改造車風味丸出しの暴走スタイリング

  • ジャガー XKR-S 走り|ニューモデル試乗
  • ジャガー XKR-S インパネ|ニューモデル試乗
XKRのコックピットをベースにしたインパネ回り。専用外板色“ソリッドブルー”に合わせてブルーのアクセントや“XKR-S”のロゴを各部に採用
2011年のジュネーブショーでデビューを果たしたハイパフォーマンスモデルのXKR-S。ジャガー量産モデル(つまりXJ220やレーシングを除いて)としては史上最強で、最高速300km/hを標榜する。ベースはXKRで、直噴5Lスーパーチャージドエンジンは550ppsにまでバージョンアップ。

パワーアップに合わせて、シャーシや空力もリアレンジされている。特にスタイリングの変貌がめざましい。ノーマルモデルもマイナーチェンジを果たしてそれなりにアグレッシブさを増してはいるけれども、ひとたび“RS2”(開発者はそう呼ぶ。というのも以前、XKR-Sという欧州限定車が存在したため)の戦闘的なスタイルを見てしまえば、ベースモデルの印象など吹き飛んでしまう。

もっとも、サイドスカートやリアウイングは、それがいかに空力が優れていたとしても、ちょっと兄ちゃんドリフターズ風で、気恥ずかしいが。
  • ジャガー XKR-S 足回り|ニューモデル試乗
  • ジャガー XKR-S リアスタイル|ニューモデル試乗
パワーアップに伴いサスペンションやブレーキを強化。パワートレインは直噴5LV8スーパーチャージャーに、6速ATを組み合わせる。専用の外装色やフロントリップスポイラー、リアスポイラーなどを装着。動力性能はベースモデル比で+40psの最高出力550ps、+7.1kg-mの最大トルク69.3kg-mを発生。0→96km/h加速4.4秒、最高速300km/h

まるでニッサンのスポーツカー!?

「 このライドフィールでいいと思っているの?」。酔いに任せてエンジニアに迫るボク。「911よりはいいだろう?」。すかさず答える開発責任者。「いやそういうことじゃなく、ジャガーらしいかどうかって話」「らしいんじゃないのか?」「らしくない」「どこが…」「だからさ…」。試乗を終えた夜のパーティでの出来事だ。

ちなみに隣には本誌でもお馴染み島下君もいた。ボクたちが言いたかったのは、確かにXKR-Sは速いしシャーシ性能は高いし(ブレーキはプアだけど)、サーキットで走らせたら楽しいし、格好はやんちゃだし、高性能スポーツカーとして評価できるけれども、肝心のジャガーらしさには欠けている、と。!

軽やかに言ってしまえば、速いけどひどい乗り心地。はっきり言って、速いけど古い。これがジャガーじゃなく、日産あたりが作ったとしたら“らしい!”と褒めていいところだったが…。

SPECIFICATIONS

主要諸元のグレード V8 スーパーチャージド クーペ
全長×全幅×全高(mm) 4794×1892×1312
車両重量(kg) 1753
エンジン種類 V8スーパーチャージャー
総排気量(cc) 5000
最高出力[ps/rpm] 550/6000-6500
最大トルク[Nm/rpm] 680/2500~5500
Tester/西川淳 Photo/ジャガー・ランドローバー・ジャパン