アストンマーティン ヴァンキッシュは「野獣の美女」である
カテゴリー: アストンマーティンの試乗レポート
2015/02/26

野獣の美女。その価値、数字で語るべからず
目の前に差し出されて、乗っていいぞ! と言われた瞬間に、自分が別人、それも何か特別な人間、になったような気分になる。もちろん、同時に“自分には似つかわしくない”というためらいもあって、そう思わせるあたりがノーブルな英国ハイエンドブランド=ロールスロイスやベントレー、そしてアストンマーティンの個性であったりする。
アストンマーティンの中でも、ヴァンキッシュは、そしてそのネーミングは、やはり特別中の特別だ。どこか、畏れ多い。美女と野獣、ではなく、野獣の美女。
ZF製の8速ATを新たに組み合わせたMY15のヴァンキッシュ。走りの瞬間瞬間の洗練度は大いにアップしたが、鋭い牙と磨いだ爪を隠す猛獣を相手にするような感覚は、まるで失われていない。
クリスタルキーを差し込み、V12のクランキングを聞きながら、その目覚めを待つ一瞬、からして、今やレアな体験だ。
動きだすと、引き締まった筋肉のようなアルミニウムストラクチャーを感知することができる。最新の流行レベルで判ずれば、“ガチガチ”と言っていい乗り心地も、巧妙にまとめられたパッケージングの生む一体感ある走りを味わっているうちに、すっかり忘れてしまうことだろう。路面のすぐ上でノーズが鋭く動いているような感覚が、実にスポーツカーだ。
スーパースポーツ界にあって、600ps以下の数字は、確かに物足りない。けれども、踏み切れない700psよりも、気分はずっといい。
ノスタルジーをモダンに表現する上手さもまた、ブリティッシュハイクラスならではだ。



【SPECIFICATIONS】
■グレード:VANQUISH ■乗車定員:2名
■エンジン種類:V12DOHC ■総排気量:5935cc
■最高出力:-(576)/6650[kW(ps)/rpm]
■最大トルク:630/5500[N・m/rpm]
■最大トルク:630(-)/5500[N・m(kgf・m)/rpm]
■駆動方式:FR ■トランスミッション:8AT
■全長×全幅×全高:4728×1912×1294(mm) ■ホイールベース:2740mm
■車両重量:1739kg
■JC08モード燃費:-km/L
■車両本体価格:3239.46万円(税込)
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