▲選び手が持つ我儘な要素をすべて盛り込んでくれた1台。逆に言うと、この車自体はオールマイティで我儘な存在ではない(笑)。ガレージを出た瞬間からドライビングを楽しんでいたいという運転好きはもちろん、実用面でスポーツカーを諦めかけていた方も、ぜひ ▲選び手が持つ我儘な要素をすべて盛り込んでくれた1台。逆に言うと、この車自体はオールマイティで我儘な存在ではない(笑)。ガレージを出た瞬間からドライビングを楽しんでいたいという運転好きはもちろん、実用面でスポーツカーを諦めかけていた方も、ぜひ

運転好きがトリコになるオールマイティ

思い返すと、先々代のE46ベースでは速さより見栄えと楽しさが先に立った。先代のE90ベースもまた、速さというより官能性アピールで、ちょっぴり豪華にもなった。そして、いずれのM3でも、積まれた自然吸気エンジンは秀逸だった。

この流れと昨今の社会情勢を鑑みれば、新型M3とM4(=従来のM3クーペ)のキャラは、いかにも高そうな身なりで、楽しさよりも速さを追求した車になるんじゃないかという危惧があった。それに、エンジンは、ストレート6が復活するとはいっても、ツインターボのダウンサイジング。官能性よりパワーと効率重視、そんな想像がアタマをよぎったのだ(だって、官能はエコじゃないからね)。

違った。答えは、全部↑↑↑だった。速さ(特にサーキット上)、豪華さ(内外の見栄えや質感)、楽しさ、高効率、すべてにおいてレベルアップしている。

▲ボディやサスペンションなどにCFRPやアルミニウムを多用し軽量化。プロペラシャフトもCFRP製となる ▲ボディやサスペンションなどにCFRPやアルミニウムを多用し軽量化。プロペラシャフトもCFRP製となる

911以上の実用スポーツカー

これはもう、ポルシェ911以上の実用スポーツカーだ。

M3とM4。ナカミは全く同じである。けれども、乗った感覚でいうと、M3の方が操りやすい。セダンとクーペの違い、すなわちピラーの角度とダッシュボードの高さの違いからくる視覚的な差で、M3の方が運転しやすいと思えたのだろう。

▲回転数やシフトタイミングまでカラー表示するM専用モードを備えたヘッドアップ・ディスプレイを標準化 ▲回転数やシフトタイミングまでカラー表示するM専用モードを備えたヘッドアップ・ディスプレイを標準化

▲Mモデルらしく、ターボ付きながら最高回転数7600rpmという高回転エンジン。0→100km/h加速は4.1秒 ▲Mモデルらしく、ターボ付きながら最高回転数7600rpmという高回転エンジン。0→100km/h加速は4.1秒

そして、日本仕様のM4には6MTも用意されている。さすがに回す楽しみは薄れたものの、新開発ミッションはスパスパスパッと小気味いいシフトフィールが楽しめた。最新最高レベルのスポーツカーを3ペダルで楽しむという魅力も健在だ。

【SPECIFICATIONS】
■グレード:M4 COUPE ■乗車定員:4名
■エンジン種類:直6DOHCターボ ■総排気量:2979cc
■最高出力:431/5500-7300[ps/rpm] ■最大トルク:550/1850-5500[N・m/rpm]
■駆動方式:FR ■トランスミッション:7DCT
■全長×全幅×全高:4685×1870×1365(mm) ■ホイールベース:2810mm ■車両重量:1610kg
■車両本体価格:1126万円

Tester/西川淳 Photo/ビー・エム・ダブリュー