ベントレー コンチネンタルGTスピード|ニューモデル試乗

実際に普段使いでパフォーマンスのすべてを解き放つのは、まず不可能。それでも、この性能にエクストラコストを求めるのは、特に今の時代、究極的にワガママというものだろう。それをよくわかっているオトナのドライバーじゃなきゃ乗る資格はない

自分だけの無類のよろこびのために

速度が高まるほどにさらに安定していくかのよう

最高速330km/hをマークする市販車史上最速のベントレー、コンチネンタルGTスピードの心臓はおなじみの6L W12ツインターボである。最高出力はGTと比較すると50ps増の625ps、最大トルクは同じく100Nm増の800Nm。その強大なアウトプットは8速ATを介し、前後40:60の割合で4輪へと伝達される。

ハイチューンにもかかわらずドライバビリティは犠牲となってはおらず、低速域でもトルクは分厚い。それでいて回せば、巡航中は静かだった排気音が野太い音色へと一変してパワーが炸裂。100km/hからでもまるでゼロ発進のような猛烈な勢いで加速して、あっという間に250㎞/hオーバーの領域まで到達してしまう。

こんな走りを余裕で楽しめるのは、鍛え直されたシャシーのおかげだ。車高が10mm下げられたほか各部が締め上げられることで、まるで速度が高まるほどにさらに安定していくかのような感覚を味わうことを可能にしている。

その安定感には実は空力も大きく作用していて、ドラッグを減少させつつ、ダウンフォースはコンチネンタルGTより8%向上しているという。220km/hあたりからの一段とぴたっと吸い付くような感覚は、まさにその恩恵だろう。

あえて周囲にひけらかす必要はない

ワインディングロードでの明らかにニュートラルステア寄りのしつけも絶妙で、気持ち良く飛ばせる。どこを取ってもセットアップはさすがのうまさである。

このように、ドライビングパフォーマンスはとにかく素晴らしい。一方で外の仕立てなどは、グリル類の色やホイールのデザインなどごく一部が変わっただけで、一瞬で違いを見極めるのは不可能だ。

けれど、それでいい。オーナーは明らかにGTとは異なる価値、自分だけの楽しみを見つけていて、あえてそれを周囲にひけらかす必要はないのだから。

4WDシステムは前後トルク配分を40:60とし、走行状況に合わせて前後配分を変化させる

4WDシステムは前後トルク配分を40:60とし、走行状況に合わせて前後配分を変化させる

車高はベースより10mm低く設定。車高とダンピングを走行状況に合わせて適正化するセルフレベリングシステムを搭載

車高はベースより10mm低く設定。車高とダンピングを走行状況に合わせて適正化するセルフレベリングシステムを搭載

W12エンジンは最新マネージメントシステムによりベースモデルを50ps/100Nm上回る。0→100km/h加速は4.2秒に

W12エンジンは最新マネージメントシステムによりベースモデルを50ps/100Nm上回る。0→100km/h加速は4.2秒に

SPECIFICATIONS

グレード CONTINENTAL GT SPEED
駆動方式 4WD
トランスミッション 8AT
全長×全幅×全高(mm) 4806×1944×1394
ホイールベース(mm) 2746
車両重量(kg) 2320
乗車定員(人) 4
エンジン種類 W12DOHCターボ
総排気量(cc) 6000
最高出力[ps/rpm] 625/6000
最大トルク[N・m/rpm] 800/2000
Tester/島下泰久 Photo/ベントレー モーターズ