煩悩寺和尚のドライビングマナーに喝っ!

喝っ!


車が車であるために一番必要なこと、ご存じであろうか。それは何よりも安全に停まること。それに欠かせないのが、今や標準装備が当たり前となったABSである。ところで読者の中でいったい何人が床まで急ブレーキを踏みこんで、ABSを使ってありがたみを体験したことがおありだろうか。今からでもブレーキの踏みしろと、可能であればABSブレーキの利きを確認することをお勧めする。

だがしかし、ABSを過信してはいけない。ABSは使えて始めて役に立つ。この装置、ブレーキロックによる車のスリップを最小限にして、かつハンドル操作で危険回避をさせるとても安全に役立つ装置。しかし、制動距離を短くしてハンドル操作で危険回避をするためには、ブレーキが一度ロックしてABSが利かなければ意味がない。つまりはタイヤが一瞬ロックするのである。よって過信は命取り。己の車の状態を日常から把握していなくては、何の役にも立たない。

日頃、ブレーキはその身を減らし、車を危険から守っている。その都度、ブレーキは減って踏みしろが少しずつ増えて、知らず知らずにABSを利かせるためのブレーキロックが十分にできなくなってくる。中古車であればなおのこと、利きにくくなってきていると思うべし。雨の日に突然ABSが利いてビックリすることがある。高速道路の料金所の手前に敷いてある鉄板やマンホールの蓋、路面のペイントの上でブレーキを踏み込んだときがそれだ。

緊急回避は日頃のメンテナンスから|ドライブマナーに喝っ!これらの手前で十分に減速をしていれば問題はない。しかし急に減速をするとブレーキに負荷がかかりABSが利く状態になってしまう。そうなると、ABSが解除するまで、空走して前車にオカマを掘ってしまう。使えてナンボのABS。日頃から車の状態を点検し把握することこそ、事故回避の第一歩だと思え。


合掌っ!


Text/煩悩寺和尚 Illust/叶雅生