良いものを安く。車選びの達人が“日常”の相棒に選んだ メルセデス・ベンツ C250ステーションワゴン
2019/11/26
車の数だけ存在する「車を囲むオーナーのドラマ」を紹介するインタビュー連載。あなたは、どんなクルマと、どんな時間を?
対極に位置する2台の組み合わせ
相当な車好き、と事前に聞いていたので、取材場所にやって来たノーマルの黒いメルセデス・ベンツ Cクラスワゴンを見たときには、少し意外な気がした。
車好きの選択にしては、ちょっとコンサバじゃないか、と。
しかし、C250から降り立ったオーナーの岩本竜典さんが、もう1台、バーキンセブン(ロータスセブンのレプリカとして知る人ぞ知る南アフリカ製のスポーツカー)を所有していると知って合点がいった。
趣味車として、これ以上にストイックな車はないセブン。そして日常のアシ車としては、申し分のない実用性と快適性を持ち合わせたC250ステーションワゴン。
対極に位置する2台の組み合わせ……こりゃ相当な、しかも筋金入りの車好きだ。
岩本さんはフォトグラファーという職業柄、ずっとステーションワゴンを乗り継いできた。
以前はボルボ V70に乗っていたがオイル漏れやエアコンの不調が重なって、修理にかなりの出費を要することになったことから買い替えを決意。
予算は100万円。
新車の軽自動車よりも安い!
岩本さんのモットーは、良いものを安く手に入れること。良いものが高いのは当たり前だし、それじゃ面白くない。安くて良いものを自分で探し出す車選びが楽しい。だからバーキンセブンも110万円で手に入れた。
カーセンサーを読みあさる日々が続く。
最初に候補に挙がったのは、アウディ、ボルボ、BMW……。少し背伸びをすれば、ポルシェのカイエンだってターゲット内!
予算100万円で眺めるカーセンサーほど楽しいものはない。が、そのぶん魅力的な車が多すぎて、なかなか決められない……。
「カーセンサーのページをめくっているときの主人が、いちばん楽しそうなんですよ」と奥さまの陽子さん。
「だけど、どの車も今ひとつ決め手に欠けているようだったから、私が言ったんです。そろそろベンツはどうかしらって」
迷ったときに頼りになるのは女性の直感ではあるけれど、さすがに100万円でベンツは、と思いながら探してみると……。
C250 ステーションワゴン(2009年式、走行距離4.8万km)のディーラー車が、なんと車両価格108万円で掲載されているではないか! 竜典さんは、さっそくショップを訪れた。
「同程度のC200も展示してあって、維持費を考えればC200の方がいいかなとも思いましたが、エンジンをかけてみたら直4とV6では滑らかさがまったく違いました。AMGスポーツパッケージだったこともあって、少し予算オーバーだったけどこれに決めました」
10年落ちとはいえ、新車価格600万円超えのベンツが乗り出し価格130万円。新車の軽自動車よりも安い! まさに、良いものを安く手に入れる竜典さんの面目躍如といったところである。
最強に幸せな2人
竜典さんにとって、車は移動できる大切なプライベート空間。
セブンというむき出しの空間があるからこそ、ガッチリと守られているかのようなC250の空間が心地いい。そして快適なC250があるからこそ、セブンの過激なまでのドライブフィールをさらに楽しめる。
車好きにとって、こんな理想的な空間の組み合わせがあるだろうか。しかも、2台を合わせても新車のミニバンより安い! 筋金入りの車好きは、車選びの達人でもある。
ところで、そんなご主人の車選びを陽子さんはどう思っていらっしゃるのだろうか?
「私はアニメが好きなので、ジブリ映画に出てくるようなクラシックな形の車が好きなんです。だから、セブンは大好き。一方でベンツは落ち着きがあって、こちらも大満足です。主人とは物選びのセンスが似てるから安心して任せています」
お子さんが学校に行った後に、2人でドライブに出かけることも。仲良しなご夫婦ですね、と声をかけると、陽子さんは「はい!」と底抜けの笑顔で。
最強の2台を所有するオーナー夫妻は、最強に幸せな2人でもあった。
岩本竜典さんのマイカーレビュー
メルセデス・ベンツ Cクラスワゴン(3代目)
●購入金額/約130万円
●年間走行距離/約18000㎞
●マイカーの好きなところ/ボディ、シャシーの剛性、硬めの足回り、V6の滑らかなフィーリング、女子ウケがいい!
●マイカーの愛すべきダメなところ/駐車場に止めて待ち合わせ場所へ行くまで何度も振り返って見入ってしまうので、待ち合わせの時間ぎりぎりになってしまう。それくらいかっこいいこと。
●マイカーはどんな人にオススメしたい?/走って良し、眺めて良し、こんなに満足感を得られる車はそうそうないと思います。 走る、曲がる、止まる、すべてが高次元でバランスが取れています。 車が好きな全ての人に一度は乗って体感してもらいたいです。
インタビュアー
夢野忠則
自他ともに認めるクルマ馬鹿であり、「座右の銘は、夢のタダ乗り」と語る謎のエッセイスト兼自動車ロマン文筆家。愛車は1万円で買った90年式のフォルクスワーゲン ゴルフ2と、数台のビンテージバイク(自転車)。
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