キャデラック エスカレード

【連載:どんなクルマと、どんな時間を。】
車の数だけ存在する「車を囲むオーナーのドラマ」を紹介するインタビュー連載。あなたは、どんなクルマと、どんな時間を?

サーフィンにマッチするアメリカ車の魅力

世界中の自動車メーカーが国境を越えて提携・合併し、車体や部品の共用化がどんどんと進む現代において、かつてのように車に「お国柄」を感じることは少なくなったと思う。

しかし、巨大なボディに巨大なエンジンを備えたフルサイズのアメ車には、いまだ濃厚にアメリカの匂いが漂う。

昨年、2008年式のエスカレードを購入した吉田さんはそんなアメ車に魅了された一人だ。
 

キャデラック エスカレード

「このエスカレードは押し出しが強すぎず、上品に見えるところが好きで選びました。アメリカ車の魅力は、何といっても長距離をゆったりと『流して』走るのが快適で気持ち良いところですね」
 

キャデラック エスカレード

全長約5.1m、全幅約2m。運転に自信のない人なら確実に委縮するであろう堂々としたサイズだ。

そして車内には2本のサーフボード。吉田さんはキャリア30年のサーファーでもあり、ほぼ毎週末サーフィンをするために出かけているという。
 

キャデラック エスカレード▲広大なラゲージスペースはサーフィンの道具でぎっしり
キャデラック エスカレード▲ラチェットベルトを使ってサーフボードを天井に収納するなど、細かな工夫がちりばめられている

「若い頃はサーフィンブームだったんですよ。それで僕も20歳でサーフィンを始めたのですが、同時に車にも乗るようになりました。僕の中でこの2つは切っても切れない関係なんです。車を購入する際には常にサーフィンに出かけることを念頭に選んでますね」

そう言って吉田さんはこれまで所有した車とのスナップ写真を見せてくれた。

キャデラック エスカレード

日産 ブルーバード・バンやトヨタ カローラ・ワゴン、三菱 デリカ、4WD&ディーゼルターボエンジンのトヨタ ハイエース……。サーファーっぽさがにじみ出る素敵なラインナップである。

奥さまが愛車と一緒に写っていたり、ウインドウに当時流行したステッカーが貼ってあったりと、まさに青春の一ページといった感じだ。

「ハイエースの後に初めてのアメ車、シボレー サバーバンを買ったんです。車人生で一度はアメ車に乗りたいという思いがありましたから。でも、アメ車に対する世間一般のイメージってやっぱり芳しくないじゃないですか。すぐ壊れるとか、燃費が悪いとか」
 

キャデラック エスカレード▲吉田さんが初めて購入したアメ車、シボレー サバーバン2000年モデル

「だから妻へのプレゼンは頑張りましたね。日常的にアメ車の話をしてみたり、道でサバーバンを見かけたら指差してアピールしたり、PCの待ち受け画面にしたり(笑) 。最後はもうわかったから、みたいな感じで納得してくれました」

結局、このサバーバンは16年所有し、一度も大きなトラブルには見舞われなかったという。

「アメ車って良い部分と悪い部分が表裏一体だと思うんです。例えば、このエスカレードはサバーバンやユーコン デナリなどと同じシャシーなんです。装備や内装の意匠は変えてあっても、ハンドルポジションやシート、ボタンの位置なんかはほぼ同じだったりする」
 

キャデラック エスカレード

「日本や欧州メーカーだと、同じシャシーでもモデルごとにきっちり作り分けると思うんですよね。アメ車は乗った瞬間に『あ、同じだ』と気づいてしまう。でも、そんな部分にアメリカの大陸的な雄大さを感じるんですよね。大味な反面、細かいことは気にせずゆったり走ろうぜって気分にさせてくれるところが好きですね」

ゆったり走るのが快感というのがアメリカ車のファン・トゥ・ドライブと吉田さん。

「サーフィンに適した車ってじつはボードを積めるのはもちろん、長距離を走っても疲れないことも重要なんです。波乗りするより往復する移動時間の方が長かったりしますからね」

キャデラック エスカレード

「エスカレードとは、いつか京都から新潟にかけての日本海沿岸をサーフトリップしたいです。やっぱり初めて訪れる場所の風景を見ながら波乗りするのって最高に気持ちいいんです」

湘南・茅ヶ崎で取材が終わると、吉田さんは千葉県の南房総に行くと言ってエスカレードを発進させた。

もちろん、サーフィンをするためである。

キャデラック エスカレード
文/佐藤旅宇、写真/柳田由人、吉田明浩

キャデラック エスカレード

吉田明浩さんのマイカーレビュー

キャデラック エスカレード(2代目)

●購入金額/約275万円
●年間走行距離/約20000㎞
●マイカーの好きなところ/歴代のエスカレードの中では押し出しが強すぎない見た目。パールホワイトでギラギラ感少なくオシャレに見え、内装のタンレザーカラーも気に入ってます
●マイカーの愛すべきダメなところ/アメ車全般に言えることですが、シャシーが同じなら乗った瞬間に「基本、同じだね」とわかってしまうところ(といいつつ、そこが気に入ってもいるのですが)
●マイカーはどんな人にオススメしたい?/アメ車好きはもちろんの事、いまだにアメ車に乗りたいと思っている方に

佐藤旅宇

ライター

佐藤旅宇

オートバイ専門誌『MOTO NAVI』 、自転車専門誌『BICYCLE NAVI』の編集記者を経て2010年よりフリーライターとして独立。様々なジャンルの広告&メディアで節操なく活動中。現在の愛車はスズキ ジムニー(81年式)とスズキ グランドエスクードの他、バイク2台とたくさんの自転車。