スバル BRZ tS|ニューモデル試乗

これだけのチューニングが施されたモデルだけに、この価格はバーゲンプライスと言っていい。本物のチューニングを知ることのできる1台だ

FRスポーツカーの性能を最大限に引き出したコンプリートカー

基本性能の高いBRZをSTIが徹底的にチューニング

スバルテクニカインターナショナル(STI)が手掛けたBRZのコンプリートカーであるtS。ベースとなるBRZは量産車として非常に基本性能が高いモデル。STIの手により、さらに高いポテンシャルが実現できることが、このtSによって証明されている。

まず足回り。剛性を高めたフロントのストラットダンパーにより、走り出し時の細かい振動もしっかり抑えられている。足回りのチューニングに対する自信は、剛性の高いタイヤの選択にも現れている。

高剛性タイヤを採用した場合、サスペンションのセッティングのごまかしが利かない。路面から伝わるハードな衝撃に対してもボディの振動をフレキシブルタワーバーで分散し、ドライバーにネガティブな印象を与えない。これはラリーや耐久レースから得たノウハウだ。

チューニングの本質はぜひMTで味わいたい

FRのコントロール性を最大限に引き出しているポイントが2つある。

一つは、リアのサスペンションリンクアームにゴムではなくピロボールという金属製ブッシュを使っていること。これはゴムの反力を受けずにスムーズにサスペンションを動かすためのもので、コーナリング時にサスペンションに負荷がかかってもアライメント変化を抑える効能がある。

もう一つはドライブシャフトの大径化。コーナーを抜ける時、ドライブシャフトには大きな負荷がかかりねじれを起こす。このねじれがアクセル操作によるパワーの伝達を阻害するが、太いドライブシャフトを採用することでねじれが軽減される。

tSはピロボールと大径ドライブシャフトを採用し、意のままに操れるドライビングを実現しているのだ。

これだけのチューニングが施されたモデルが本体価格366万4500円(6MT)というのだから、バーゲンプライスと言い切れる。AT仕様もあるが、ここまで磨かれたチューニングはぜひMTで乗りたい。

本物のチューニングとは何かを教えてくれる1台だ。

エンジンルームには剛性をアップするフレキシブルタワーバーが装着される。エンジンスペックはベースとなるBRZ Sと同じ仕様だ

エンジンルームには剛性をアップするフレキシブルタワーバーが装着される。エンジンスペックはベースとなるBRZ Sと同じ仕様だ

インパネのパネルは専用のカーボン調を採用。フロントシートはアルカンターラ+本革。ステアリングのセンターにはSTIのロゴが入る

インパネのパネルは専用のカーボン調を採用。フロントシートはアルカンターラ+本革。ステアリングのセンターにはSTIのロゴが入る

GTパッケージには角度2段階調整式のドライカーボンリアスポイラーが装着される。またRECARO製フロントシートとSTI製18インチアルミホイールも装備する

GTパッケージには角度2段階調整式のドライカーボンリアスポイラーが装着される。またRECARO製フロントシートとSTI製18インチアルミホイールも装備する

SPECIFICATIONS

グレード BRZ tS
駆動方式 FR
トランスミッション 6MT 6AT
全長×全幅×全高(mm) 4260×1775×1290
ホイールベース(mm) 2570
車両重量(kg) 1240 1260
乗車定員(人) 4
エンジン種類 水平対向4DOHC
総排気量(cc) 1998
最高出力[kW(ps)rpm] 147(200)/7000
最大トルク[N・m(kg-m)/rpm] 205(20.9)/6400~6600
JC08モード燃費(km/L) -
ガソリン種類/容量(L) プレミアム/50
車両本体価格(万円) 366.45 374.325
Tester/松本英雄 Photo/篠原晃一