▲湘南マツダのスタッフが同乗し、試乗スタート。ちなみに、前が新型CX-5、後ろが旧型CX-5です▲マツダのスタッフが同乗し、試乗スタート。ちなみに、前が新型CX-5、後ろが旧型CX-5です

422mのコースで先進安全技術を体験

2月22日に湘南マツダが大磯ロングビーチで開催した、『CX-5 先進安全技術体感試乗会』。前編は湘南マツダの小林茂樹社長のインタビューやマツダ 統合制御システム開発本部 上席研究員の大村博志氏が語ってくれたマツダの考える安全性能などを紹介した。中編では、『i-ACTIVSENSE』の一部を体感できる試乗の様子を届けたいと思う。

大磯ロングビーチに設置された試乗コースは、全長約422mで、『BSM(ブラインド・スポット・モニタリング)』、『MRCC(マツダ・レーザー・クルーズ・コントロール)』、『GVC(G-ベクタリングコントロール)』を体験することができる。
 

車線変更のヒヤリをなくす『BSM』を体験

最初は『BSM』だ。死角に入っている後続車に気づかずに車線変更しようとして、ヒヤッとした経験は誰しもあると思うが、『BSM』は、約15km/h以上での走行時、隣車線上の側方および後方から接近する車両を検知すると、検知した側のドアミラー鏡面のインジケーターが点灯。その状態でウインカーを操作するとインジケーターの点滅と警報音で警告し、車線変更の中断を促す。

実際に試すと『BSM』の警報音は想像よりも大きく、これならば接近車両を見逃すことはなさそうだ。ヒヤリ・ハット(重大な事故には至らないものの、直結してもおかしくない一歩手前のこと)を減らしてくれることだろう。また、死角に入りやすいバイクも感知するとの説明だったので、その点も心強い。
 

進化した『MRCC』は渋滞での疲労を大幅に軽減してくれる

『BSM』の次は、車載カメラが先行車との速度差や車間距離を計測してエンジンとブレーキを自動でコントロールしてくれる『MRCC』を体験する。以前からある安全技術だが、新型『CX-5』からは、0~100km/hまでの速度域、つまり、先行車の停止にも対応して追従走行ができるように進化した。

例えば、一般道で60km/hにセットすれば、先行車の速度に合わせて0~60km/hまでの速度で、一定の車間距離を保ちながら追従してくれる。もちろん、先行車が停止すれば、自車も自動で停止するというわけだ。ちなみに前車との車間距離は、約25~50mまでの4段階で設定できる。

実際に試すと、先行車に追随しながら、先行車が停止すると自車も減速して停止。3秒以内に先行車が発進すれば、なんの操作を行わなくても追随を再開する。3秒以上停止した場合は、アクセルを軽く踏むかステアリングにある『RES』と書かれたボタンを押すだけ。渋滞時にアクセルやブレーキの操作が必要ないので疲労軽減となり、注意力の低下も防げそうだ。
 

▲アクセルペダルを使わず前の車に合わせ時速40km前後まで加速。その後、前の車が停止するとブレーキペダルを使わず完全に停止した。そのときブレーキランプも点灯していた▲アクセルペダルを使わず前の車に合わせ時速40km前後まで加速。その後、前の車が停止するとブレーキペダルを使わず完全に停止した。そのときブレーキランプも点灯していた
 

カーブでも安定。思ったとおりのコーナリングができる『GVC』

最後はスラロームで『GVC(G-ベクタリングコントロール)』を試す。『GVC』は、ハンドル操作に応じてエンジンの駆動トルクを変化させることで、これまで別々に制御されていた横方向と前後方向の加速度(G)を統合的にコントロール。四輪への接地荷重を最適化してスムーズで効率的な車両挙動を実現する制御技術。

こう書くととても難しそうだが、簡単にいえば、思ったとおりのラインに沿って走ることができるようになる技術だ。ドライバーが意図する動きが再現されるので、こちらも疲労軽減につながる。

試乗コースはスラロームの距離が短く、さらに速度も制限されていたが、それでも『GVC』を搭載していない車と比較した場合は、明らかに滑らかな挙動を感じることができた。象徴的だったのは、カップフォルダーに置いたペットボトルの水面の揺れが少なかったことだ。これは、同乗者にも快適な環境を提供していることの証しでもある。
 

▲コーンの間をすり抜けるスラロームコース。初めブレーキを使わずコーナーリングするのは恐怖心があったが、想像以上にすんなりと曲がることができた▲コーンの間をすり抜けるスラロームコース。初めブレーキを使わずコーナーリングするのは恐怖心があったが、想像以上にすんなりと曲がることができた
 

試乗で体感した先進技術以外にも様々な装備を搭載

今回体験できたのは、この3つの先進技術だったが、『i-ACTIVSENSE』には、他にも様々な先進安全技術が搭載されている。

代表的なところでは、走行速度によって、左右各12ブロックのLEDを個別に自動点灯・消灯して夜間の視認性を高める『ALH(アダプティブ・LED・ヘッドライト)」。 前方の歩行者や先行車をカメラで検知しブレーキを自動制御して衝突回避をサポートする『アドバンストSCBS(スマート・シティ・ブレーキ・サポート)』。

カメラとミリ波レーダーで先行車を捕捉。衝突の危険があると判断すると音や表示で警告、さらにはブレーキを自動制御し、衝突時の被害軽減や衝突の回避をサポートする『SBS(スマート・ブレーキ・サポート)』。

車線逸脱を防ぐためにステアリングをアシストする『逸脱回避支援』、または、車線の中央やカーブに沿って走るようアシストする『ライントレース』の機能を備えた『LAS(レーンキープ・アシスト・システム)』などがある。 後編では、実際に試乗会で新型『CX-5』と『i-ACTIVSENSE』の技術に触れた参加者の感想をお届けしたい。
 

text/コージー林田
photo/篠原晃一