▲今やいろいろな意味でハードルも低くなっているだけに、ドイツ車ばかり乗ってきたという人にこそ、ぜひ乗ってほしい。その世界にハマッたら、生活の様式や、着るものの好みにすら変化を及ぼすかもしれない。XEにはそれぐらいの実力、そして個性が宿っている ▲今やいろいろな意味でハードルも低くなっているだけに、ドイツ車ばかり乗ってきたという人にこそ、ぜひ乗ってほしい。その世界にハマッたら、生活の様式や、着るものの好みにすら変化を及ぼすかもしれない。XEにはそれぐらいの実力、そして個性が宿っている

実力十分、味わい濃厚なミドルサイズ・ジャガー登場

ジャガーは今まで、一度たりとも期待を裏切ったことがない。しかし今回は想像以上。3シリーズやCクラスなど強豪ひしめくセグメントに挑戦するXEは、これらと肩を並べる、いや凌駕すらする素晴らしい出来映えに仕上がっているのだ。

まずは走りが素晴らしい。アルミモノコック製のボディは剛性感高く、新設計のサスペンションは実にしなやかに路面をいなしていく。しかも、それでいてコーナリングは絶品。ステアリングの反応は鋭く、横剛性の高いリアが盤石のスタビリティでそれに応える。意のままになるフットワークは、近年のジャガーの中でもベストと評せるほどである。

エンジンの主力は新設計の直列4気筒2Lターボ。用意されるガソリンとディーゼルはともに滑らか、かつパワフルで、特にディーゼルの静粛性の高さは感動的なレベルだ。

トップレンジに用意されるXE SにはV型6気筒3Lスーパーチャージドエンジンが搭載される。最高出力340psを発生するこれはFタイプ譲りの心臓。こちらはこちらで上質なスポーティさに魅了されてしまう。

とは言え、これまでだってジャガーの走りは良かった。問題は他の部分にあったというのが正直なところだ。しかし信頼性は、近年JDパワーの顧客満足度調査で1位を取るほど高まっているし、安全装備も最新のものが揃う。走りのためにガマンしたり犠牲にしたりという要素、もはやないと言っていい。

強いて言えば見た目は地味かもしれないけれど、皆がこぞってイカツさを追いかける中、この品の良さはかえっていいのでは? とにかく今、このセグメントでイチ推しのXE。少なくともライバル車を検討しているならば、味見してみる価値はある。

▲奥まったグリルやスリムなライトをもつブランドフェイスを採用。フェンダー上部の面やサイドベントもデザインポイントだ▲奥まったグリルやスリムなライトをもつブランドフェイスを採用。フェンダー上部の面やサイドベントもデザインポイントだ
▲Fタイプ譲りのスポーツステアリングを採用。他モデル同様、シフトがせり出すジャガードライブセレクターを備える ▲Fタイプ譲りのスポーツステアリングを採用。他モデル同様、シフトがせり出すジャガードライブセレクターを備える
▲ドライバーを包み込むような形状のフロントシートは低い位置に設置、スポーツカーのようなポジションを実現した ▲ドライバーを包み込むような形状のフロントシートは低い位置に設置、スポーツカーのようなポジションを実現した

【SPECIFICATIONS】
■グレード:XE S ■乗車定員:5名
■エンジン種類:V6DOHCスーパーチャージド ■総排気量:2994cc
■最高出力:340/6500[ps/rpm]
■最大トルク:450/3500[N・m/rpm]
■駆動方式:2WD ■トランスミッション:8AT
■全長×全幅×全高:4680×1850×1415(mm) ■ホイールベース:2835mm
■車両重量:1710kg ■車両本体価格:769万円(税込)

text/島下泰久 photo/ジャガー・ランドローバー・ジャパン