その実力に妻も驚く、自ら部品を設計するこだわりメカニックがコツコツ育てたマツダ ロードスター
2018/07/21
車は単なる移動の道具ではなく、大切な人たちとの時間や自分の可能性を広げ、人生をより豊かにしてくれるもの。車の数だけ、車を囲むオーナーのドラマも存在する。この連載では、そんなオーナーたちが過ごす愛車との時間をご紹介。あなたは、どんなクルマと、どんな時間を?
念願のロードスターを購入したが、実際に走らせてみたところ……
初夏の日差しが降り注ぐ中、海岸通りの駐車場でオープンカーからさっそうと降りてきた松田さん夫妻。
真っ白なTシャツに洒落たサングラス、夫の勝広さんは今どきのシティボーイかと思いきや、実は自ら車の部品の設計まで行うという超メカニック系男子だった。
走らせている時間より、車いじりの時間が長いというのだからその熱中度は相当なもの。
普段、仕事で車の部品の設計に携わっているということ
もあり、必要とあらば自らパーツの設計から製造してくれる工場の選定、そして取り付けも行っている。
「ずっといじっているんですよ。夜も設計図とにらめっこ」
そう教えてくれたのは妻の佳那子さんだ。
車に没頭している夫にあきれているのかと思いきや「集中できることがあるっていうのは素敵なこと」と、愛車との時間を温かく見守っている。
今では、なくてはならない存在になったロードスター。
購入してから4年ほど経つが、最初の1年半で勝広さんがハンドルを握るのは数えるほどだったそうだ。
「ずっと欲しかった車種だったのですが、納車後に乗った感想は『残念だな』というものでした」
期待していた走行性能とのかい離に意気消沈して運転から遠ざかっていたが、このままではもったいないと自らの手で少しずつ改良を進めていったという。
「僕の中に“こんなふうな車にしたい”という漠然とした理想像がありました。それに近づけるにはどうしたらいいかなってぼやっと考え、一つ一つ試していったんです」
頭の中にあるプランを試しながら整備を繰り返していたある日、走行性能が劇的に変わった瞬間があったそうだ。
「フロアバー(車体下部)を補強したら走りが見違えたんです。それまではカーブなどでふらつく感覚があったのですが、ガッチリとしたカートのような楽しい車に変身しました」
購入直後に助手席に乗っていた佳那子さんも、その変わりっぷりに驚いたという。
車の知識がまったくないというだが、「最初のグラグラ感に比べ、乗り心地や安心感が全然変わっていて違う車に乗っているみたいだった」と感心した。
晴れて理想の車になったロードスター。
今はドリンクホルダーやスマホ入れなど、「こんなのがあればいいな」というものを、こちらも自ら設計して制作している。
長距離のドライブも安心になったロードスターで、地方で行われるイベントなどに佳那子さんと一緒に参加することもあるという。
「車があることで一緒の空間を共有できるっていう部分もあって、そういう時間も大切にしていますね」と勝広さん。
信頼できる勝広さんが整備をした車だからこそ、佳那子さんも安心して乗ることができる。
2人とも次のイベントを楽しみに待っている。
どんなクルマと、どんな時間を?
ロードスター(初代)は、いじって楽しい、乗って楽しい車
全長4mに満たないコンパクトなボディにクラシカルな雰囲気のスタイル、さらには手軽に開閉が可能なオープントップを採用した2シーターオープン。
搭載されるエンジンは1.6L直4DOHCとモデル途中から追加された1.8L直4DOHC。出力は控えめな数字ながら、FRの駆動方式と1tを切る軽量なボディの組み合わせは、ドライバーに走る楽しさと車を操る喜びを教えてくれる。
また、初期型はシリーズで唯一格納式のリトラクタブルヘッドライトを採用している。
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