ロータリーのもつ、走りの味つけをより“深化”させた入魂作

(Tester/高山正寛 Photo/尾形和美)

コンセプト
発売後初となる大型のマイナーチェンジを実施

マツダ RX-8 フロント|ニューモデル試乗マツダ RX-8 リア|ニューモデル試乗マツダ RX-8 インパネ|ニューモデル試乗
2003年5月のデビューから早いもので5年、世界にも類を見ないロータリーエンジン搭載スポーツカーであるRX-8が初のマイナーチェンジを行った。「初の」とあえて書いたのは、この間にも足回りに手を加えた特別仕様車や、一部改良時にATを4速(これは設計が古かった…)からロードスターと同様のFR用6速タイプに変更するなどしているからだ。

他の自動車メーカーだったらこの段階で「大幅なマイナーチェンジです!」と声高らかに宣伝しそうなものだが、マツダはこの辺が真面目というか、ひたむきというか…。この程度ではRX-8のマイナーチェンジと言わないところに、この車を長いサイクルで育てようという、単なる商品ではない“愛情”を感じてしまうのである。

室内&荷室空間
内外装にも大幅な手を加え、よりダイナミックな印象に

マツダ RX-8 フロントシート|ニューモデル試乗マツダ RX-8 リアシート|ニューモデル試乗マツダ RX-8 トランスファーレバー|ニューモデル試乗
RX-8のチーフデザイナーはただいま大ヒット中の現行デミオを手がけた前田氏である。発表当時にいくつか話を聞いた際に印象的だったのが、デザインは発表段階で一つの完成形であったこと。これをマイナーチェンジで「鮮度向上」を図らなければならないのだから、違う意味で手がかかる作業のはずだ。

実際、見た目の印象は結構変わった。基本の造形を生かしつつ、大開口部をもつグリルとバンパー、特に新設定されたRSには大型のエアロタイプが装着されたことや、全長が35mm延長されたことで造形はダイナミックなものとなっている。内装に関しても同様で、メーター配置やデザイン、懸案だったカーナビもG-BOOKALPHA対応のHDDタイプに変更されるなど、その変化は大きい。

ドライブフィール
軽快さが向上、積極的にシフト操作がしたくなる気持ちよさ

マツダ RX-8 走り|ニューモデル試乗マツダ RX-8 エンジン|ニューモデル試乗マツダ RX-8 タイヤ|ニューモデル試乗
試乗したのはビルシュタイン製ダンパーを搭載する新設定のRS。6MTのみの設定だが、まずこのミッション自体がマイナーチェンジでマツダ内製になっている。ギアの切り替えも節度感が向上し、好印象。

実は今回スポーツ系グレードではエンジン出力が25psダウンしているのだが、RENESISにはかなり手が加えられ、前述したミッションとの相乗効果もあり、懸念された中低速でのドライバビリティも向上している。そしてこのRSの足回りは、RX-8の路面トレース性能をさらに向上させ、より軽快な走りを実現しているのだ。

RX-8は進化ではなく、その走りを極めるという“深化”という方向性であると個人的には思う。今回のマイナーチェンジで今後のRX-8の深化に期待できそうだ。

こんな人にオススメ

RX-8のピュアなスポーツ性を堪能したいのであれば、RSがやはりイチオシ、将来のリセールバリューにも期待がもてる。一方でスポーツカーとしての走りと充実した装備を両立させたいのであれば、タイプEという選択肢もある。出力こそ、215psに落ちるが、8ウェイ電動パワー本革シートの装着でぐっと大人の雰囲気も味わえる。
主要諸元のグレード タイプRS
駆動方式 FR
トランスミッション 6MT
全長×全幅×全高(mm) 4470×1770×1340
ホイールベース(mm) 2700
車両重量(kg) 1350
乗車定員(人) 4
エンジン種類 直2ローター
総排気量(cc) 654ccx2
最高出力[kW(ps)rpm] 173kW(235ps)/5500rpm
最大トルク[N・m(kg-m)/rpm] 216N・m(22.0kg-m)/4400rpm
ガソリン種類/容量(L) 無鉛プレミアム/61
車両本体価格 315万円