マツダ MAZDA2▲今回試乗したのは、2019年9月に登場したMAZDA2。自動車テクノロジーライターの松本英雄氏による公道試乗の模様をレポートする

デミオからMAZDA2へと名前を変えたコンパクト

マツダ デミオがMAZDA2へと改名し、アナウンスされたのは記憶に新しい。

マツダが、プレミアムブランドとしての認知度向上を熱望していることは、何となく理解できるはずだ。

統一感ある車名をもって、「世界に挑戦するMAZDA」を日本国内にもアピールしていることがよくわかる。

長い間、デミオというペットネームを携えていたが、プレミアムブランドとしてはバリューが低いという判断なのだろうか……。

初代デミオを2台乗り継いだ筆者としては、少々寂しい気がする。

MAZDA2となり、エントリーモデルながらブランドイメージの向上も担うようになった。

今回、骨格の変化はないようだが、デミオと比べどのように進化したのだろうか。

横浜みなとみらい地区を中心に試乗する機会を得たので、レポートしたい。

マツダ MAZDA2
マツダ MAZDA2 ▲デミオとMAZDA2を比較。外観デザインも若干変更されている(左:デミオ、右:MAZDA2)

しっかりと路面のうねりをいなし、コンフォート性が向上
MAZDA2 1.5 XD プロアクティブ Sパッケージ ディーゼルターボ(2WD)

まずは1.5Lディーゼルエンジンを搭載する、2WD仕様への試乗だ。

車内に入り感じたのが、インテリアの質感の高さだ。国産同クラスの中ではトップクラスである。

新たにあつらえたフロントシートも、素材がとてもよくなり見栄えも良い。

エンジンを始動してもキャビンの静粛性は高く、ディーゼルの振動や騒音は前モデルよりも向上している。

マツダ MAZDA2
マツダ MAZDA2 ▲シートにも改良が加えられている。上質さと遊び心を両立したデザイン/カラーコーディネーションを採用したという

横浜にあるマツダR&Dセンターから出発した我々は、まず試乗車の試練ともいうべき踏切を横断する。渡りきるまで20mほどであろうか。

今までの経験上、ここではリアのサスペンションがしなやかで落ち着いているモデルは、振動や衝撃などの路面からのインフォメーションをいなして、コンフォートな状態へと導いてくれるものが多い。

試乗したMAZDA2も、実にしなやかに通過することができた。細かな上下の動きに対して、足回りが柔軟に対応していることがわかる。

路面とのコンタクトは、デミオの最終仕様よりも明らかに良好だ。

通常であれば4WD仕様の方が、バランス的にも静粛性も優位になることが多いが、2WDでも十分心地よい。

そしてなにより、リアキャビンの振動からくる鼓膜が震えるような音圧が低くなり、進化を感じることができた。

マツダ MAZDA2 ▲最初にして最大の難関とも言ってよい踏切。ここを通過するだけで、車からの様々な情報をキャッチすることができる

国道1号線から首都高速に入る。素晴らしい加速だ。

上り坂のような、フロント荷重が低くなり前輪が浮き気味になる場面でも、しっかりと真っ直ぐ進んでくれる。

中速コーナーでもコンパクトクラスとは思えない安定感を発揮し、同時に路面のうねりもいなす。高速での走行もとても安定している。

今では少し物足りなさを感じる6速ATであっても、エンジンの粘り強い特性がゆえに、シフトチェンジが慌ただしくなりにくい。

このことも快適なドライビングのためには、大切な要素だ。

そして、前述した新しいシートは、ホールド性も高く滑りにくい。

サスペンションで吸収しきれない路面からの振動をとらえ、乗り心地が一気に向上したように感じるほど収まりが良いシートである。

基本骨格は同じなれど、中身は随分と厚みをもった味付けとなった。

駆動系に気になる点はあるが、4WDの恩恵をしっかり受けられる
MAZDA2 1.5 15S プロアクティブ Sパッケージ (4WD)

続いては、4WDのガソリンモデルへと試乗する。ガソリンエンジンは、ディーゼルに比べ静粛性が高く、振動も少ないというメリットがある。

Dレンジに入れてスタートする。クリープからの発進は、ディーゼルモデルよりゆったりとしている。一定速度での走行は申し分ない。

ただ、後輪へ動力を伝えるプロペラシャフト系からの振動を、少々感じる。

重量がかさみ運動性能が落ちやすい4WDであるが、滑りやすい路面下などで安定性を発揮してくれるということを考慮すれば、十分なパフォーマンスだと言える。

凹凸があり駆動力が伝わりにくい踏切を通過してみると、リアの追従性が気になる。4WDの方が、リアのサスペンションがやや硬めで振動も多いようだ。

一方、フロントの接地性はすこぶる良好だ。首都高速へ入り、コーナーでアクセルを踏み込んで負荷をかけてみても、すこぶる安定している。これこそ4WDの恩恵と言えよう。

ただし、6ATのミッションとのマッチングは、FFのディーゼル仕様よりもスムーズさに欠ける。

今回、2つのモデルに試乗をしたが、滑りやすい路面を多用するなど、様々なシチュエーション下での使用を考えれば、こちらの4WDに分がある。

だが、街中から高速といった一般的な場面で、スイスイと軽快に走らせられるのは2WDディーゼルだろう。

マツダ MAZDA2
文/松本英雄、写真/阿部昌也
 

【試乗車 諸元・スペック表】
●1.5 XD プロアクティブ Sパッケージ ディーゼルターボ(2WD)

型式 3DA-DJ5FS 最小回転半径 4.7m
駆動方式 FF 全長×全幅×全高 4.07m×1.7m×1.5m
ドア数 5 ホイールベース 2.57m
ミッション 6MT 前トレッド/後トレッド 1.5m/1.48m
AI-SHIFT - 室内(全長×全幅×全高) 1.81m×1.45m×1.21m
4WS - 車両重量 1110kg
シート列数 2 最大積載量 -kg
乗車定員 5名 車両総重量 -kg
ミッション位置 フロア 最低地上高 0.15m
マニュアルモード -    
標準色

ディープクリムゾンマイカ、エターナルブルーマイカ、ソニックシルバーメタリック、ジェットブラックマイカ、チタニウムフラッシュマイカ、ディープクリスタルブルーマイカ、セラミックメタリック

オプション色

ソウルレッドクリスタルメタリック、マシーングレープレミアムメタリック、スノーフレイクホワイトパールマイカ

掲載コメント

-

エンジン型式 S5-DPTS 環境対策エンジン -
種類 直列4気筒DOHC 使用燃料 軽油
過給器 ターボ 燃料タンク容量 44リットル
可変気筒装置 - 燃費(10.15モード) -km/L
総排気量 1498cc 燃費(WLTCモード) 25.2km/L
└市街地:23.3km/L
└郊外:25km/L
└高速:26.3km/L
燃費基準達成 -
最高出力 105ps 最大トルク/回転数
n・m(kg・m)/rpm
220(22.4)/3200
型式 3DA-DJ5FS
駆動方式 FF
ドア数 5
ミッション 6MT
AI-SHIFT -
4WS -
標準色 ディープクリムゾンマイカ、エターナルブルーマイカ、ソニックシルバーメタリック、ジェットブラックマイカ、チタニウムフラッシュマイカ、ディープクリスタルブルーマイカ、セラミックメタリック
オプション色 ソウルレッドクリスタルメタリック、マシーングレープレミアムメタリック、スノーフレイクホワイトパールマイカ
シート列数 2
乗車定員 5名
ミッション
位置
フロア
マニュアル
モード
-
最小回転半径 4.7m
全長×全幅×
全高
4.07m×1.7m×1.5m
ホイール
ベース
2.57m
前トレッド/
後トレッド
1.5m/1.48m
室内(全長×全幅×全高) 1.81m×1.45m×1.21m
車両重量 1110kg
最大積載量 -kg
車両総重量 -kg
最低地上高 0.15m
掲載用コメント -
エンジン型式 S5-DPTS
種類 直列4気筒DOHC
過給器 ターボ
可変気筒装置 -
総排気量 1498cc
最高出力 105ps
最大トルク/
回転数n・m(kg・m)/rpm
220(22.4)/3200
環境対策エンジン -
使用燃料 軽油
燃料タンク容量 44リットル
燃費(10.15モード) -km/L
燃費(WLTCモード) 25.2km/L
└市街地:23.3km/L
└郊外: 25km/L
└高速: 26.3km/L
燃費基準達成 -

●1.5 15S プロアクティブ Sパッケージ (4WD)

型式 6BA-DJLAS 最小回転半径 4.7m
駆動方式 4WD 全長×全幅×全高 4.07m×1.7m×1.53m
ドア数 5 ホイールベース 2.57m
ミッション 6AT 前トレッド/後トレッド 1.5m/1.48m
AI-SHIFT - 室内(全長×全幅×全高) 1.81m×1.45m×1.21m
4WS - 車両重量 1150kg
シート列数 2 最大積載量 -kg
乗車定員 5名 車両総重量 -kg
ミッション位置 フロア 最低地上高 0.15m
マニュアルモード    
標準色

ディープクリムゾンマイカ、エターナルブルーマイカ、ソニックシルバーメタリック、ジェットブラックマイカ、チタニウムフラッシュマイカ、ディープクリスタルブルーマイカ、セラミックメタリック

オプション色

ソウルレッドクリスタルメタリック、マシーングレープレミアムメタリック、スノーフレイクホワイトパールマイカ

掲載コメント

-

型式 6BA-DJLAS
駆動方式 4WD
ドア数 5
ミッション 6AT
AI-SHIFT -
4WS -
標準色 ディープクリムゾンマイカ、エターナルブルーマイカ、ソニックシルバーメタリック、ジェットブラックマイカ、チタニウムフラッシュマイカ、ディープクリスタルブルーマイカ、セラミックメタリック
オプション色 ソウルレッドクリスタルメタリック、マシーングレープレミアムメタリック、スノーフレイクホワイトパールマイカ
シート列数 2
乗車定員 5名
ミッション
位置
フロア
マニュアル
モード
最小回転半径 4.7m
全長×全幅×
全高
4.07m×1.7m×1.53m
ホイール
ベース
2.57m
前トレッド/
後トレッド
1.5m/1.48m
室内(全長×全幅×全高) 1.81m×1.45m×1.21m
車両重量 1150kg
最大積載量 -kg
車両総重量 -kg
最低地上高 0.15m
掲載用コメント -
エンジン型式 P5-VPS 環境対策エンジン H30年基準 ☆☆☆☆☆
種類 直列4気筒DOHC 使用燃料 レギュラー
過給器 - 燃料タンク容量 44リットル
可変気筒装置 - 燃費(10.15モード) -km/L
総排気量 1496cc 燃費(WLTCモード) 17.2km/L
└市街地:14.3km/L
└郊外:17.4km/L
└高速:18.7km/L
燃費基準達成 -
最高出力 110ps 最大トルク/回転数
n・m(kg・m)/rpm
141(14.4)/4000
エンジン型式 P5-VPS
種類 直列4気筒DOHC
過給器 -
可変気筒装置 -
総排気量 1496cc
最高出力 110ps
最大トルク/
回転数n・m(kg・m)/rpm
141(14.4)/4000
環境対策エンジン H30年基準 ☆☆☆☆☆
使用燃料 レギュラー
燃料タンク容量 44リットル
燃費(10.15モード) -km/L
燃費(WLTCモード) 17.2km/L
└市街地:14.3km/L
└郊外: 17.4km/L
└高速: 18.7km/L
燃費基準達成 -
松本英雄(まつもとひでお)

自動車テクノロジーライター

松本英雄

自動車テクノロジーライター。かつて自動車メーカー系のワークスチームで、競技車両の開発・製作に携わっていたことから技術分野に造詣が深く、現在も多くの新型車に試乗する。車に乗り込むと即座に車両のすべてを察知。その鋭い視点から、試乗会ではメーカー陣に多く意見を求められている。数々のメディアに寄稿する他、工業高校の自動車科で教鞭を執る。『クルマは50万円以下で買いなさい』など著書も多数。趣味は乗馬。