【試乗】新型 BMW 3シリーズツーリング 318i|2L 4気筒エンジンを備える上質なエントリーグレード
カテゴリー: BMWの試乗レポート
タグ: ステーションワゴン / スタイリッシュ / FR / 3シリーズツーリング / 松本英雄
2021/03/02
2L 4気筒エンジンで追加された「318i」
かつて、バブル絶頂期に“六本木のカローラ”と呼ばれたBMWがあった。でも実際には、それほど購入しやすいとはいかない高級ドイツ車であった。
それが2代目の“E30”と呼ばれる、BMW 3シリーズを一躍日本に広めたモデルである。その当時はエントリーモデルに、4気筒の「318i」があった。当時、よく見かけたモデルである。
「BMWは6気筒じゃないと」と豪語する車好きもいるだろうが、1960年代からBMWを世に知らしめたのは、4気筒モデルの乗用モデルである。
何が言いたいかというと、エントリーモデルを導入する意味は、「価格の差はあるが、フィロソフィーに甲乙はない」ことを示すということなのだと思う。
先代にも「318i」は導入されていて、これは1.5L ターボの3気筒モデルだった。しかし、新型の3シリーズには、2L ターボの4気筒モデルとして「318i」を導入したのだ。背伸びした表記ではない、BMWの王道の考え方が戻ったと言っていい。
今回は、その舶来FRの「318iツーリング」を、ワインディングで試したのでお伝えしたい。
エントリーグレードであっても確かな内装
ツーリングはワゴン車であるが、荷室の開口部が広く使い勝手がいい。少々、丈がある物でも積み込みやすいのである。
しかし、後方の車軸より重心高があるので、旋回時において不利な面もあるが、通常の走行では気にならないことが多い。そのあたりも吟味したい。
ドアを開けてシートに腰を下ろすと感じるのは、国産の同クラスでは味わえない質感の高さだ。この車のオーナーは、触れる部分はもちろん、指先で行う操作系に至るまで精度の高い質感を感じ取れるであろう。
グレードがアップして価格が上がるよりも、エントリーモデルであっても基本の基がしっかりとしたモデルの方が良心的だ。コックピットを眺めて即座にそう感じた。
エンジンを始動すると、静粛性が非常に高いことが分かる。セレクターを倒し、Dレンジに入れてゆっくりと駐車場を出発した。非常に滑らかな発進だ。段差もしなやかにいなし、奥深いストロークを感じさせる。
2L 4気筒エンジンならではの余裕ある走り
試乗コースは、神奈川県の箱根ターンパイクだ。まずは、下り坂からスタートする。
タイトなカーブが連続するが、ステアリングはしなやかでまるで不安定さがない。6気筒モデルと比べると、若干路面とのコンタクトが軽い印象だが、速度を増すとどうだろう。少し踏み込んでみる。
下りということもあり、8速ATはスムーズ極まりない。ATのセレクトは、トルクバンドのピーク前にシフトアップして、スムーズで燃費にも寄与したプログラムになっている。
このような場合は、ブレーキが要となる。ブレーキを使って速度を落とすが安心感があり、温度が上がってもコントロール性能はリニアで良好だ。
リアのハッチの開口部の剛性も、気にならない。セダンとそれほど大きくは変わりない剛性感だ。むしろ、セダンよりもリアの上下にボディが動いたときの追従性がしなやかに感じられた。
麓まで下りきると、帰りは箱根ターンパイクの上りである。出力は抑えられているといっても、2L 4気筒ターボだ。どこから踏んでも加速に不満はない。エンジンの剛性も高く、高負荷でも、不愉快を感じさせないのが良質なエンジンの証しである。
加速してフロントに荷重がかかりにくくとも、しっかりと追従してコンタクトを不安定にさせない。直線でグッと踏み込み加速しても、真直性は良好である。
もし仮に、1台スポーツカーがあって、この“素”の「318iツーリング」がガレージにあったならば、間違いなく車好きの通を感じさせる組みあわせだ。本質を知るにふさわしい1台である。
【試乗車 諸元・スペック表】
●BMW 3シリーズツーリング 318i
型式 | 3BA-6K20 | 最小回転半径 | 5.3m |
---|---|---|---|
駆動方式 | FR | 全長×全幅×全高 | 4.72m×1.83m×1.47m |
ドア数 | 5 | ホイールベース | 2.85m |
ミッション | 8AT | 前トレッド/後トレッド | 1.58m/1.59m |
AI-SHIFT | - | 室内(全長×全幅×全高) | -m×-m×-m |
4WS | - | 車両重量 | 1610kg |
シート列数 | 2 | 最大積載量 | -kg |
乗車定員 | 5名 | 車両総重量 | 1885kg |
ミッション位置 | フロア | 最低地上高 | 0.14m |
マニュアルモード | ◯ | ||
標準色 |
アルピン・ホワイト、ミネラル・ホワイトメタリック、ポルティマオ・ブルーメタリック |
||
オプション色 |
ミネラル・グレーメタリック、ブラック・サファイア、メルボルン・レッドメタリック、タンザナイト・ブルーメタリック、オキサイド・グレーメタリック、ドラバイト・グレーメタリック、シトリン・ブラックメタリック、ブリリアント・ホワイトメタリック、フローズン・ダーク・グレーメタリック |
||
掲載コメント |
- |
型式 | 3BA-6K20 |
---|---|
駆動方式 | FR |
ドア数 | 5 |
ミッション | 8AT |
AI-SHIFT | - |
4WS | - |
標準色 | アルピン・ホワイト、ミネラル・ホワイトメタリック、ポルティマオ・ブルーメタリック |
オプション色 | ミネラル・グレーメタリック、ブラック・サファイア、メルボルン・レッドメタリック、タンザナイト・ブルーメタリック、オキサイド・グレーメタリック、ドラバイト・グレーメタリック、シトリン・ブラックメタリック、ブリリアント・ホワイトメタリック、フローズン・ダーク・グレーメタリック |
シート列数 | 2 |
乗車定員 | 5名 |
ミッション 位置 |
フロア |
マニュアル モード |
◯ |
最小回転半径 | 5.3m |
全長×全幅× 全高 |
4.72m×1.83m×1.47m |
ホイール ベース |
2.85m |
前トレッド/ 後トレッド |
1.58m/1.59m |
室内(全長×全幅×全高) | -m×-m×-m |
車両重量 | 1610kg |
最大積載量 | -kg |
車両総重量 | 1885kg |
最低地上高 | 0.14m |
掲載用コメント | - |
エンジン型式 | B48B20A | 環境対策エンジン | - |
---|---|---|---|
種類 | 直列4気筒DOHC | 使用燃料 | ハイオク |
過給器 | ターボ | 燃料タンク容量 | 59リットル |
可変気筒装置 | - | 燃費(JC08モード) | 15.4km/L |
総排気量 | 1998cc | 燃費(WLTCモード) | 13.3km/L └市街地:9.9km/L └郊外:13.4km/L └高速:15.5km/L |
燃費基準達成 | - | ||
最高出力 | 156ps | 最大トルク/回転数 n・m(kg・m)/rpm |
250(25.5)/4300 |
エンジン型式 | B48B20A |
---|---|
種類 | 直列4気筒DOHC |
過給器 | ターボ |
可変気筒装置 | - |
総排気量 | 1998cc |
最高出力 | 156ps |
最大トルク/ 回転数n・m(kg・m)/rpm |
250(25.5)/4300 |
環境対策エンジン | - |
使用燃料 | ハイオク |
燃料タンク容量 | 59リットル |
燃費(JC08モード) | 15.4km/L |
燃費(WLTCモード) | 13.3km/L └市街地:9.9km/L └郊外: 13.4km/L └高速: 15.5km/L |
燃費基準達成 | - |
自動車テクノロジーライター
松本英雄
自動車テクノロジーライター。かつて自動車メーカー系のワークスチームで、競技車両の開発・製作に携わっていたことから技術分野に造詣が深く、現在も多くの新型車に試乗する。車に乗り込むと即座に車両のすべてを察知。その鋭い視点から、試乗会ではメーカー陣に多く意見を求められている。数々のメディアに寄稿する他、工業高校の自動車科で教鞭を執る。『クルマは50万円以下で買いなさい』など著書も多数。趣味は乗馬。
【関連リンク】
あわせて読みたい
- 先代BMW 3シリーズ(F30型)を買うなら、総額150万円以下が狙い目だ!
- 【試乗】新型 日産 ノート|市販モデルではプロトタイプのネガ部分が消え、スタビリティの高さが際立った
- ドア開閉音からも分かる卓越したビルドクオリティ、空冷時代だからこそ生きたポルシェの技術力
- 今はもう中古車でしか味わえない高純度FR、国産を代表するミドルセダンのレクサス GS【Back to Sedan】
- 世界で3社しか市販していないレアなFCVの1台、トヨタ MIRAIのドライブフィールに注目! 【EDGE’S Attention】
- 【試乗】新型 アウディ A4 アバント│実用性の高いアバントボディがクアトロらしい俊敏な走りとマッチし、絶妙にバランスがとれた逸品
- 【試乗】新型 トヨタ MIRAI|日本が生んだ大人のサルーンは、世界初の技術とともに進化を続ける
- 【試乗】マツダ MAZDA3ファストバック|その特徴的なデザインにも負けないパワーユニットへ進化した「SKYACTIV X」
- 【名車への道】’14 BMW i8
- 本場ドイツの名門レース「DTM」が、再び注目を集めるワケ!【EDGE MOTORSPORTS】