速い、安い、楽しい、と三拍子揃ったお買い得な快速SUV

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コンセプト

若年層の取り込みを狙い、240馬力のターボ仕様

2028、1994、1036、548。この数字は順番にフォレスター、エクストレイル、CR-V、そしてエアトレックの今年5月の新車登録台数である。昨年6月に新生三菱のトップバッターとして登場したエアトレックであるが、現在マーケットの主流は“ミニバン&コンパクトカー”、同車のカテゴリーであるSUVマーケットはピーク時に比べて5分の1程度と旗色が悪い。

『スマートオールラウンダー』という提案で幅広い層への訴求を目指したものの実際は若年層よりも、30代から50 代のゾーンで売れていたのが現実だ。このクラスではエクストレイルがマーケットで成功しており、その意味からも若年層の取り込みと既存ユーザーから不満の出ていた「パワー不足」を補うために投入したのが今回の“240馬力仕様”ターボRだ。
室内&荷室空間

新デザインのアルミホイール。専用内装は2種類から選択可能

外観はボンネット上のエアスクープや大型のリアスポイラーをはじめ、新デザインのアルミホイール(さらに10mmのローダウン化)とサマータイヤを装着、控えめながら自己主張をしている。他グレードは同サイズのマッド&スノータイプだが240馬力というハイパワーを成立させるためには力不足ということだろう。

内装も専用のスポーツシートを採用、サイド部の張り出しもあり、サポート性も高い。これでも十分ではあるがランエボGT-Aにメーカーオプションのレカロシートが設定すらされていないのはちょっと商品力不足。インパネ回りはホワイトメーターとステアマチック付き本革ステアリング、そして“エモーショナル”と“エレガント”という2つのスポーツ仕様が無料で選択可能である。
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ドライブフィール

ロールも少なく“セダン”の走りに近づいた

「これがランエボと同じエンジン?」と思うほど扱いやすいのがターボRの第一印象だ。学習機能をもつミッション“インベックスII”は試乗時「早めのシフトアップ」という印象を受けたが、中低速寄りのエンジンセッティングはアクセル操作で十分すぎるトルクを発生、定員乗車でも山道をスイスイ登っていく。足回りもGT-A同様のロアアームバーなどの採用やローダウン化により、SUVにありがちなボディの揺れも少なく走りはセダンレベルにかなり近づいた。

唯一、気になったのがATをマニュアル操作した時の「一拍置く」ような変速ショック。エンジンレスポンスが鋭いだけにこの部分は改良してほしい。ただ、静粛性も高く余裕あるパワーでロングドライブも苦にしない「スポーツSUV」という狙いは十分達成されている。
こんな人にオススメ
SUVに“MOREパワー”を求めていた人にはかなり有力な選択肢。ただし、テレビCMやカタログではメーカーオプションのルーフレールが装着されている。しかしこれを装着すると全高は1580mmとなり多くの立体駐車場に入らない。これではせっかくのエアトレックのメリットが減ってしまうのでわざわざ選ぶ必要はない。
SPECIFICATIONS
グレード ターボR
駆動方式 フルタイム4WD
トランスミッション 5AT
全長×全幅×全高(mm) 4465×1750××1540
ホイールベース(mm) 2625
車両重量(kg) 1520
乗車定員 5人
エンジン種類 直列4気筒DOHCターボ
総排気量(cc) 1997
最高出力 177kW(240ps)/ 5500rpm
最大トルク 343N・m(35.0kg-m)/2500rpm
車両本体価格 229.5万円
写真:奥隅圭之 文:高山正寛(本誌)