父から息子へ、受け継がれたクラシックミニ【輸入車“若者”オーナー見聞録】
2016/05/21
物心ついたときからそばにいたミニ
父親が長らく乗っていて、自分も幼い頃にその車内で長い時を過ごした思い出の車。それを、成長し運転免許を取ると同時に父から譲り受ける。……感動的な話だが、実際はなかなかある話でもないだろう。しかし今回紹介する鈴木隼人さんは、そんな“できすぎエピソード”を地で行く人物だ。
「父がこのミニを買ったのが僕が3歳ぐらいの頃でしたから、物心ついたときからウチにはこのミニがありました。後部座席に座って、父の運転でいろいろなところへ行きました。そしてこのミニが、僕は本当に大好きだったんです」
そんな鈴木少年もいつしか鈴木青年となり、生まれ育った福島県を離れて就職のため東京へ。上京後しばらくは自家用車どころではないバタバタの生活だったが、そのうち余裕もでき、自宅近所で駐車場を借りる算段もついた。
「で、父に言ったわけです。『あのミニをぜひ譲ってほしい』と」
ここで「うむ、そうか! お前もついにあれに乗れるぐらいの男になったか!」と言ってお父さまが快く譲ってくれたなら美談だが、実際はお父さまもかなり気に入っていたため「難色を示されました(笑)」とのこと。
しかし結論としてその後、1998年式ミニは東京へやってきた。
ミニで車中泊!?
古い設計の車ゆえ故障がないわけではないが、そんなことは気にならないぐらい鈴木さんはミニにホレている。
「人生の一つひとつのシーンにこのミニがあって、それを今、自分が運転しているんだなぁ……という感慨もありますが、それだけじゃなく、ダイレクトというんでしょうか、とにかく思ったとおりにキビキビ動くのが本当に楽しいんです。そしてクラシックミニは車内が狭いですが、その “ちょうどいい穴蔵感”みたいなものも実はお気に入りなんです」
穴蔵感?
「はい。金曜日の夜に仕事が終わると、たいてい僕はミニに乗ってあちこちへ走りに行きます。で、そのままミニで車中泊しちゃうことが多いんですよ」
ミ、ミニで車中泊!
「 前席の左右に横たわるというか丸まって寝るんですが、微妙な穴蔵感、包まれ感が心地いいんです(笑)」
ミニに乗る用事がないときでも、会社帰りは駐車場に立ち寄って自分のミニを眺め、そして「……やっぱイイなぁ」と心の中でつぶやくという鈴木さん。
そこまで惚れ込んでくれたなら、難色を示しつつも譲ってくれたお父さまも納得だろう。……いや、本当は表面上渋ってみただけで、息子が「コレが欲しい!」と真剣に言ってくれて、実はかなりうれしかったのかもしれないけどね。
※この記事はカーセンサー本誌2016年7月号に掲載された「輸入車“若者”オーナー見聞録」を、WEB用に再構成したものです。年齢などの情報は掲載当時の内容に準じます。
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