120年ぶりの民法改正! 中古車の購入にどう影響するの?
カテゴリー: カーライフ
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2014/11/12
約款や瑕疵担保責任に変化が!
明治以来、120年ぶりに抜本改正されることになった民法。法務省は来年の通常国会に民法改正案を提出する予定です。今回の改正の大きなポイントは、債権法の改正。簡単にいえば、金銭のやりとりが発生する契約に大きな変更があるそうです。ほんの10~20年前と比べても、大きく時代が変わっているのだから、現代に合わせて改正するのは当然といえば当然でしょう。
改正案には様々なポイントがあり、一般消費者に関係がありそうなところでは、
・約款の見直し
・瑕疵への対応の見直し
・法定利率の見直し
・金銭の貸し借りの時効を統一。原則5年に設定
・敷金ルールの見直し
・認知症の高齢者など、判断力が弱い人が結んだ契約を無効にできる
・個人が連帯保証人になることを原則禁止。必要があれば公正証書の作成が必要
などがあります。 中古車を探している皆さんにとって特に重要な改正案は、「約款の見直し」と「瑕疵への対応の見直し」、「法定利率の見直し」の3つといっていいでしょう。
まずは、契約書の裏に書いてある契約条項である「約款」に関する改正です。約款は、可能な限りしっかり読んで契約をしたいものですが、内容が細かく、ついついよく読まずに捺印したという人も多いのではないでしょうか。
しかしこれ、原則では、捺印した時点でその約款に書いてある内容を承諾したということになります。
もちろん現時点でも、 「最初から売買の形態が詐欺的なものの場合、約款に理不尽なことが記載されている場合、消費者契約法に基づいて契約解除の申し立てができる」などの救済策はありますが、改正案では、そもそも約款自体に「消費者に著しく不利になる項目は無効にできる」といった内容が追加される可能性が高くなりました。より、消費者目線の約款になりそうですね。
次に「瑕疵担保責任」についての改正。「瑕疵」とは、「売買の対象とされた商品にある、購入時に一見して見つけることができないキズや故障」のこと。今回の改正では、瑕疵という表現も、よりわかりやすく、「契約の内容に適合しない」という表現に変更される可能性があるようです。
現状、瑕疵があった場合は「瑕疵担保責任」が適用されれます。これは、「買い主が瑕疵を知らず、かつ知らないことに過失がない場合、買い主は瑕疵の存在を知ったときから1年以内であれば、代替物との交換や損害賠償請求ができる」といったものです。中古車は、替えのきかない特定物なので、実際には、損害賠償または契約の解除を請求することになります。
しかし、今回の改正案では、「瑕疵があった場合は、購入者が販売店に、修理や交換、代金減額などを請求できる」と明記されるとのこと。中古車は一物一価、もし瑕疵があったとしても、すぐにまた、こだわりのある1台と出会えるとは限りません。そんなときは、修理してもらった方が良いという人もいるでしょう。そういった購入者には、うれしい改正になりそうです。
最後に「法定利率の見直し」。法定利率をまず3%に引き下げ。その後1年ごとに見直すことが検討されています。これにより、自動車関係で影響しそうなのが、自動車保険料の上昇。なぜ利率が下がっているのに保険料が上がるのでしょうか?
交通死亡事故の被害者は、逸失利益といわれる、将来得られるはずの収入を賠償で受け取ることができます。しかし、生きていたと想定する期間の収入の運用益分を差し引いて算出することになっています。この差し引く運用益分が法定利率に基づいているのです。これまでは年5%で減価されていた計算が、今後3%になると賠償金は増加します。保険会社は保険金の支払いが増えるので自動車保険料を値上げすることが考えられるのです。
現時点での民法改正案は、あくまで試案。特に、約款の部分などは、今後さらなる議論が予想されます。民法の改正と言われると、少し難しい感じもしますが、改正案が施行されたら、一度確認しておくといいと思いますよ。
【関連リンク】
- 民法(債権関係)部会資料(法務省法制審議会)【PDF】