【試乗】新型 BMW 5シリーズ|デザイン変更に加え、乗り心地がさらに“深化”したスポーツサルーン
2021/02/14
マイナーチェンジによるデザイン変更
2020年5月にBMW 5シリーズのLCIが実施された。LCIとは「Life Cycle Impulse」の略で、日本風にいうとマイナーチェンジということになる。
おさらいをすると、この5シリーズで使われているプラットフォームは、現行型7シリーズのアーキテクチャーによって作られたものだ。フラッグシップ向けの骨格という点で、安心感がもてる。
骨格がリッチに作られているからこそ、改良しても基を疑わずに自らの哲学のページをめくることができるのである。
今回、5シリーズに実施されたLCIは、フェイスリフトによるフロントとリアの印象変更である。特にヘッドライトは、L字型の象徴的な輪郭によって引き締まった印象を与える。
また、リアもフロントに合わせたテールライトのデザインで、重厚感も感じられる。
過去のLCIモデルに試乗して思うことは、次の世代のモデルを予感させる味を追加しているところだ。
グレード名に即した上質な内装
試乗する場所は神奈川県の箱根ターンパイクだ。BMWを操るに、ここほど合った日本の道はない。
起伏に富んだワインディングによる適度な路面のアンジュレーションで、サスペンションのしなやかさを下りと上りで体感できる。
BMWはスポーティなイメージを抱かせるモデルが多いが、試乗する「530i ラグジュアリー」の内装はノーブルな焦げ茶色で構成されており、本来もっている上品さを醸し出した仕様である。
乗っているだけでオーナーを想像できるような希少な1台である。排気量も2L ターボという出力を誇張しないエンジンで、品の良さを示すひとつのスペックである。
4気筒の強みが、いかんなく発揮されている
まずは大観山から、ターンパイクを下ってみる。下りなので、エンジンのパフォーマンスはそれほど重要ではない。8速ATのトランスミッションのコントロールと、エンジンの静粛性、それとリニアなブレーキコントロールを期待しながらエンジンを始動した。
ストロークがあるシートは上質なレザーによって、ドライバーを優しく包み込む。手に触れる部位が時にコールドタッチを示し、時に温かみのあるレザーを感じさせる。まるでドイツ製ミッドセンチュリーのファニチャーのごとく、質感と心地良さを感じるインテリアだ。
この4気筒ユニットはとても静粛性が高い。振動も抑えられており、3シリーズとの格の違いが随所に感じられるのである。
ステップアップするATは細やかで、無駄にはシフトアップしない。速度に合った的確なポジションで、動力をしっかりと路面に伝えるのだ。
曲がりくねった下りカーブでも、リニアに速度を落とすことができる。同乗者はドライバーに対して、不安を抱くことはないだろう。それだけ車をコントロールしやすいのである。
下りなのでフロントに重心がかかってくるが、重さによるハンドリングにきたす影響も皆無である。このあたりはさすが4気筒である。軽快さがあるが乗り心地もよく、サスペンションを沈めてボディをフラットにする。セオリーどおりであるが、しなやかで安定感がある。
コンフォートを優先にしたラグジュアリーグレードであっても、不安定が残るプアーなハンドリングとは一線を画する。
マイナーチェンジによる乗り心地の向上を感じた
料金所を越えてからターンして、上り坂に移る。坂を一気に駆け上がるのだが、上品に乗るには心地よいエンジンサウンドだ。トランスミッションが一瞬忙しくなるところもあるが、8速もあるとクロースレシオにできるので、乗員が前後に揺れることもない。
後軸にウエイトを置いた、FRのトラクションは抜群だ。加速してもフロントが浮き上がることもなく、タイヤと路面のコンタクトは万全である。決してドライバーの手が路面を模索するような事態にならないのが、BMWのサルーンの哲学といえる。
少しスポーツドライビングをしても、破綻はなくしっかりと路面の状態をサスペンションでいなす様子がわかるので、雨の日などでも不安定と感じることもないだろう。
今回のマイナーチェンジで、サスペンションと乗り心地の深層を探ろうとする意図が見え隠れする。
見えない部分に磨きをかけてこそ、カスタマーへの本当の回答だといえるのではないだろうか。
【試乗車 諸元・スペック表】
●BMW 5シリーズ 530i ラグジュアリー
型式 | 3BA-JR20S | 最小回転半径 | 5.7m |
---|---|---|---|
駆動方式 | FR | 全長×全幅×全高 | 4.98m×1.87m×1.48m |
ドア数 | 4 | ホイールベース | 2.98m |
ミッション | 8AT | 前トレッド/後トレッド | 1.6m/1.63m |
AI-SHIFT | - | 室内(全長×全幅×全高) | -m×-m×-m |
4WS | ◯ | 車両重量 | 1690kg |
シート列数 | 2 | 最大積載量 | -kg |
乗車定員 | 5名 | 車両総重量 | 1965kg |
ミッション位置 | フロア | 最低地上高 | 0.15m |
マニュアルモード | ◯ | ||
標準色 |
ブラック |
||
オプション色 |
ブラック・サファイアメタリック、ソフィストグレーブリリアントエフェクト、ブルーストーンメタリック、グレイシャー・シルバーメタリック、ミネラル・ホワイトメタリック、ブリリアント・ホワイトメタリック、フローズン・カシミヤ・シルバーメタリック、フローズン・ブリリアント・ホワイトM、ピュア・メタル・シルバーメタリック、ベルニーナ・グレー・アンバーエフェクトM、ファイトニック・ブルーメタリック、フローズン・ダーク・シルバーメタリック、アルビット・グレーメタリック、タンザナイト・ブルーメタリック、アヴェンチュリン・レッドメタリック、ヴェルデ・エルメス・グリーンメタリック |
||
掲載コメント |
- |
型式 | 3BA-JR20S |
---|---|
駆動方式 | FR |
ドア数 | 4 |
ミッション | 8AT |
AI-SHIFT | - |
4WS | ◯ |
標準色 | ブラック |
オプション色 | ブラック・サファイアメタリック、ソフィストグレーブリリアントエフェクト、ブルーストーンメタリック、グレイシャー・シルバーメタリック、ミネラル・ホワイトメタリック、ブリリアント・ホワイトメタリック、フローズン・カシミヤ・シルバーメタリック、フローズン・ブリリアント・ホワイトM、ピュア・メタル・シルバーメタリック、ベルニーナ・グレー・アンバーエフェクトM、ファイトニック・ブルーメタリック、フローズン・ダーク・シルバーメタリック、アルビット・グレーメタリック、タンザナイト・ブルーメタリック、アヴェンチュリン・レッドメタリック、ヴェルデ・エルメス・グリーンメタリック |
シート列数 | 2 |
乗車定員 | 5名 |
ミッション 位置 |
フロア |
マニュアル モード |
◯ |
最小回転半径 | 5.7m |
全長×全幅× 全高 |
4.98m×1.87m×1.48m |
ホイール ベース |
2.98m |
前トレッド/ 後トレッド |
1.6m/1.63m |
室内(全長×全幅×全高) | -m×-m×-m |
車両重量 | 1690kg |
最大積載量 | -kg |
車両総重量 | 1965kg |
最低地上高 | 0.15m |
掲載用コメント | - |
エンジン型式 | B48B20B | 環境対策エンジン | - |
---|---|---|---|
種類 | 直列4気筒DOHC | 使用燃料 | ハイオク |
過給器 | ターボ | 燃料タンク容量 | 68リットル |
可変気筒装置 | - | 燃費(JC08モード) | 14.6km/L |
総排気量 | 1998cc | 燃費(WLTCモード) | 12.5km/L └市街地:9.6km/L └郊外:12.4km/L └高速:14.5km/L |
燃費基準達成 | - | ||
最高出力 | 252ps | 最大トルク/回転数 n・m(kg・m)/rpm |
350(35.7)/4800 |
エンジン型式 | B48B20B |
---|---|
種類 | 直列4気筒DOHC |
過給器 | ターボ |
可変気筒装置 | - |
総排気量 | 1998cc |
最高出力 | 252ps |
最大トルク/ 回転数n・m(kg・m)/rpm |
350(35.7)/4800 |
環境対策エンジン | - |
使用燃料 | ハイオク |
燃料タンク容量 | 68リットル |
燃費(JC08モード) | 14.6km/L |
燃費(WLTCモード) | 12.5km/L └市街地:9.6km/L └郊外: 12.4km/L └高速: 14.5km/L |
燃費基準達成 | - |
自動車テクノロジーライター
松本英雄
自動車テクノロジーライター。かつて自動車メーカー系のワークスチームで、競技車両の開発・製作に携わっていたことから技術分野に造詣が深く、現在も多くの新型車に試乗する。車に乗り込むと即座に車両のすべてを察知。その鋭い視点から、試乗会ではメーカー陣に多く意見を求められている。数々のメディアに寄稿する他、工業高校の自動車科で教鞭を執る。『クルマは50万円以下で買いなさい』など著書も多数。趣味は乗馬。
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