ボルボ XC60▲新型XC60は、アクセルペダルだけの操作で加減速を可能にしたワンペダルドライブ機能を装備。市街地のストップ&ゴーも加減速を繰り返すワインディングのドライブも楽しめそうだ

パワートレインを刷新しトータルの動力性能を上げてきた注目モデル

ボルボのベストセラーSUVであるXC60のプラグインハイブリッド(PHEV)モデルが新しくなった。正式な車名は「ボルボ XC60 リチャージ プラグインハイブリッド T6 AWD インスクリプション」で、実は従来までの「T8」から数字が小さくなっている。

スペックを見ると、エンジンは従来備わっていたスーパーチャージャーが廃されて2Lターボとされている。単体でのスペックは従来の最高出力318ps、最大トルク400N・mから同253ps、350N・mへと低下しているのだが、この車がPHEVだということを忘れてはいけない。

実はフロントのCISG(クランクマウンテッド・インテグレーティド・スタータージェネレータ)と呼ばれる小型電気モーターは、従来の最高出力46ps、最大トルク160N・mから同54ps、160N・mへ。そしてリアモーターに至っては、同87ps、240N・mから145ps、309N・mへと大幅にスペックを向上させているのだ。しかも、リチウムイオンバッテリーの容量も11.6kWhから18.8kWhへと大きくなっている。
 

ボルボ XC60▲エンジンは2Lターボに変更。加えてバッテリー容量を大きく、モーター出力をアップしてきた

結果としてXC60のPHEVは、トータルでの動力性能が高まり、これまで以上に高い速度域まで電気モーターだけで走れるようになり、航続距離もさらに長くなったというわけである。

そうした数値を知らなかったとしても、乗ればその差はすぐに体感できるはずだ。十分に充電された状態であれば車はエンジンを始動することなく発進するが、まずこの領域の力強さが段違いに増している。そして、そのままアクセルを踏み込んでいってもエンジンはかからず、至極滑らかに、力強く加速していく。

高速道路に入っても、あえて全開にしたりしない限りは通常のHybridモードでもエンジンはかからないままスーッと走っていく。感覚的には、ほとんどバッテリーEVの世界である。

しかも、今回のモデルからはアクセルペダルの操作だけで発進から減速、停止までできる、いわゆるワンペダルドライブも可能になった。これは、まさに電気モーター駆動ならではの新鮮な走りの楽しさ。ちなみにこれ、オン・オフの切り替えが可能なのも嬉しいポイントだ。
 

ボルボ XC60

EV航続距離は最長で81km。充電状況が一定の値を下回るとエンジンと電気モーターを併用するハイブリッドになる。このEV航続距離も、そして実際のドライブフィーリングも、よりバッテリーEVに近づいたと言っていい。

2030年のラインナップ完全BEV化を目指すボルボ。現状、国内販売に占めるPHEV比率は12.4%だという。この車の完成度を見れば、その数字が今後さらに伸びてくるのは間違いなさそうだ。
 

ボルボ XC60
ボルボ XC60
ボルボ XC60
文/島下泰久、写真/柳田由人
島下泰久

モータージャーナリスト

島下泰久

1972年生まれ。自動車専門誌から経済誌やファッション誌などに数多く寄稿、YouTubeチャンネルを主宰するなど幅広く活躍するモータージャーナリスト。「間違いだらけのクルマ選び」の著者でもある

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ボルボ XC60

XC60の現行型は世界累計100万台の販売台数を誇る、ベストセラープレミアムSUVの2代目として2017年に登場している。

現在時点(2022年5月末)の流通量は380台前後と品揃えは豊富。流通しているモデルのパワートレインは大まかにガソリンターボ、ディーゼルターボ、マイルドハイブリッドの3タイプ。価格帯は車両本体価格で320万~900万円となる。台数の多いボリュームゾーンは450万~700万円。目安としてこれくらいの予算感であれば選びやすいだろう。
 

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文/編集部、写真/阿部昌也