▲実は、トンネルだからこそ楽しめる車窓鑑賞ポイントはいっぱいあるんです! ▲実は、トンネルだからこそ楽しめる車窓鑑賞ポイントはいっぱいあるんです!

走行中にはなかなか気づけない、山手トンネルの内部を詳細レポート!

3月7日(土)16時、全線開通となる首都高中央環状線。「完成した道路を間近で見てほしい」という思いからか、首都高環状線全線開通イベント「山手トンネルウォーク」が3月1日(日)に開催されました。

そこで「高速道路車窓鑑賞ガイド~東名&名神高速道路編」という本を執筆した「まん」こと私、高橋(以下まん)と、私の友人である生粋の“土木フリーク”、こたるさんでイベントに参加。その様子をレポートします。

まん:それにしても盛り上がっているなあ。参加者はおよそ2万人だってよ
こたる:今日はあいにくの空模様……。でもまあトンネル内だし関係ないか
まん:いや……トンネル車窓鑑賞は入口にワクワクポイントがあるんだけど、今日は人がたくさんいて、しかもみんな傘をさしているから見づらいな
こたる:なんですか!? 入口のワクワクポイントって
まん:トンネルって晴れた昼間だと明るい場所から急に暗い場所に入るでしょ? 明るい場所だと人間の目は瞳孔を狭めているからトンネルに入る直前は中の様子が分からず真っ黒な影に見える。これを専門用語で「ブラックホール現象」って言うんだけど、この状態になると無意識のうちにブレーキを踏んで渋滞の原因になったり最悪の場合は入口付近で追突事故を起こしかねない
こたる:やばいっすね、それ……。
まん:だからトンネルでは安全に走れるよう複数の色の照明で時間に合わせて明るさを調整しているんだ。さらにトンネル入口(坑門)の形状を工夫して太陽光の反射を抑えたり車がトンネルに入るときにドライバーが感じる圧迫感を減らしている。トンネルを通るときはぜひそういう工夫を感じながら走って……
こたる:だらだら長い話はごめんです。早く中に入りましょうよ!

▲まん「首都高環状品川線での見どころのひとつが料金所。全国でも珍しい、料金所をトンネル内に設置した路線なんです。首都高速でトンネル内に料金所があるのは環状品川線の五反田入口だけです」 ▲まん「首都高環状品川線での見どころのひとつが料金所。全国でも珍しい、料金所をトンネル内に設置した路線なんです。首都高速でトンネル内に料金所があるのは環状品川線の五反田入口だけです」
▲こたる「この写真、奥のオレンジ色に光る道はかなりの上り坂に見えるでしょう? でも、実は今歩いている本線に向かう合流車線がものすごい下り勾配なんです」。まん「これ、合流地点までの距離を短くするだけでなく、スムーズな加速を促すためでもあります。安全運転を意識しつつ急勾配ならではの車窓を楽しめるポイントです!」 ▲こたる「この写真、奥のオレンジ色に光る道はかなりの上り坂に見えるでしょう? でも、実は今歩いている本線に向かう合流車線がものすごい下り勾配なんです」。まん「これ、合流地点までの距離を短くするだけでなく、スムーズな加速を促すためでもあります。安全運転を意識しつつ急勾配ならではの車窓を楽しめるポイントです!」
▲こたる「でたー!! ここが品川線最大の見せ場ですね」。まん「そう! イベント用のテントがいっぱいでわかりづらいけど、首都高環状品川線は全国でも珍しい右側通行の道なんだ。反対車線が見えないからこそ実現できた形態だね」 ▲こたる「でたー!! ここが品川線最大の見せ場ですね」。まん「そう! イベント用のテントがいっぱいでわかりづらいけど、首都高環状品川線は全国でも珍しい右側通行の道なんだ。反対車線が見えないからこそ実現できた形態だね」
▲こたる「見てください! 道路設備を留めているボルトは養生(低温や衝撃などから保護する作業)されているものと。むき出しのものがありますよ」。まん「養生されているのは低い位置だけ。非常時には人が道路を歩くかもしれない。そのときにボルトで怪我をしないようにという配慮だね」。こたる「ううう……。首都高速道路さんの優しさを感じます」 ▲こたる「見てください! 道路設備を留めているボルトは養生(低温や衝撃などから保護する作業)されているものと。むき出しのものがありますよ」。まん「養生されているのは低い位置だけ。非常時には人が道路を歩くかもしれない。そのときにボルトで怪我をしないようにという配慮だね」。こたる「ううう……。首都高速道路さんの優しさを感じます」
▲こたる「お世話になりたくないけれど……万が一の際に助けになる非常電話。普段はカバーが掛かっているけれど、中身はこんな感じです」 ▲こたる「お世話になりたくないけれど……万が一の際に助けになる非常電話。普段はカバーが掛かっているけれど、中身はこんな感じです」
▲まん「五反田入口を入って少ししたところで、こんな標識を発見! 手前は大崎警察署、先は目黒警察署の管轄に。運転していると見にくいかもしれないですが」 ▲まん「五反田入口を入って少ししたところで、こんな標識を発見! 手前は大崎警察署、先は目黒警察署の管轄に。運転していると見にくいかもしれないですが」
▲こたる「これは拡声器じゃなくて超音波式の車両感知器。ここで渋滞状況を測ります」 ▲こたる「これは拡声器じゃなくて超音波式の車両感知器。ここで渋滞状況を測ります」
▲こたる「この穴、土木フリークにはたまりません! これはトンネルを掘るシールド工法の跡。マシンが掘り進む後ろでどんどんコンクリートパネルを壁面にはめていきます。この穴に機械を差し込みガシッとつかむんですよ。だからパネルに穴が残っているんです」 ▲こたる「この穴、土木フリークにはたまりません! これはトンネルを掘るシールド工法の跡。マシンが掘り進む後ろでどんどんコンクリートパネルを壁面にはめていきます。この穴に機械を差し込みガシッとつかむんですよ。だからパネルに穴が残っているんです」
▲天井部分は穴がコンクリートで埋められていました。万が一の火災で穴の中に入った火でコンクリートパネルが落下するのを防ぐためなんですって!(こたる) ▲こたる「天井部分は穴がコンクリートで埋められていました。万が一の火災で穴の中に入った火でコンクリートパネルが落下するのを防ぐためなんですって!」
▲こたる「先ほどの写真は大橋ジャンクション方面へ向かう道の穴でした。で、反対車線の大井ジャンクション方面の穴はこれです。形が違うの、わかりますか? 首都高速環状品川線は上下線で工事担当が異なります(大橋方面は鹿島・熊谷組・五洋建設JV(共同企業体)、大井方面は大成建設・大豊建設・錢高組JV)。このような部分から会社による工法の違いが見えてきますね」 ▲こたる「先ほどの写真は大橋ジャンクション方面へ向かう道の穴でした。で、反対車線の大井ジャンクション方面の穴はこれです。形が違うの、わかりますか? 首都高速環状品川線は上下線で工事担当が異なります(大橋方面は鹿島・熊谷組・五洋建設JV(共同企業体)、大井方面は大成建設・大豊建設・錢高組JV)。このような部分から会社による工法の違いが見えてきますね」
▲こたる「誰も気にしていなかったけれど……山手トンネル車窓最大のお楽しみスポットがここ。追い越し車線側の壁面にデコボコの模様が描かれています」。まん「これは“気付きの区間”と呼ばれる部分で、風景が変わらない長時間のトンネル走行で意識がボーっとしたり眠気に襲われるのを防ぐために、壁面に変化をつけているのです」 ▲こたる「誰も気にしていなかったけれど……山手トンネル車窓最大のお楽しみスポットがここ。追い越し車線側の壁面にデコボコの模様が描かれています」。まん「これは“気付きの区間”と呼ばれる部分で、風景が変わらない長時間のトンネル走行で意識がボーっとしたり眠気に襲われるのを防ぐために、壁面に変化をつけているのです」
▲まん「“気付きの区間”の模様の長さは50mほどですが、視覚的にもっと長く見えるよう、奥の白い部分は幅が短くなっています。山手トンネルには上下線3ヵ所ずつあります」 ▲まん「“気付きの区間”の模様の長さは50mほどですが、視覚的にもっと長く見えるよう、奥の白い部分は幅が短くなっています。山手トンネルには上下線3ヵ所ずつあります」
▲まん「踏むとボコボコと振動がくる白線には、このように30cmほどの間隔で突起がついているんです」 ▲まん「踏むとボコボコと振動がくる白線には、このように30cmほどの間隔で突起がついているんです」
▲まん「万が一のトンネル火災の際に、火災の抑制とトンネル内の温度を下げるための水噴霧設備がトンネル内に張り巡らされています。この日は放水ショーが行われていました。放水量は、雨量に換算すると300mm/hだそうです」。こたる「放水の迫力も凄いけれど、あっという間にアスファルトの水たまりがなくなることに驚き!」 ▲まん「万が一のトンネル火災の際に、火災の抑制とトンネル内の温度を下げるための水噴霧設備がトンネル内に張り巡らされています。この日は放水ショーが行われていました。放水量は、雨量に換算すると300mm/hだそうです」。こたる「放水の迫力も凄いけれど、あっという間にアスファルトの水たまりがなくなることに驚き!」
▲イベントでは首都高速道路のパトロールカーも展示。荷室を見せてもらったら一番上にはなぜか竹ぼうきが。実は首都高上で多いトラブルはオイルが路面に散乱してしまうことなんだそう。そんなときはオイルを吸い取る粉を路面にまき、ほうきで掃くのがいちばん確実で早いのだとか。文字どおり隊員の“手”によって安全が守られていることに感動!(こたる) ▲こたる「イベントでは首都高速道路のパトロールカーも展示。荷室を見せてもらったら一番上にはなぜか竹ぼうきが。実は首都高上で多いトラブルはオイルが路面に散乱してしまうことなんだそう。そんなときはオイルを吸い取る粉を路面にまき、ほうきで掃くのがいちばん確実で早いのだとか。文字どおり隊員の“手”によって安全が守られていることに感動!」
▲トンネルウォークを終え五反田出口に戻ってきました。間もなくこの道を一般車両が走ります(まん)ちなみに壁の両脇にあるのは通行止めになったときの封鎖用ゲート。これが使われることないように安全運転を心がけたいですね(こたる) ▲まん「トンネルウォークを終え五反田出口に戻ってきました。間もなくこの道を一般車両が走ります」。こたる「ちなみに壁の両脇にあるのは通行止めになったときの封鎖用ゲート。これが使われることないように安全運転を心がけたいですね」
text&photo/高橋 満(BRIDGE MAN)