▲先代の「フィット アリア」とは大きく雰囲気を変え登場した新型車、グレイス。スモールセダンでありながら流麗なエクステリアと、質感の高いインテリア素材が採用された ▲先代の「フィット アリア」とは大きく雰囲気を変え登場した新型車、グレイス。スモールセダンでありながら流麗なエクステリアと、質感の高いインテリア素材が採用された

パワートレインへの細やかな改善が見てとれる

アジア諸国における小型車への需要は高い。特にセダンには高級なイメージを抱く。グレイスは、ホンダが肝いりで開発を進めた5ナンバーセダン。日本市場はもちろん、アジアで求められる上質さを詰め込んだ1台だ。

フィットベースで作られているが、ホイールベースを70mm延ばして後席の居住性を向上させた。過去の5ナンバー枠のセダンというと実用性重視のデザインだが、最近のホンダはバタくさいほどスポーティ指向。グレイスもスポーツセダンの雰囲気をまとう。

最もハイグレードな16インチモデルのFF車「EX」を、一般道から高速道を含めて試乗した。乗り込むとAピラーはやや寝かせすぎな印象もある。走り出すとすぐに、フィットハイブリッドよりもスムーズで滑らかなトランスミッションとエンジン&モーターのマッチングに気付く。質の良い加速で静粛性も申し分ない。フィット初期のパワートレインに見受けられた、ギクシャクとしたネガな印象が払拭されていて心地よい。

モーターは、発進と加速の燃料消費が多い部分にアシストを加え、排気量を超えたドライバビリティを演出する。エンジンも回せば回したなりの加速と速度をストレスなく発揮する。ホンダの高いエンジンブロック剛性ならではの恩恵だ。

サスペンションストロークはゴツゴツとしたところもなく、ホンダとしては今までなかったと思えるほど乗り心地は快適。16インチのスポーティなタイヤであるがマッチングの良いセットアップだ。コーナリングでは、ほどよいロール剛性が確保されているおかげでハンドリングは良好である。たとえ横風を受けたとしてもその良さは変わらない。

一つ言うなら、ステアリングの高速域でのインフォメーションが若干希薄か。もう少し重みを感じるセッティングだと、長距離を運転したり車線変更を繰り返しても疲れないだろう。

総じてこのサイズとしては珍しく優良なセダンと言えそうだ。

▲ワンモーションのルーフラインをモチーフに、流麗なスタイルが追求されている ▲ワンモーションのルーフラインをモチーフに、流麗なスタイルが追求されている
▲ハイブリッドのみのラインナップで、セダンNo.1の低燃費34.4km/L(JC08モード)を実現している(2014年12月現在。プラグインハイブリッド車は除く。ホンダ調べ) ▲ハイブリッドのみのラインナップで、セダンNo.1の低燃費34.4km/L(JC08モード)を実現している(2014年12月現在。プラグインハイブリッド車は除く。ホンダ調べ)
▲コンパクトなボディサイズながら、アコードに匹敵するほどの後席空間が確保されている ▲コンパクトなボディサイズながら、アコードに匹敵するほどの後席空間が確保されている
▲スモールセダンでは珍しく、トランクスルー機構によって長尺荷物を積み込むことができる ▲スモールセダンでは珍しく、トランクスルー機構によって長尺荷物を積み込むことができる

【SPECIFICATIONS】
■グレード:ハイブリッドLX ■乗車定員:5名
■エンジン種類:直4DOHC+モーター ■総排気量:1496cc
■最高出力:81(110)/6000+22(29.5)/1313-2000[kW(ps)/rpm]
■最大トルク:134(13.7)/5000+160(16.3)/0-1313[N・m(kgf・m)/rpm]
■駆動方式:FF ■トランスミッション:7AT
■全長×全幅×全高:4440×1695×1475(mm) ■ホイールベース:2600mm
■車両重量:1180kg
■JC08モード燃費:34.4km/L
■車両本体価格:204万円(税込)

■グレード:ハイブリッドEX ■乗車定員:5名
■エンジン種類:直4DOHC+モーター ■総排気量:1496cc
■最高出力:81(110)/6000+22(29.5)/1313-2000[kW(ps)/rpm]
■最大トルク:134(13.7)/5000+160(16.3)/0-1313[N・m(kgf・m)/rpm]
■駆動方式:4WD ■トランスミッション:7AT
■全長×全幅×全高:4440×1695×1500(mm) ■ホイールベース:2600mm
■車両重量:1270kg
■JC08モード燃費:29.4km/L
■車両本体価格:240万9800円(税込)

text/松本英雄 photo/尾形和美、阿部昌也