ロードスターで駆け抜ける女子大生!クラシックバレエ、応援部ときて次なる舞台はサーキット?~クルマ “女子” き:Vol.10~
2020/03/31
自動車に移動手段以上の価値を見いだし、時間もお金も費やする、いわゆる「車好き」はほとんどが男性である。ゆえに大変貴重な「女性の車好き」、しかも男性顔負け(?)の偏愛ぶりを見せる女性を取材する企画。カーセンサーは車好き女子を、応援しています!
希少種であるサーキット女子
もはや「男はこうで、女はこう」みたいな時代でないことは十分承知している。だが、とはいえ「スポーツカーに乗る女性」の絶対数は少なく、「そのスポーツカーでサーキットを走りまくっている」という女性はさらに少ない。言ってみれば希少種である。
「男だから、女だから」といった問題以前の「希少性」に興味を抱かざるを得なかった筆者は、俗にNBと呼ばれる2代目マツダ ロードスターで筑波サーキットでの練習走行を終えたばかりの大学4年生、ちひろさんに取材マイクを向けた。
こんにちは。オレンジのホイールがカッコいいですね。
あ、このホイールとタイヤは借り物なんです。自分のサーキット用タイヤがツルツルになっちゃったんで、お世話になってる車屋さんから急きょお借りした感じで……。
(ツルツルになるまで走り込んでるのかよ! と思いながら)どのぐらいの頻度でサーキットに来てるんですか?
ん~、多いときで週2、少ないときで月3回ぐらいでしょうか? 週イチで来てない週はないですね。卒業式は中止になっちゃったのですが、この春からは就職しますので、「4月以降は週末しか走れない……どうしよう!」って、軽くパニクってるとこです(笑)。
……週末に走れれば十分な気もしますが、それはさておき、なんでサーキット走ってるんですか? 失礼な質問かもしれませんが。
父に無理やりサーキットに連れてこられたんです。そこで父の6MTのND(4代目マツダ ロードスター)を運転して……。
はあはあ、わかりました。お父さんが大のサーキット走行好きなんですね?
いえ。父は「大のロードスター好き」ではあるんですが、サーキット走行はぜんぜんやらないタイプです。なんというか、車というものの怖さとか、女性は苦手だとされている「フルブレーキングをしてABSを作動させる感覚」とかを体験させたかったそうです。で、マツダさん主催のドライビングレッスンに無理やり連れて行かれ……。
無理やりって、今のちひろさんを見てると「どの口が言うか?」って感じですが。
当時はホント興味なくて(笑)。で、そのドライビングレッスンで「あれ? なんか楽しいかも?」って気づいちゃったんです。
はあはあ、わかりました。そこでサーキット走行の魅力にどハマりして、以来、順調に腕を上げ続けている、と。
や、実はそうでもなくて……。まあ「楽しい!」とは思って、オートマのNC(3代目マツダ ロードスター)を購入し、実際にサーキットに行きました。でも、2回目の筑波サーキットでなんとクラッシュしちゃったんですよ……。ケガはぜんぜんなかったのですが。
ビギナー状態のときにクラッシュすると、普通は怖くなってやめちゃいますよね?
ですよね。わたしも、午前中にコース2000(筑波サーキットの本コース)でクラッシュした後は怖くなってました。でも、当時も今もお世話になってる「ガレージ 123」の社長さんから「ここでやめるとトラウマだけが残る。今日の午後、とりあえずコース1000(筑波サーキットのショートコース)を走ってみた方がいい」と言われて……。
走ったんですね? 傷心のまま。
はい。やっぱりちょっと怖かったんですが、結論としては「あ、当日中に走ってみて良かったな」と心底思えました。おかげさまでトラウマもないようですし。そしてその後、「やっぱりちゃんと走りたい!」と思って今の車、MTの2代目ロードスターを買ったんです。
ド根性物語ですねぇ……。どこでそんなド根性を獲得したんですか?
ん~、関係あるかどうかわかりませんが、わたし大学で応援団に入ってたんです。
はあはあ、わかります。あのチアリーディングってやつですね? ポンポン持ってジャンプとかする。
そっちじゃなくて、長ラン着て大きな旗とかを持つ、あっちの応援団。
……はい?
埼玉の寮から都内の大学まで、毎日長ラン姿で通ってたんですよ。日々の練習で疲労が蓄積してしまったのか腰を壊してしまい、半年間休学するハメにもなりましたが(笑)。
そ、そ、そうでしたか。
そうなんですよ。でもまぁ応援団員だったことが、サーキットと関係してるかどうかはわかりませんけど。
根本的なことをお聞きします。サーキット走行の、何がそんなに楽しいんですか?
何なんでしょうねぇ……。自分の努力やその時点での実力が、「タイム」というものに如実に反映されるのがサーキット走行だと思ってます。で、誰と戦うわけでもなく「自分」と戦って、結果が出れば嬉しいし、出なければ悔しいし……みたいな部分が好きなのかもしれませんね。
昔からそんな感じのストイックな性格なんですか?
自分がストイックかどうかはわかりませんが、5歳から19歳までやっていたクラシックバレエも結局は「自分との戦い」でしたから、そんな感じのスポーツが性に合ってるんでしょうね。サーキットも、もう少し上手になったらロードスター・パーティレース(編注・ナンバー付きのマツダ ロードスターNR-Aによるワンメイクレース)に出たいと思ってます。
「飽き性だから、いつまでサーキット走行を続けるかはわかりません」と言うちひろさん。
だが14年間クラシック・バレエを続け、そして高校時代から大学3年生まで応援団員であり続けた彼女のド根性と、「好きになったらどっぷりハマる」という傾向を見るにつけ、まぁ数年後もマツダ ロードスターで――しかもワンメイクレース仕様のロードスターNR-Aで、日本各地のサーキットをビシビシ走っていることは、ほぼ間違いないだろう。
自動車ライター
伊達軍曹
外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル XV。
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