フィアット パンダ|ニューモデル試乗

イタリアじゃフツウの車だからしょうがないんだけど、フツウの車として進化したぶん、ツウな風味がちょっと薄れてしまったな、と。スタイルにしろ、インテリアにしろね

フツウに進化した“フツウ”の車

期待と不安を入り交じらせてのご対面

いまだに初代パンダを見ると日本の茶室にも通じる質素さに心引かれる者としては、“ホントはパンダじゃなかった”2代目パンダにシンパシーを抱くまで少し時間がかかったものだ。けれども、足腰のしっかりした走りとユニークなスタイリングで、ノスタルジーに浸る固い心を徐々に解きほぐしてくれたのもまた事実。

筆者にとっては、そんな位置づけになるパンダの3代目。

試乗会を前に“構えるな”というほうがムリなわけで、生来のイタリア車好きなスタンスと相まって、期待と不安を入り交じらせて新型パンダと相まみえることとなった。

ボチボチ可もなく不可もなく

結論からいうと、ボチボチ可もなく不可もなくかな、という感じ。

ジンゴパンダゆずりのシルエットは、まあ、よしとして、気になるのは曲線を多用した結果、妙にこびた雰囲気になってしまったこと。もうちょっと不器用な見栄えのほうが、頼れるイタリアの実用車って思えたはず。インテリアもそう。ちょっと格好つけすぎたような、もっとださくて良かった気もして…。

走りもまずまず、ナットク。900ccツインエアは、相変わらず調子いいし、500のときほど十二分で楽しいと思ったわけではない(キャラクターが違うから)けれど、合格レベルだ。ボディ&シャシーのデキもいい。5速のロボタイズドミッションも、かなり成熟した。とはいえ、スムーズに走らせるには3ペダルを操るようなコツを習得したほうが断然いい。もっとも、これを良しとするかしないかが、イタリアの小さな車に対する“今踏み絵”になってしまったが。

軽い接触などからボディを守ってくれる、サイドとバンパーのプロテクト・ストリップが精悍さとタフさを演出している

軽い接触などからボディを守ってくれる、サイドとバンパーのプロテクト・ストリップが精悍さとタフさを演出している

インテリアトリムとコーディネイトされたフレームで囲まれたインパネは、初代のデザインとアイデアを発展させたもの

インテリアトリムとコーディネイトされたフレームで囲まれたインパネは、初代のデザインとアイデアを発展させたもの

ボディサイズを拡大したことやスリムな形状のシートを用いたことにより、室内の長さが20mm、ラゲージも10L広くなった

ボディサイズを拡大したことやスリムな形状のシートを用いたことにより、室内の長さが20mm、ラゲージも10L広くなった

SPECIFICATIONS

グレード Easy
駆動方式 FF
トランスミッション 5SCT
全長×全幅×全高(mm) 3655×1645×1550
ホイールベース(mm) 2300
車両重量(kg) 1070
乗車定員(人) 5
エンジン種類 直2DOHCターボ
総排気量(cc) 875
最高出力[ps/rpm] 85/5500
最大トルク[N・m/rpm] 145/1900
車両本体価格(万円) 208
Tester/西川淳 Photo/向後一宏