ボルボ V60|ニューモデル試乗

この出来ならぜんぜんワガママで選ぶ車じゃない。奥さんもきっと許してくれる。エントリーグレードであるT4の399万円に対してT6は559万円と値が張るが、4WD+その装備差を吟味すれば、許容範囲だと気づくはず

安心感と心地よさと。真の意味で安全な車

自動ブレーキは自転車までも検知

「2020年までに新しいボルボ車において、交通事故による死亡者や重傷者をゼロにする」。ボルボが掲げる「ビジョン2020」だ。

いまや国産車をはじめ多くのモデルが採用するようになった自動ブレーキも、先鞭をつけたのはボルボだ。そして、歩行者を検知する「ヒューマン・セーフティ」に加え、この2014年モデルでは前方に飛び出した自転車を検知する「サイクリスト検知機能」までを備える。

エクステリアやインテリアにも大幅に手が加えられている。顔つきは、特徴的だったDNAライトと呼ばれるポジションライトが廃されグリルを大型化、メーターはV40から採用された液晶タイプに、パドルシフトに、新形状のシートに、と変更箇所は多岐にわたる。

“まろみ”が何とも言えず心地よい

1.6L直4「T4」は最近のダウンサイジングエンジンの中でも相当にパワフルだ。60シリーズのボディでは何ら不満はない。デュアルクラッチの6速パワーシフトも洗練が進んでいる。

しかし、なんといっても素晴らしいのはT6AWDだ。いまどきレアな3L直6ターボエンジンをフロントに横置きで搭載し、4輪を駆動する。足には「FOUR-C」という電子制御シャシーを組み合わせるが、あらためて久しぶりに乗って驚いた。

軽さももちろん大事なことなのだが、シルキーなエンジンの感触や車重の重さや熟成によってもたらされた“まろみ”がなんとも言えず心地よい。

いざというときの安心感と、ストレスフリーな乗り味と、その両方を備える、本当の意味で安全な車だ。

リアバンパーのボディ同色部分を拡大、最上級グレードのT6にはデュアルテールパイプも装着した

今回のマイナーチェンジでリアバンパーのボディ同色部分を拡大、最上級グレードのT6にはデュアルテールパイプも装着した

低速用追突回避・軽減オートブレーキの作動速度域が30km/hから50km/hへと向上した。サイクリスト検知機能も備える

低速用追突回避・軽減オートブレーキの作動速度域が30km/hから50km/hへと向上した。サイクリスト検知機能も備える

ラゲージは変わらず430Lを確保している。分割可倒式リアシートや前方可倒式の助手席により長尺物などにも対応する

ラゲージは変わらず430Lを確保している。分割可倒式リアシートや前方可倒式の助手席により長尺物などにも対応する

SPECIFICATIONS

グレード T4 SET6 AWD
駆動方式 2WD4WD
トランスミッション 6AT
全長×全幅×全高(mm) 4635×1845×14804635×1865×1480
ホイールベース(mm) 2775
車両重量(kg) 15601800
乗車定員(人) 5
エンジン種類 直4DOHCターボ直6DOHCターボ
総排気量(cc) 15952953
最高出力[ps/rpm] 180/5700304/5600
最大トルク[N・m/rpm] 240/1600-5000440/2100-4200
車両本体価格(万円) 429559
Tester/藤野太一 Photo/向後一宏