ドイツ車風のハンドリングが特徴の、最も身近なジャガー登場

  • ジャガー Xタイプ 走り|ニューモデル試乗
  • ジャガー Xタイプ リアスタイル|ニューモデル試乗
コンセプト

新規ユーザー獲得を狙うジャガーのエントリーモデル

1999年にSタイプが登場するまでは、ジャガーのセダンにはXJシリーズの数モデルしかなかった。BMWで言えば7シリーズ、メルセデスならSクラス系に匹敵するほどの超プレミアムモデルしか作っていないブランドだったと言っても過言ではない。

しかし近年はより多くの人にジャガーというブランドを浸透させたい、ユーザーを増やしたい、もっと言えばユーザーの年齢層の幅も広げたいという方針で、ニューモデルの市場投入を行ってきた。そういう意味で、今回発表となったXタイプはミドルサイズのボディ、400万円台から購入可能な価格など、魅力的な要素をふんだんに提示し、ジャガーのエントリーモデルとしてより多くのユーザー獲得、ブランドイメージの浸透を図っていくつもりのようだ。
室内&荷室空間

小さくてもジャガーの雰囲気と独特のスタイルを貫く

メーターパネルからグローブボックスの上までフラットに続くウッドパネルやそれを覆うダッシュのライン。センターコンソールの形状や“Jゲート”と呼ぶジャガー独特のスタイルをもつATのゲートパターンなど、インテリアの雰囲気はジャガー以外の何物でもない。室内は部分的に樹脂や合皮を採用していたりもするが、作り込みの細かさ、上質感はしっかりと感じられた。

3タイプあるモデルバリエーションの中にはクロス(布)シートもあり、素材感とデザイン性も高い。ミドルサイズのボディと言ってもやや大きめなXタイプは後席のスペースも十分なもの。ボンネットのプレスラインによって前端の感覚もつかみやすく、取り回しの良さも感じられる。ラゲージのスペースもボディサイズに対して十分であった。
  • ジャガー Xタイプ インパネ|ニューモデル試乗
  • ジャガー Xタイプ リアシート|ニューモデル試乗
ドライブフィール

おおらかな乗り味からドイツ車風の硬い走りに

ジャガーと言えばFRでありXJ系のまったりとおおらかな乗り味が独特。クラシカルな雰囲気がそこにはある。Xタイプはそういう意味ではごくごく今時のドイツ車風のハンドリングが印象的だ。とにかくボディがカッチリと作り込まれており、ハンドリングのダイレクト感や軽快さが新鮮であった。いかにも最先端のテクノロジーを採用した車なのだ。

Xタイプは全モデルFFベースの4WDだ。前後駆動配分の調整でFRテイストのドライブフィールを得ることが可能。もちろん走行安定性は2WDよりも高いだろうし、テイスト以外にも4WDのメリットはある。エンジンは2.5Lと3Lの2タイプでどちらもV6。音のチューニングと力強さに余裕たっぷりなのは3Lだが、2.5Lでも実用的にはまったく問題ない。
こんな人にオススメ
3シリーズやCクラス、A4よりは少々大きめサイズだが、同じクラスとして選択肢に入れるだけの価値はあり。ジャガーブランドにこだわらなくても、新しいミドルサイズサルーンに乗りたい人にはうってつけ。2.5LV6は実用車として425万円という価格以上に魅力的に感じられた。
SPECIFICATIONS
グレード 3.0 V6 SE
駆動方式 4WD
トランスミッション 5AT
全長×全幅×全高(mm) 4685 x 1790 x 1420
ホイールベース(mm) 2710
車両重量(kg) 1620
乗車定員 5人
エンジン種類 V型6気筒DOHC
総排気量(cc) 2967
最高出力 172kW(234ps)/6800rpm
最大トルク 284N・m/3000rpm
車両本体価格 525万円
写真:奥隅圭之 文:飯田裕子