ブービー脱出なるか!? 第23回 メディア対抗マツダロードスター4時間耐久レース
2012/09/07
■野心を胸に、いざ第23回メディア4耐!
9月1日(土)、筑波サーキットにて「第23回 メディア対抗ロードスター4時間耐久レース」(以下メディア4耐)が開催された。その名のとおり、普段は取材する側である自動車専門誌やテレビなどのメディアチームによるレース。4~5名のドライバーがマツダ ロードスターに乗り、4時間を走り、どれだけ周回数を多く重ねられたかを競う。1989年に始まり、毎年秋に行われているこの伝統的なイベントにカーセンサーも参戦。今年は、車両を提供するマツダを含めた計23チームがレースに挑む。
メディア4耐の難しいところは90Lのガソリン制限が設けられているところ。非常に燃費に厳しく、ガス欠でリタイアする車も少なくない。さらに今年は決勝に2年ぶりにナイトセクションが設けられ、指定タイヤもグリップ力とコントロール性が高い「POTENZA RE-11A」に変更。昨年とは違った条件下で、難しい戦いが予想されていた。
カーセンサーチームは1993年の第4回から参加している。2003年の第14回大会では3位に輝いたが、基本的に遅く、昨年は23チーム中22位のブービー。例年、完走だけを目標にカーセンサーは参加してきた。今年のカーセンサーの参加ドライバーは、編集長後藤、EDGEデスク依田、編集部員浜崎、中島、そして、助っ人であるプロレーサー阿部翼選手の5名。作戦は後藤と中島、依田はタイヤとガソリンを温存し、ドライビング技術の高い浜崎と阿部選手に全力で走ってもらうというもの。
そんな中、監督のカーセンサーデスク中野は、今年のテーマを「ノーコースアウト! ノースピン! ノークラッシュ!」に決定。さらに一人一人自分の限界に挑戦し、遅くとも1分16秒以上のタイムで周回することを目標に15位以上を目指す。
■カーセンサーチーム、筑波に立つ
レース当日。朝6時に筑波サーキットにカーセンサーチームは集合。メディア4耐は公開練習→予選→決勝という行程。ピットでレースの準備をしながら公開練習を待つ。
午前10時30分。30分の公開練習には、中島、浜崎、後藤の3人がそれぞれ10分ずつ出走。レース素人でMT車もめったに運転しないカーセンサー編集部に、まずは車に慣れてもらおうという目論見だ。浜崎がスピンするなどドキッとする場面もあったが、大きなトラブルもなく公開練習は終了。その後は、走ってみた感想や、コース取り、シートポジションの取り方、ドライバー交代の仕方などを確認、検討した。
午後1時30分、予選が始まる。出走するのはEDGEデスク依田。カーセンサー公式キャラクターのカーボくんがボンネットに描かれたGoGoカーボくん号が悠然と走る。初めは1分16秒前半だったが、周回を重ねるごとに少しずつ、タイムがアップ。ベストタイムは1分15秒682。順位は23位、最後尾からのスタートに。
一方、ポールポジションを獲得したのは「ENGINE」チーム。予選のベストタイムは1分9秒853。カーセンサーとは6秒近い差が。続く「MOTOR AUSTRALIA」チームも1分9秒986と好タイム。それ以降の「Start Your Engines」、「レブスピード」、「ティーポ / デイトナ / カーマガジン」などは1分10秒台を叩き出していた。
- ↑会場には、カラフルな装飾を施されたロードスターがずらり。各チームや応援に来た観客も多かった
- ↑作戦会議を行うカーセンサーチーム。ガソリンの補給やドライバーチェンジの仕方などレースの段取りを確認
- ↑公開練習で走れなかった依田が、カーセンサーチームのマシンGoGoカーボくん号に乗り予選に挑んだ
■決勝レーススタート! 順調に走り出したが・・・
コースインとセレモニーの後、午後4時6分、決勝がいよいよスタート。このレースでは、前年度の上位チームや強力なドライバーのいるチームに第1走者の走行中に既定の時間ピット停止するというハンディキャップを設けるなど、どのチームにも優勝の可能性があるよう調整されている。
カーセンサーは後藤→中島→依田→浜崎→阿倍選手という順番で出走。第1走者の後藤は監督に告げられた目標をしっかり守り、1ラップ目が1分17秒030。ベストタイムは1分15秒041! 一時は、順位を16位まであげる好走をみせた。
34周目で交代した中島。最初のラップは1分18秒956、ベストラップは1分15秒429。後藤に続き、目標だった15秒台をマーク。順調かと思った矢先の51周目に、悲劇が・・・。左コーナーにスピードを上げたまま突入。勢いを落とそうと焦るあまり、コントロールを失いスピンし、その勢いのままクラッシュしてしまったのだ。ノークラッシュのテーマは打ち消された。
ピットまで戻ってこられたものの車体はボロボロ。フロントタイヤがバンパーに干渉してしまっていた。呆然自失の中島を乗せたまま、フロントバンパーを引っ張り、応急処置を施す。順位は最下位まで落ちてしまったが、なんとか再スタートできた。
- ↑2009年からメディア4耐に参加している後藤。これまでにない快走をみせ、順位をアップ。編集長の面目躍如だ
- ↑クラッシュしたカーボくん号のバンパー。そのあまりのへこみっぷりに運転した中島もへこんでいた
- ↑タイヤに干渉してしまっていた部分をひっぱり出し、ガムテープで固定。応急処置が功を奏し、なんとかレースに復帰できた
■レース終了間近にリタイアするチームが続出!
徐々に日が暮れる中、第3走者依田にバトンタッチ。まずは、マシンの状態を確かめながら1分17秒でクルーズ。マシンが大丈夫と確信したのか徐々にペースアップし、ベストタイムは1分15秒647。64周目に1チームリタイアしたことで、順位が1つアップ。その後も1分15秒~18秒台をキープし続けた。
96周目で第4走者浜崎と交代。そのテクニックはプロからお墨付きをもらうほど。日も暮れて悪環境のためか初めは1分20秒台だったが、徐々にタイムを上げ121周目には1分13秒993のベストタイムをたたき出した。その後も好走を続けるもののクラッシュのタイムロスが大きく、順位は22位のまま。当初の目標は達成できないが、リタイアだけはしたくないという思いでアクセルを踏む。
そして、午後7時20分、最終走者の阿部選手が出走。皆がなんとか完走だけはできそうだと、胸をなでおろす中、最強の助っ人安部選手は154周目には1分11秒383を記録。プロの走りをみせた。この頃になると、ガソリン残量を気にしてペースダウンする車が出始める。さらに、ピットインしてゴール時刻を待つチームも現れた。
気がつくと終了時間まであとわずか。22位のまま終るかと思った167周目、2チームがリタイアし20位に浮上。メディア4耐の燃費対決という側面が色濃く出始める。「あと少しで完走できたのにな・・・」と会場から同情の声がもれる中、さらにガス欠でストップする車が続出。ここでチェッカーフラッグが振られレース終了。
- ↑中島がクラッシュした後だったが、第3走者の依田は焦ることなく落ち着いたドライビングをみせた
- ↑阿部選手の見とれてしまうような鋭いコーナリング。やはりプロの走りは、ひと味もふた味も違った
- ↑レース終了後のGoGoカーボくん号。ボロボロになりながらも、最後まで走りぬいた我らがマシンを、チーム全員で磨く
■波乱万丈! 気になる結果は・・・
優勝したのは「ティーポ / デイトナ / カーマガジン」チーム。周回数は188周。2分のハンディキャップがあり序盤は苦戦したものの、見事な追い上げをみせた。2位は「Start Your Engines」チーム、3位「ホリデーオート」チームだった。
カーセンサーチームは168周で16位(23台中)。目標であった「15位くらい」は達成することができた。「この順位は中島のおかげ」「クラッシュさえなければもう少し上位に・・・」と冗談を言い合うカーセンサーチーム。大きな達成感と無事にレースを終えられた喜びを感じつつ、第23回メディア対抗ロードスターレースは幕を閉じた。