▲写真は日本遺産に認定された鯖街道の街並み ▲写真は日本遺産に認定された鯖街道の街並み

24府県で18件が認定された「日本遺産」とは?

世界遺産として登録された「明治日本の産業革命遺産」。九州を中心に8つのエリアと23の構成施設から成り、今年の夏休みも観光客で賑わっていた。しかし、その裏でひっそり(失礼)ながら「日本遺産」が選定されていたのはご存じだろうか。

日本遺産とは、地域の歴史的魅力や特色を通じて文化・伝統を語るストーリー性がある有形無形の文化財群のこと。前述した「明治日本の産業革命遺産」のように、ひとつの文化財だけでなく、あるストーリーに適合した複数の文化財から成立していると捉えると分かりやすいかもしれない。

▲写真は世界遺産に認定された軍艦島 ▲写真は世界遺産に認定された軍艦島

ただ、世界遺産登録や文化財指定と異なるのは、登録・指定される文化財(文化遺産)の価値付けを行い保護を担保することが目的ではないこと。地域に点在する遺産を「面」として活用して発信することで地域活性化することが目的なのだ。

現在、認定されている日本遺産は24府県で18件。有名な観光地では『「四国遍路」~回遊型巡礼路と独自の巡礼文化~』や『「信長公のおもてなし」が息づく戦国城下町・岐阜』などがある。

ドライブにオススメの日本遺産は「鯖街道」

そんな中で、カーセンサー的に注目したい日本遺産は『海と都をつなぐ若狭の往来文化遺産群 ~御食国(みけつくに)若狭と鯖街道~』だ。申請者である福井県のストーリー概要を下記に引用しよう。

===============
若狭は、古代から「御食国」として塩や海産物など豊富な食材を都に運び、都の食文化を支えてきた地である。

また、大陸からつながる海の道と都へとつながる陸の道が結節する最大の拠点となった地であり、古代から続く往来の歴史の中で、街道沿いには港、城下町、宿場町が栄え、また往来によりもたらされた祭礼、芸能、仏教文化が街道沿いから農漁村にまで広く伝播し、独自の発展を遂げた。

近年「鯖街道」と呼ばれるこの街道群沿いには、往時の賑わいを伝える町並みとともに、豊かな自然や、受け継がれてきた食や祭礼など様々な文化が今も息づいている。

================

とのこと。実は、若狭湾のある小浜から京まで鯖などの特産品を運んでいた鯖街道は、歴史上重要な幹線道路として利用され、歴史的・文化的価値を有する道路として国土交通省が選定した「歴史国道」にも認定されており、ドライブにもピッタリなのだ。

例えば、若狭と京都を結ぶ鯖街道の中継地点で鯖街道を往来する行商人の宿場として栄えた熊川宿には、国の重要伝統的建造物群保存地区に指定されて趣ある町並みが残り、資料館などもある。周辺には琵琶湖や比叡山延暦寺などの観光名所も多い。

▲写真は熊川宿の街並み ▲写真は熊川宿の街並み

ちなみに、ドライブのゴールとなる京都府では『日本茶800年の歴史散歩』が日本遺産に認定されている。様々な観光名所がある京都だが、お茶をテーマに府内を巡ってみるのも楽しいかもしれない。

世界遺産に登録されると観光客で賑わい、ゆっくりと見られないこともある。シルバーウイークには、あえて日本遺産へとドライブに出かけてみてはどうだろうか。

text/コージー林田 photo/PIXTA、コージー林田