日本自動車販売協会連合会と全国軽自動車協会連合会が2014年度の車名別新車販売台数を発表。なんと、ベスト10のうち7台を軽自動車が占める結果となった。こうなると逆に気になるのは、軽自動車以外で売れた車だ。
1位はトヨタ アクア。5位にホンダ フィット、7位にトヨタ プリウスがランクイン。この車名を見てピンと来た人もいるだろう。すべてハイブリッド絡みなのだ。ちなみに、2013年の車名別新車販売台数は1位がアクアで2位がプリウス。こちらもハイブリッド車のワンツーフィニッシュだった。
プリウスを大ヒットさせ、その後も続々と人気ハイブリッド車を販売しトップランナーとして走り続けているだけあり、「ハイブリッド=トヨタ」という印象は強い。しかし、各メーカーも負けじとハイブリッド車を出している。しかし、その仕組みや目指すところが微妙に異なっていることをご存じだろうか。
ハイブリッドには3つの仕組みがある
そもそもハイブリッドの仕組みは「パラレル方式」、「シリーズ・パラレル方式(スプリット方式)」、「シリーズ方式」の3つに大きく分けられる。
パラレル方式とは、エンジンとモーターの出力軸は同じで、発進時や加速時などパワーが必要なときにモーターがエンジンをサポートする仕組みだ。最近では、モーターだけで走るモードを備えたシステムも存在している。
シリーズ・パラレル方式とは、動力分割機構を設け、エンジンとモーターの両方を動力源として上手く使い分ける方式だ。発進や低速時にはモーターを使用。速度が上がるとエンジンも併用し、両方を効率よく使いながら走行する。
シリーズ方式は、基本的にはバッテリーの電気でモーターを回して走り、電気がなくなるとエンジンで発電機を回して発電しモーターで走行する仕組み。エンジンで走らないので、動力で分類すると電気自動車に含まれる。
この基本的な仕組みを理解したうえで、各社のハイブリットの仕組みをみてみよう。
各社のハイブリッドシステムの特徴は?
【トヨタ】
トヨタが採用している「THSⅡ(TOYOTA Hybrid System Ⅱ)」は、シリーズパラレル方式だ。
発進時は低回転域から最大出力を出せるモーターの強みを生かし、低走行もモーターがこなす。速度が上がると燃費効率が高いエンジンを使用。エンジンで発生するパワーを使い切れない場合は電気に変換してバッテリーを充電する。強い加速が必要なときには、モーターとエンジンを併用し、1クラス上の動力性でスムーズに加速する。
【ホンダ】
ホンダのハイブリッドシステムの基本は、パラレル方式。ただし、モーターの数によって、1モーターの「SPORT HYBRID i-DCD」、2モーターの「SPORT HYBRID i-MMD」、3モーターの「SPORT HYBRID SH-AWD」を展開している。
例えば、「SPORT HYBRID i-MMD」は発電用モーター、走行用モーター、ハイブリッド専用エンジンを搭載。モーターだけで走る「EVドライブモード」、モーターとエンジンを併用する「ハイブリッドドライブモード」、エンジンだけで走る「エンジンドライブモード」の走行モードを使い分けている。
【日産】
日産のハイブリッドシステムも基本は、パラレル方式。1つのモーターで走行と発電を行うシステムを採用している。
また、独自の「インテリジェント デュアル クラッチコントロール(1モーター2クラッチ方式)」は2つのクラッチを持ち、モーターで走るときにはエンジンを完全に切り離すことができる。これによりエンジンからの抵抗を減らし、優れた燃費性能や高効率のエネルギー回生を実現している。同システムを搭載しているエクストレイル ハイブリッドは、街中での走行シーンのうち約3/4をEVモードで走ることができる。
これ以外にも、三菱 アウトランダーPHEVやBMW i3は、EV走行時にガソリンエンジンで発電し充電することで走行距離を伸ばす「レンジエクステンダー」を搭載しており、これは広義にはシリーズ方式といえなくもない。
ひと口にハイブリッドといってもその仕組みは多種多様。燃費面のメリットなどから購入を考えている人は、そのあたりのメカニズムも理解しておくといいかもしれない。