▲エレガントなスタイリングは女性が乗っても絵になりそうだけれど、とにかく“走りの味”が濃いスポーティセダンなので、様々な車を乗り継いできた本物のエンスージャストにこそ乗って欲しい。インテリアの質感が多少低いことなんてきっと気にならないはず ▲エレガントなスタイリングは女性が乗っても絵になりそうだけれど、とにかく“走りの味”が濃いスポーティセダンなので、様々な車を乗り継いできた本物のエンスージャストにこそ乗って欲しい。インテリアの質感が多少低いことなんてきっと気にならないはず

走りの味を徹底追究した新世代ジャガーの先鋒

海外のショー会場で対面したときにはややぼんやりした印象にとどまっていたスタイリングは、こうしてスペインの陽光の下で見るとシャープなエッジが浮かび上がり、シンプルなデザインにほどよいアクセントを加えてプロポーションのよさを際立たせている。

新開発の2L直4ディーゼルターボはスムーズで伸びやかなパワーをもたらすだけでなく、ディーゼルとは思えない澄んだ音色を奏でる。既存の2L直4ガソリンターボと3L V6ガソリンスーパーチャージドにだってなに一つ不満は思い浮かばなかった。

けれども、ジャガー XEに試乗してもっとも強く印象に残ったのは、足回りの巧みな仕立てだった。軽くその辺を走らせるだけなら、乗り心地の快適なセダンとしか感じられないかもしれない。けれども、ワインディングロードを飛ばし始めると、その印象は一変する。とにかくステアリングの微妙な操作にも正確に反応してくれるので、それこそcm単位で走行ラインをコントロールできる。それでいながら神経質なところは皆無。まるで乗り手の意図を的確に読み取るサラブレッドのように、どんな場面でも意のままに操れるのだ。

このXE、ジャガーがDセグメントに再進出する記念すべきモデルというだけでなく、今後登場するいくつかの主要モデルとボディ構造やパワープラントを共用する最重要なモデルでもある。ボディの75%以上に高価なアルミ素材を使ったり、リアにインテグラルリンクという凝った形式のサスペンションを投入したのがその証。

しかも新しいディーゼル・エンジンのためには工場を新設したほどの力の入れ具合なのだ。噛めば噛むほど、いや乗れば乗るほど味わい深く感じられるのは、彼らの努力を考えれば当然のことといえるだろう。

▲アンダーを抑えるトルクベクタリング・バイ・ブレーキを装着。ブランド初の車速感応式電動パワーステアリングも備えた▲アンダーを抑えるトルクベクタリング・バイ・ブレーキを装着。ブランド初の車速感応式電動パワーステアリングも備えた
▲Sに搭載される3Lスーパーチャージド。日本には2種類のガソリンと1種類のディーゼルターボが導入される ▲Sに搭載される3Lスーパーチャージド。日本には2種類のガソリンと1種類のディーゼルターボが導入される

【SPECIFICATIONS】
■グレード:XE S ■乗車定員:5名
■エンジン種類:V6DOHCスーパーチャージド ■総排気量:2994cc
■最高出力:340/6500[ps/rpm]
■最大トルク:450/3500[N・m/rpm]
■駆動方式:2WD ■トランスミッション:8AT
■全長×全幅×全高:4680×1850×1415(mm) ■ホイールベース:2835mm
■車両重量:1710kg ■車両本体価格:769万円(税込)

text/大谷達也 photo/ジャガー・ランドローバー・ジャパン