田端F邸 +弓場章史 + LDKホーム(前編)
カテゴリー: カーライフ
タグ: EDGEが効いている / ガレージハウス
2010/05/26

ヤマトの司令室をイメージさせる書斎とそこから眺める英国車
約14坪の土地にクルマ2台が停められるガレージを作りたい。そんなリクエストに応えるために採用したのが、リフトを使った独創的なガレージだった。
天井の高いガレージを内包する黒い縦長の住宅
今回訪れたのは、東京都北区。周辺は下町情緒溢れる街並みで、谷中・根津・千駄木といった近ごろ人気の「谷根千」エリアも至近にある。
目的の住宅は、山手線の駅から徒歩数分という好立地。古くからの商店などが並ぶ中に、黒く細長い造形が独特の雰囲気を湛えている。正面に立つと、ガレージ扉の上部に設けられたガラス窓からMGのフロントマスクが覗いていることに気づく。無機質な印象の外観から、ここが住宅なのか店舗なのか、すぐには判断できない。見る者に「?」と思わせることも、狙いなのかもしれない。
設計を担当したのは、建築家の弓場さん。施主であるFさんが設計を依頼するにあたり出した条件は、「クルマ2台分の駐車スペース、ピアノ室ぐらいだったと思います」
と、弓場さん。しかし、約14坪の土地でこの条件を満たすことは、簡単ではないように思うのだが。
「クルマ2台を入れるには、奥行きも幅もスペースが足りないので、必然的にリフトを利用するしかありませんでした。また、正面の扉をシャッターにすると、人間が出入りするドアを別に設けないとなりませんし、リフト使用が前提なので巻上げ式のシャッターも使えません」
そのために、正面は3枚の引き戸を組み合わせている。結果、この造形が、この住宅の個性をより強調する効果をもたらしているようだ。
居住スペースへは、ガレージを経由しなければならない。しかし、高い天井と広い壁面により、その動線に油臭さや閉塞感はない。さらに、MGとローバー75という2台の英国車の存在も、単なる「車庫を通って玄関へ…」というイメージを払拭している。この2台が、たとえば国産のセダンとコンパクトカーだったならば、その印象は大きく違っていたはずだ。

田端F邸 建築家・弓場章史 + LDKホーム
弓場章史建築設計事務所 tel.03-3989-8522 http://yuba-arch.com
所在地:東京都北区 主要用途:専用住宅 家族構成:夫婦 構造:鉄骨造
規模:3階建 敷地面積:41.34㎡ 延床面積:100.12㎡
設計・監理:弓場章史建築設計事務所/弓場章史
プロデュース:LDKホーム(tel.03-5468-9775 http://ldk.co.jp/)
文・菊谷 聡 text / KIKUTANI Satoshi
写真・木村 博道 photos / KIMURA Hiromichi
構成・石井 隆 editorial / ISHII Takashi

東京都内の下町情緒溢れる北区にあるF邸は、約14坪の敷地面積に建てられた3階建ての住宅。1階部分はガレージが大半を占め、その中にはリフトがあり、クルマ2台の収容が可能

ガレージから中2階、そして居住空間へと続く階段を望むカット。ガレージは建物の玄関も兼ねていて、階段の手前が靴を脱ぐスペース。その奥にあるドアは半地下へと続く入口で、そこは奥様のためのピアノルームとなっている。
日刊カーセンサーの厳選情報をSNSで受け取る
あわせて読みたい
“SUV疲れ”した人に贈る「代わりに、実用性も備えるスタイリッシュフォルムが新鮮なコレ、どうですか?」5選
~その使命は感情を揺さぶる存在であり続けること~ スーパーカー論【カーセンサーEDGE 2025年7月号】
【試乗】新型 テスラ モデルY|もはや走りにも文句はなくなり全方位進化でBEV最強の1台へ!
【試乗】新型 アウディ A5|堂々たるサイズの新ネーミング基幹車種、ベーシックモデルも必要十分に実用的!
【試乗】新型 ヒョンデ インスター|軽自動車の十八番を奪うBEV! 愛らしいスタイルでも快適性はクラス以上!
その存在意義を考えさせられた、古都を舞台としたコンクールデレガンス
【試乗】新型 BMWアルピナ B4 GT|Dセグメントセダン最上! 良質なライドフィールを濃密に楽しめる“実用スーパーカー”
自由と絶景とハプニング! ルノー アルカナで行く神様が集まる「神津島」への旅
【海外試乗】新型 フェラーリ 296 スペチアーレ|こだわったのはドライビングファン! エレガントさを残したハイブリッドスーパースポーツの高性能モデル
今絶対乗っておくべき「マルチシリンダー・大排気量・自然吸気」のMTという絶滅寸前モデル5選!!