粘りある乗り味とスッキリとした加速が魅力

(Tester/西川 淳 Photo//阿部昌也、尾形和美)

コンセプト
全高を抑え、全幅を拡大。欧州Cセグの王道を行く

プジョー 308 フロントスタイル|ニューモデル試乗プジョー 308 リアスタイル|ニューモデル試乗プジョー 308 インパネ|ニューモデル試乗
307シリーズの後継モデルはVWゴルフなどと同じ欧州Cセグメントに属する。このクラスにおいてもモデルチェンジのたびに大型化するのが当たり前で、308も例に漏れず長く幅広く“成長”した。全高を抑えたのは、307がミニバンっぽく見えたことの反省か。いずれにしても、コンパクトカーにむやみな頭上空間はいらない。全幅1.8m超えも気になる。

まずは3グレード用意されるがすべて1.6L直噴ターボを搭載。ノーマルでも従来の2L直4とパワーで同等、トルクで勝る。もちろん、207同様、BMW(ミニ)との共同開発ガソリンエンジンだ。

個性的で迫力のある顔立ちや躍動感あふれるリア回りなど、プジョーのいうフェリーヌ(猫科動物)スタイルが理解できる形だ。

室内&荷室空間
吟味されたマテリアルなど新時代のプジョーにふさわしい

プジョー 308 前席|ニューモデル試乗プジョー 308 パノラミックルーフ|ニューモデル試乗プジョー 308 リアシェルフ|ニューモデル試乗
本国では昨年9月にデビュー済み。このクラスにあって個性的なルックスと質感の高いインテリアがまずは好感をもって欧州のユーザーからは評価されているようだ。

インテリアの作りにはエクステリア以上に力が入ったという。プジョーらしさと新しさを両立した雰囲気は、そのデザインだけでなく、柔らかな質感のダッシュ素材などマテリアルも吟味した結果生み出されたもの。外観との共通モチーフ(V字フォルム)も散見され、クラスターやトリムのデザインなどにもデザイナーの目が行き届いているのがいい。レザーシートの質感だけは相変わらずイマイチ。

また、シエロやGTにはフルレザー仕様も受注生産で用意される。パノラミックルーフ仕様なら、室内の開放感も一層大だ。

ドライブフィール
全グレードにターボを搭載し、低速域から扱いやすい

プジョー 308 走り|ニューモデル試乗プジョー 308 エンジン|ニューモデル試乗プジョー 308 タイヤ|ニューモデル試乗
2つのエンジンがあり、スポーティ仕様のGTのみ、175psハイプレッシャーターボの3ドア6MTというホットハッチ仕立て。残りは5ドアで、140ps+4ATとなる。

中心モデルとなりそうな、シエロに試乗した。車高が抑えられたといってもフロントスクリーン越しの視界はほとんどミニバン級。広がった車幅はそのまま隣席との余裕の距離を稼いでいる。

直噴ターボエンジンらしい、低回転域からの力強さが307との大きな違いだ。パワーのノリも申し分なく、街中かつATでも扱いやすい。 低速では多少ゴツゴツしているも、速度が増すにつれ、懐深く粘りのネコアシが姿を見せる。ダンパー自社開発の情熱が爽快なワインディングの走りを生み出す。高速安定性の高さも光った。

こんな人にオススメ

定番ゴルフじゃ今さらなあ、と思っている“これから輸入車”派、ハッチバックが好きで&“気持ちよく走りたい”派、ハッチバックでもデザインに“個性が欲しい”派。いずれにしても、一風変わった趣味の持ち主であることを明確に主張したい人。プジョーファンのみならず、フランス関連好きも、どうぞ。ネコアシは中高速域でお試しあれ!
主要諸元のグレード シエロ
駆動方式 FF
トランスミッション 4AT
全長×全幅×全高(mm) 4290×1820×1515
ホイールベース(mm) 2610
車両重量(kg) 1360
乗車定員(人) 5
エンジン種類 直4DOHCターボ
総排気量(cc) 1598
最高出力[kW(ps)rpm] 103kW(140ps)/5800rpm
最大トルク[N・m/rpm] 240N・m(24.5kg-m)/1400-3500rpm
10・15モード燃費(km/L) 10.8
ガソリン種類/容量(L) 無鉛プレミアム/60
車両本体価格 345.0