乗り心地はよりマイルドに、エンジンの伸びはスムーズ

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コンセプト

顧客層の拡大を狙うジャガー初のFFモデル

「今までのジャガーは“not for me”だけど、これはいいかも…」。ジャガーのエントリーモデルであるXタイプは、こういった多くの人にジャガーを身近な存在として認知してもらおうという使命をもって、昨年、日本市場にも登場した。

その追加車種として投入されたモデルが今回の2.0 V6で、待たれていたジャガー初のFFモデルである。

ちなみにジャガージャパンによると、これまでXタイプを購入したユーザーの約5割は、前保有車が国産車だったという。さらに今回の2.0 V6の追加で、それが約7割にまで増えるのでは?と、予測しているという。2.0 V6のグレードは単一の設定で、価格は365万円。これはアウディA4のベースモデル、2.0より3万円高いが、M・ベンツCクラス、BMW3シリーズよりも低めの設定だ。
室内&荷室空間

雰囲気は4WDと同様DVDナビを標準装備

電動&パワーシートこそ備わらないが、室内のムードは4WDのXタイプと変わらない。感心するのはDVDナビが標準装備される点だ。バーズアイメープルウッドのインパネや、J型シフトゲートなども見慣れた光景だ。後席スペースはそこそこのレベルだが、弧を描くサイドウインドウのラインはジャガーならではといえる。
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ドライブフィール

素直な姿勢変化には好感。しなやかさがより欲しい

動力性能は予想以上に快活だった。さすがに2000rpmを下回ると反応が鈍くなるが、シフト操作でカバーしながら回転を保つと、有効なパワーを引き出してドライブできる。回転の伸び自体も非常にスムーズ。エンジン音はそれほど色気のあるものではないが、高回転域でも耳障りではない。乗り心地は、4WDモデルに比べると若干マイルドになった印象を受ける。けれど“多くの人が期待したとおりのジャガーであること(プレゼンの資料より)”とするなら、さらに滑らかな身のこなしを期待してしまうのは僕だけか?

試乗車の装着タイヤはピレリP6000 POWERGYだった。それ自体は欧州のサルーンカーによく採用されているタイヤだが、コーナーを次々とパスするような場面でもXタイプの足回りは、しっかりと接地感を確保してくれる。ステアリングフィールが“薄い”にもかかわらず、だ。

車の素直な姿勢変化にも好感がもてる。が、低速時に時としてゴツつき感を感じるのが残念。ジャガーなら重厚感はそのままに、よりしなやかな“振る舞い”ならなおいい気もする。しかし現状でも、FMから流れてきた曲を聴きながら走っていると、ずっとこうしていたいと思わせてくれた。
こんな人にオススメ
スペック至上主義のユーザーではなく、やはり、叙情的にムードを大事にする人、個性を重視する人が乗りこなすべき車なのだろう。とはいえSタイプよりもさらに若々しいイメージであることは確かで、「アドリアティック」と呼ばれるやや明るいブルーメタリックなど選んで乗れば、相当スマートに見えそうだ。
SPECIFICATIONS
グレード 2.0 V6
駆動方式 FF
トランスミッション 5AT
全長×全幅×全高(mm) 4685×1790×1420
ホイールベース(mm) 2710
車両重量(kg) 1520
乗車定員 5人
エンジン種類 水冷V型6気筒DOHC
総排気量(cc) 2096
最高出力 117kW(159ps)/6800rpm
最大トルク 200N・m(20.4kg-m)/4100rpm
車両本体価格 365.0万円
写真:橋本 玲 文:島崎七生人