EV走行だけじゃない! ハイブリッド車としても優秀すぎるプリウスPHV(試乗レポート)
カテゴリー: トヨタの試乗レポート
2017/06/05
EV走行性能が大幅アップしたトヨタのPHV
近年発表される新車を見たとき、もはやハイブリッドだけではアドバンテージが低い。もっとCO2排出量を抑えてパフォーマンスも高く、しかもユーザーに負担を少なくすることが必要。それを継続的に行っていたトヨタの考え方をさらに強化したモデルが「プリウスPHV」である。
プリウスPHVの実力を試すため、横浜みなとみらい周辺の市街地と高速を含めた1000kmのロングドライブを行って性能を試したのでお伝えしたい。
今回の新たなプリウスPHVの最大の強みは、大容量リチウムイオン電池とシステムの高効率化によって完全なEV走行距離がカタログ値で68.2kmまで伸びた点であろう。さらに、高速時に時速135kmまでEV走行が可能な点も走行性能向上に期待ができる。
市街地の試乗でEV性能の良さと車としての仕上がりの良さを体感
初めに、17インチのPHVで横浜の市街地と首都高を試乗した。一般的にはインチが大きくなるとタイヤの剛性が増すのでゴツゴツ感が増すと思われるが、プラットフォームの高剛性にマッチしたダンパーを装着しているのだろうか、とても上質な乗り心地であった。
とにかくエンジンが始動しないので静粛性はとてもよく感じる。EVは走り出しの加速もすこぶる良く、ダイエットして軽快な体になったような印象だ。
高速道路では料金所から合流までの加速が素晴らしく、安心した合流が可能である。首都高速の緩やかなカーブでもロールを抑えて安定性も良い。路面からの突き上げもやんわりと吸収する。中速から高速でのロードノイズも良い。
ノイズは、アスファルトの砂利や小石がタイヤに付着してタイヤハウスに広がった瞬間、リアのタイヤハウス内で音が聞こえた程度だ。これは軽量化が積極的に行われている証拠でもある。スーッと風を切って走る。そんなイメージと言って良い。
動力性能もさることながら空気と転がり抵抗を少なくした恩恵がある。
ロングドライブを通じて分かったプリウスPHVのベストなシチュエーション
別の機会に15インチ仕様で1000kmほど走ってみた。こちらは時速80km以上の高速でのロングドライブがメインだ。東京から琵琶湖周辺の城下町までの片道およそ500kmを、お昼を食べる感じで途中2回ほど充電して走った。高速では、7割以上をレーダークルーズコントロールで走行した。
時速80kmまではとてもいい。エンジンが始動しても振動とノイズも気にならない。時速110kmで追い越しレーンを走っても単独では全く問題ない。静粛性も良好だ。
ただ、大型トラックの横を通るときは注意が必要であった。前面からの空力がプリウスPHVはとても良い。空気をキレイに後方に流すフォルムはデザインのアイデンティティでもある。しかし、斜めから風が当たると前面からの空気の流れが乱れて車体の動きにも影響があり、ステアリングの修正が必要であった。山間部でステアリングに負荷を多く与えているときはそれほど感じなかったが、直線であると顕著に感じ取れる。
このことから時速100kmプラスでの巡行は運転に神経を使うかも知れないが、それだけ燃費に対して繊細に作り上げているということでもある。
その拘りを感じることのできる機会があった。当日は雨が降っており、ミラーやサイドガラスやリアにも水滴が付着して見にくくなると思われたが、空気の通り道がフォルムに沿って流れていてサイドガラスに水滴を付着する隙を与えない。リアも同様だ。大量生産の車でここまで空気の流れを感じ取れる車は現在の国産車ではプリウスPHVだけかもしれない。
不満な点はこの高速道路での追い越しもしくは抜かれたときの挙動のみである。シートも良い。視認性も良好だ。琵琶湖に臨む風情ある城下町である近江八幡市の細かな道では、EVモードのみで走った。静かでとても心地が良かった。プリウスPHVは市街地やちょっとした高速がベストなシュチュエーションということだろうか。
プリウスPHVの最大の強みはハイブリッド車としても優秀すぎること
すべての行程を終え、洗車と給油をしているときにふと気がついた。片道2回ずつの充電はしたが給油なしでおよそ1000kmを余裕で行って帰ってこれて、経済的に驚くほど良好であるということである。市街地であれば、充電していれば燃料は最小限にできて、加速も良い。そして何より、電池の残量が少なくなっても慌てることもない。プリウスPHVはハイブリッドのプリウスと同じカタログ燃費をもっているのだ。これがプリウスPHVの最大の武器である。
高速だって燃費は普通の車とは比較にならない。もう十分すぎるではないか。満たすモノがあればあるほど要求も多くなる。果てしない欲求は満足が足らない証拠だ。プリウスPHVをゆったり走りながら、ふと我に返って自動車に求める満足とは何かと問うのであった。
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