▲今回試乗したのは、2019年5月に発売となった新型のマツダ MAZDA3。自動車テクノロジーライターの松本英雄氏によるテストコースでの試乗の模様をレポートする▲今回試乗したのは、2019年5月に発売となった新型のマツダ MAZDA3。自動車テクノロジーライターの松本英雄氏によるテストコースでの試乗の模様をレポートする

デザインコンシャスなファストバックと機能美のセダン

マツダは、日本では馴染み深かった“アクセラ”という名を捨て、Cセグメントに旋風を巻き起こすべく“MAZDA3”を登場させた。

2019年5月に発売されたモデルなので、すでに公道で走っている姿を見かけるようになった。

今回はテストコースで、ファストバックおよびセダンモデルを乗り比べたのでレポートをお伝えする。

初めにそれぞれのエクステリアを見ていこう。

まずはファストバック。フロントノーズを低く見せるため、リアのボディ部分にボリュームをもたせている。

そしてフロントに比べて、リアは曲面を用いた造形でシャープさと柔らかさが混在したデザインだ。

当然この車は日本製だが、スウェーデンやイタリアンテイストを感じさせるような優雅なデザインでもある。

次は一見地味に見えるセダン。しかし、リア部分に空力のノウハウが注ぎ込まれており、スポーティなスタイルだ。しっかりとつくり込まれていることがわかり、私個人としてはとても好感がもてる。

▲【ファストバック】「色気のある塊」がテーマ。見る人に独創的で刺激的なライフスタイルを予感させることを目指したという ▲【ファストバック】「色気のある塊」がテーマ。見る人に独創的で刺激的なライフスタイルを予感させることを目指したという
▲【セダン】「凛とした伸びやかさ」がテーマで、落ち着いた大人の品格と優雅さを表現したという ▲【セダン】「凛とした伸びやかさ」がテーマで、落ち着いた大人の品格と優雅さを表現したという

価格以上の質感のインテリア

続いて車内に乗り込みインテリアを確認していく。

内装の質感はとても上質で、価格以上の満足感を得られる仕上がりだ。

着座位置が低いのは、新しいプラットフォームになったからだろう。

ファストバックの運転席に着座し後方を確認すると、デザインを優先させたためか、斜め後ろの視認性が良好とは言えない。

▲使用されている素材や上品なデザインを採用したインテリア(写真は別途撮影時のもの) ▲使用されている素材や上品なデザインを採用したインテリア(写真は別途撮影時のもの)

プラットフォームが大きく進化したことがわかる

さて、いよいよ試乗だ。最初はセダンの2Lガソリンモデル(20S L Package)に乗る。

走り出しは滑らかで、静粛性はかなり高い。

低速時の上下の動きが素早く、そしてソフトに収束するようにセッティングされているが、これはプラットフォームが進化しているからこそできるのだ。

低速から中速へと加速する。燃費対策のために、できる限りキックダウンさせたくないのはわかるが、レスポンスが良くないと感じる。さらにエンジンの吸気音が大きいことも気になるポイントだ。

一方で高速の安定性はとても良好だ。高速レーンチェンジを何度か試すと、安定感が高く挙動の乱れもすぐに収束する。シャシー剛性がとても高い証拠だろう。

ツイスティーなコースも走ったが極めてトレースしやすい。ボディの傾きを絶えず安定化させて、揺り返しが最小限に抑えられていることがわかる。

しかし、以前試乗したプロトタイプでもそうであったが、助手席のフロア(足元)に振動が伝わるので、全体的な剛性のバランス調整が必要となる。

▲高速時の安定性は高いのは、プラットフォームが進化したことによる恩恵だ ▲高速時の安定性は高いのは、プラットフォームが進化したことによる恩恵だ

スムーズさは申し分ないが、重さが気になるディーゼルエンジン

続いてデザインが話題のファストバック(XD PROACTIVE Touring Selection)に試乗だ。

エンジンは先ほどのセダンとは異なり、1.8Lのディーゼルエンジンが搭載されている。

エンジンを始動するとディーゼルとは思えないほど静粛性は高く、クリープ時の振動も気にならない。

ゆっくりと発進すると、低速時から安定したトルクでグイグイ加速する。

ガソリンエンジンでは頻繁に変速され慌ただしいと感じたトランスミッションのコントロールも、ディーゼルエンジンでは6速だということを忘れるほど滑らかに制御されており、落ち着いたドライバビリティを演出する。

中速から高速へ速度を上げる。とてもスムーズで、ワンクラス上のモデルなのではないかと感じさせるほどだ。

特に70~100km/hの中間加速は、同排気量のガソリンエンジンでは決して味わえない気持ち良い加速で、高速のクルージングに最適なのではと予感させる。

しかし、高速バンクを走行しているとガソリンモデルとは違った挙動をすることに気づく。先ほどはほとんど必要なかった、ステアリングの修正が必要だったのだ。

高速でのレーンチェンジも試してみると、やはり一瞬ステアリングの反応が遅く感じるのだ。

原因はエンジンの重さだろう。ガソリンエンジンに比べて、ディーセルエンジンの重量は100kgほど重いという。

乗り比べると一目瞭然であるため、改良による進化を待ちたい。

また、走行中に発生するクオーターパネル付近の風切り音が、セダンよりも大きかったことも気になるポイントだ。

▲非常にスムーズな加速が魅力的なディーゼルモデルだが、フロントノーズの重さが気になる ▲非常にスムーズな加速が魅力的なディーゼルモデルだが、フロントノーズの重さが気になる

ボディタイプの違いで空力にも差が出ている

試乗後に車から降りてじっくり2台を見ると、セダンとファストバックの空力の違いがすぐにわかる。

ファストバックは、リアゲート部分に付着する汚れが圧倒的に多い。空気をかき込んでしまっている証拠で、空力的にはあまりよくない。

欧州メーカーはそのあたりのことも計算しつつ、プレミアム性の高いデザインを送り出すが、デザインを優先にしてしまった結果だろうか。

近日中に一般公道での試乗も予定されている。公道のコンディションは、テストコースよりも厳しい状況であることが多いため、さらに両モデルの違いを感じられるだろう。

▲【セダン】落ち着いた見た目だけではなく、空力もしっかり考慮されているデザインだ ▲【セダン】落ち着いた見た目だけではなく、空力もしっかり考慮されているデザインだ
▲【ファストバック】デザインを優先させてしまったのか、セダンに比べて空力面は改良の余地がありそうだ ▲【ファストバック】デザインを優先させてしまったのか、セダンに比べて空力面は改良の余地がありそうだ
文/松本英雄、写真/尾形和美、篠原晃一
 

【試乗車 諸元・スペック表】
●セダン 20S L Package

型式 5BA-BPFP 最小回転半径 5.3m
駆動方式 FF 全長×全幅×全高 4.66m×1.8m×1.45m
ドア数 4 ホイールベース 2.73m
ミッション 6AT 前トレッド/後トレッド 1.57m/1.58m
AI-SHIFT - 室内(全長×全幅×全高) 1.82m×1.49m×1.16m
4WS - 車両重量 1350kg
シート列数 2 最大積載量 -kg
乗車定員 5名 車両総重量 -kg
ミッション位置 フロア 最低地上高 0.14m
マニュアルモード
標準色

ソニックシルバーメタリック、ジェットブラックマイカ、チタニウムフラッシュマイカ、ディープクリスタルブルーマイカ

オプション色

ソウルレッドクリスタルメタリック、マシーングレープレミアムメタリック、スノーフレイクホワイトパールマイカ

掲載コメント

-

型式 5BA-BPFP
駆動方式 FF
ドア数 4
ミッション 6AT
AI-SHIFT -
4WS -
標準色 ソニックシルバーメタリック、ジェットブラックマイカ、チタニウムフラッシュマイカ、ディープクリスタルブルーマイカ
オプション色 ソウルレッドクリスタルメタリック、マシーングレープレミアムメタリック、スノーフレイクホワイトパールマイカ
シート列数 2
乗車定員 5名
ミッション
位置
フロア
マニュアル
モード
最小回転半径 5.3m
全長×全幅×
全高
4.66m×1.8m×1.45m
ホイール
ベース
2.73m
前トレッド/
後トレッド
1.57m/1.58m
室内(全長×全幅×全高) 1.82m×1.49m×1.16m
車両重量 1350kg
最大積載量 -kg
車両総重量 -kg
最低地上高 0.14m
掲載用コメント -
エンジン型式 PE-VPS 環境対策エンジン H30年基準 ☆☆☆☆
種類 直列4気筒DOHC 使用燃料 レギュラー
過給器 - 燃料タンク容量 51リットル
可変気筒装置 - 燃費(10.15モード) -km/L
総排気量 1997cc 燃費(WLTCモード) 15.8km/L
└市街地:12km/L
└郊外:16km/L
└高速:18.2km/L
燃費基準達成 H27年度燃費基準
達成車
最高出力 156ps 最大トルク/回転数
n・m(kg・m)/rpm
199(20.3)/4000
エンジン型式 PE-VPS
種類 直列4気筒DOHC
過給器 -
可変気筒装置 -
総排気量 1997cc
最高出力 156ps
最大トルク/
回転数n・m(kg・m)/rpm
199(20.3)/4000
環境対策エンジン H30年基準 ☆☆☆☆
使用燃料 レギュラー
燃料タンク容量 51リットル
燃費(10.15モード) -km/L
燃費(WLTCモード) 15.8km/L
└市街地:12km/L
└郊外: 16km/L
└高速: 18.2km/L
燃費基準達成 H27年度燃費基準 達成車

●ファストバック XD PROACTIVE Touring Selection

型式 3DA-BP8P 最小回転半径 5.3m
駆動方式 FF 全長×全幅×全高 4.46m×1.8m×1.44m
ドア数 5 ホイールベース 2.73m
ミッション 6AT 前トレッド/後トレッド 1.57m/1.58m
AI-SHIFT - 室内(全長×全幅×全高) 1.82m×1.49m×1.16m
4WS - 車両重量 1410kg
シート列数 2 最大積載量 -kg
乗車定員 5名 車両総重量 -kg
ミッション位置 フロア 最低地上高 0.14m
マニュアルモード
標準色

ポリメタルグレーメタリック、ソニックシルバーメタリック、ジェットブラックマイカ、チタニウムフラッシュマイカ、ディープクリスタルブルーマイカ

オプション色

ソウルレッドクリスタルメタリック、マシーングレープレミアムメタリック、スノーフレイクホワイトパールマイカ

掲載コメント

-

型式 3DA-BP8P
駆動方式 FF
ドア数 5
ミッション 6AT
AI-SHIFT -
4WS -
標準色 ポリメタルグレーメタリック、ソニックシルバーメタリック、ジェットブラックマイカ、チタニウムフラッシュマイカ、ディープクリスタルブルーマイカ
オプション色 ソウルレッドクリスタルメタリック、マシーングレープレミアムメタリック、スノーフレイクホワイトパールマイカ
シート列数 2
乗車定員 5名
ミッション
位置
フロア
マニュアル
モード
最小回転半径 5.3m
全長×全幅×
全高
4.46m×1.8m×1.44m
ホイール
ベース
2.73m
前トレッド/
後トレッド
1.57m/1.58m
室内(全長×全幅×全高) 1.82m×1.49m×1.16m
車両重量 1410kg
最大積載量 -kg
車両総重量 -kg
最低地上高 0.14m
掲載用コメント -
エンジン型式 S8-DPTS 環境対策エンジン -
種類 直列4気筒DOHC 使用燃料 軽油
過給器 ターボ 燃料タンク容量 51リットル
可変気筒装置 - 燃費(10.15モード) -km/L
総排気量 1756cc 燃費(WLTCモード) 19.8km/L
└市街地:16.4km/L
└郊外:19.7km/L
└高速:21.8km/L
燃費基準達成 -
最高出力 116ps 最大トルク/回転数
n・m(kg・m)/rpm
270(27.5)/2600
エンジン型式 S8-DPTS
種類 直列4気筒DOHC
過給器 ターボ
可変気筒装置 -
総排気量 1756cc
最高出力 116ps
最大トルク/
回転数n・m(kg・m)/rpm
270(27.5)/2600
環境対策エンジン -
使用燃料 軽油
燃料タンク容量 51リットル
燃費(10.15モード) -km/L
燃費(WLTCモード) 19.8km/L
└市街地:16.4km/L
└郊外: 19.7km/L
└高速: 21.8km/L
燃費基準達成 -
松本英雄(まつもとひでお)

自動車テクノロジーライター

松本英雄

自動車テクノロジーライター。かつて自動車メーカー系のワークスチームで、競技車両の開発・製作に携わっていたことから技術分野に造詣が深く、現在も多くの新型車に試乗する。車に乗り込むと即座に車両のすべてを察知。その鋭い視点から、試乗会ではメーカー陣に多く意見を求められている。数々のメディアに寄稿する他、工業高校の自動車科で教鞭を執る。『クルマは50万円以下で買いなさい』など著書も多数。趣味は乗馬。