BMW7シリーズは本物を理解する人のための車である
カテゴリー: BMWの試乗レポート
2016/03/07
フラッグシップモデルは本物を理解できる人のために
ドイツ車で最も上品なモデルは? と聞かれたら私は迷わずBMWと答える。ドライバーズカーとして操る楽しさを重んじているが、その素晴らしいシャシー性能を誇張しないのがBMWである。中でも新しい7シリーズは別格だ。必要以上に抑揚を付けないデザインはフラッグシップにふさわしく潔い。大らかなボディは伝説の飛行船グラーフ・ツェッペリン(LZ 127)を彷彿させ、複雑な断面を使わずに存在感を示した。
試乗してみよう。技術のイノベーションは最高だ。7シリーズではスチールとアルミ合金に加え剛性が極めて高いCFRPのハイブリッドシャシーを作り上げた。これは軽量化とねじり剛性の向上を狙っている。剛性の高いシャシーでないと発揮できないのがハンドリングと乗り心地。良質の乗り心地はボディで下方向に抑えつつ、路面からの入力をサスペンションで素直に動かすところに極意があるのだが、新型7シリーズは軽量が故に抑え込みが難しい。ところが乗ってみると驚くほど静かで乗り心地が良質だ。
これは新たにフロントにも採用したエアサスの恩恵である。メルセデス・ベンツのSクラスでも採用している、予め路面のうねりを見ながらサスペンションを動かす仕組みだが、BMWはハンドリングを大切にしながら、乗員を心地よくいなす。大きくスロトークしても素早く上下方向の反復を収める。先代に比べて130㎏もの軽量化がもたらす動きの速さだ。慣性が少ないほど次のモーションに移りやすい。フラッグシップといえどもBMWはドライバーオリエンテッドなのだ。必要以上にトレッドを増すことなく存在感を作り出し、ハンドリングは一回りボディを小さく感じさせる。いつまでもドライブしたい今年最良のモデルは新型7シリーズであった。
【SPECIFICATIONS】
■グレード:740i M Sport ■乗車定員:5名
■エンジン種類:直6DOHCターボ ■総排気量:2997cc
■最高出力:326/5500[ps/rpm]
■最大トルク:450/1380-5000[n・m/rpm]
■駆動方式:FR ■トランスミッション:8AT
■全長×全幅×全高:5110×1900×1480(mm) ■ホイールベース:3070mm
■車両価格:1288万円