車は単なる移動の道具ではなく、大切な人たちとの時間や自分の可能性を広げ、人生をより豊かにしてくれるもの。車の数だけ、車を囲むオーナーのドラマも存在する。この連載では、そんなオーナーたちが過ごす愛車との時間をご紹介。あなたは、どんなクルマと、どんな時間を?

▲まだ20代中盤の窪さんだが、アウトドア歴は15年以上のベテラン。幼少のころから父に連れられ地元の六甲山に頻繁に登っていた▲まだ20代中盤の窪さんだが、アウトドア歴は15年以上のベテラン。幼少のころから父に連れられ地元の六甲山に頻繁に登っていた

アウトドアはライフワーク。でも最初の車は……

小奇麗な身なりに、スマートウォッチやドローンなどの最新ガジェットを手にする窪 宏二郎さん。

職業もシステムエンジニアでオフィス街ですれ違ったら今どきのインドア派にしか見えないだろうが、休みの大半をキャンプに費やすバリバリのアウトドア男子だ。

登山好きだったという父親に連れられ、小学生になる前から大人に交じって地元の山を登り、キャンプにいそしんだ。

そのときに、ロングドライブでも快適で安全な車が良いと思ったのが1台目のボルボを購入したきっかけだ。

「登山、キャンプ、釣り、雪山、父とは何でもやりましたが、今一番楽しんでいるのはキャンプかもしれません」

仲間とワイワイガヤガヤのバーベキューも好きだというが、1人で山登りをしたりスキーをしに雪山へ行くこともあるという。

そんな窪さんにとってフィールドまで移動できる車はなくてはならないものだが、最初に購入したのは意外にもスポーツカーのマツダ RX-8だ。

乗り替えのタイミングで新車購入のためディーラーを訪れたところ、欲しかったボルボ XC40の納車に半年かかることが分かったのだ。

スポーツカーも好きだった。車高が低くとてもオフロードには向かない車だが「何とかなる」と、ウインタースポーツをしに雪深い山などにも走りに行った。

しかしあるとき、雪道でスタックしてしまう。アウトドアかスポーツカーか悩んだ末、スポーツカーを諦めジープのラングラーを購入することにした。

オフロードに強くクラシカルな雰囲気も気に入っていたというが、今度は増えてきたキャンプ仲間と道具を載せるのに手狭になってしまった。

そこで購入したのがジープの2代目チェロキーだ。

▲サイズの大きなオフロードタイヤは、凹凸の激しい河原でも雪道でも難なく走破することができる ▲サイズの大きなオフロードタイヤは、凹凸の激しい河原でも雪道でも難なく走破することができる

走行10万kmのアメ車を手厚いメンテナンスで

窪さんがこれまで乗ってきた車は、燃料代も含めて維持費が安い車種ではない。

そのような車でも維持し、さらには好きな車に乗り替えられているのは、個人間のカーシェアを利用しているからだという。

「これまで乗り継いだ3台とも、シェアをして維持費を稼いでいます。仕事で車を使わない平日に他の人に使ってもらうことで、お財布の負担を軽くしているんです」

購入時の走行距離が10万kmに近かったので、専門店でしっかりメンテナンスを受けた。

これまでシェアで捻出した費用を充てることで、納得したコンディションの車を無理なく手に入れることができた。

▲一般的に「アメ車は壊れやすかったり修理費が高い」と聞いていた窪さんは、納車前に専門店で整備を受けて消耗品を交換した。そういった費用の一部もカーシェアでまかなえているという ▲一般的に「アメ車は壊れやすかったり修理費が高い」と聞いていた窪さんは、納車前に専門店で整備を受けて消耗品を交換した。そういった費用の一部もカーシェアでまかなえているという
▲大容量のラッゲジスペース。4人乗車して人数分の道具を詰める荷室は購入の決め手の一つだった ▲大容量のラゲージスペース。4人乗車して人数分の道具を詰める荷室は購入の決め手の一つだった

個人間カーシェアは維持費をまかなうだけでなく、人とのつながりも作ってくれた。

車がSUVのため、シェアする人もアウトドア好きが多い。そんな人たちと話しているうちに意気投合して、一緒にキャンプに行く仲間もいるという。

「このチェロキーの前のオーナーとも一緒に乗り合いでキャンプに行きました。一緒に乗っているときは車の思い出なんかも聞けて、なんだか不思議な時間でしたよ」

今後も車で一緒に出かけたりシェアをしたり、人とのつながりを大切にしたいという窪さん。

念願だった大きな車で、たくさんの人と時間を紡いでいく。

▲父親から譲り受けたという年代物のランタン。最近の燃料はガスが主流だと言うが、手にしているコールマンのモデルはガソリンで明かりを着けるタイプ。古い道具を実用的に使っているのが小粋だ ▲父親から譲り受けたという年代物のランタン。最近の燃料はガスが主流だというが、手にしているコールマンのモデルはガソリンで明かりをつけるタイプ。古い道具を実用的に使っているのが小粋だ
▲最近購入したドローン。手のひらサイズに折り畳めるため登山に持参して、山の風景を楽しんでいる ▲最近購入したドローン。手のひらサイズに折り畳めるため登山に持参して、山の風景を楽しんでいる

どんなクルマと、どんな時間を?

チェロキーは、シェアを通じ本当に愛してくれるオーナーのもとへ

この2代目チェロキーは、1984年から2001年まで生産されたモデル(XJ)。日本への輸入は登場の翌年1985年より開始された。先代モデル(SJ)は曲線も交えた古き良きアメリカ車らしいスタイルであったが、このモデルは直線が基調となるデザインとなった。

搭載されるエンジンは、デビュー時には2.8L V6だったが、1987年モデルより本国では4.0L直6エンジンが搭載された。出力も110PSから175PSにパワーアップ。改良を重ね、最終的には190PSにまで向上した。

▲窪さんがお気に入りなのは真横から見たときの直線的なライン。車に限らずクラシカルな道具っぽい要素が感じられるデザインに惹かれることが多い ▲窪さんがお気に入りなのは真横から見たときの直線的なライン。車に限らずクラシカルな道具っぽい要素が感じられるデザインに惹かれることが多い
▲一般的になりつつある個人間カーシェアサービス。比較的安くシェアできることも魅力だが、様々な車種のラインアップがあることも魅力の1つだ。チェロキーのような維持が難しそうな車も、実際にシェアすることでその実態を肌で感じることもでき、普段使用しているオーナーからもどんな車なのか聞くことができる。出かけるのに必要だからシェアするではなく、購入したい車を探すためシェアをする、という新しい車探しの形にもなっていきそうだ ▲一般的になりつつある個人間カーシェアサービス。比較的安くシェアできることも魅力だが、様々な車種のラインナップがあることも魅力の1つだ。チェロキーのような維持が難しそうな車も、実際にシェアすることでその実態を肌で感じることもでき、普段使用しているオーナーからもどんな車なのか聞くことができる。出かけるのに必要だからシェアするではなく、購入したい車を探すためシェアをする、という新しい車探しの形にもなっていきそうだ
text/編集部 今泉翔太
photo/三浦孝明