BMW 3シリーズクーペ 325i【グレード追加】
カテゴリー: BMWの試乗レポート
タグ: クーペ
2010/07/26
究極のエンジンを手に入れた、シアワセなモデル末期
↑外観は立体的な造形となり、ライト回りはLED式採用で省電力化(左)相変わらずのシンメトリーなビーエム調インパネ(右)
2005年にデビューした現行3シリーズ。このクラスのモデルライフは通常7年だから、おそらく最後の大掛かりな“てこ入れ”。旧型E46もそうだったが、3シリーズは年の取り方が見事である。人生にたとえると、生まれた時には元気な目立ちたがり屋で、青年期はパワフルさでクラスリーダーとなり、壮年期ともなれば風格さえ漂い始めて、老年にさしかかってはすっかり角も取れて、渋みと落ち着きが車全体に行き渡る。なんというか、モデル末期になるにつれて、つぶあんがこしあんになるかのごとく、仕上がりがきめ細かになっていくのだった。
改めて3シリーズのクーペに乗ってみて、正直思ったことはといえば、これは50歳を越えてから乗りたい車だな、だった。あまりにも手練/老成で、若い人にはなかなかこの良さが伝わらない気がする。もう何台も車に乗り継ぎ、“昔はM3にも乗ったよなあ”なんて酸いも甘いも経験済みのエンスーなら、この車に乗って毎日幸せになれそうだ。そうでないほうは、まず、同じE90の3シリーズでも初期型のハキハキしたモデルに中古で乗った方がいい。そのほうがビーエムを“倍”楽しめると思う。
↑ブレーキ回生機構により218psの3Lの直6NAは燃費消費率12.6km/Lを実現(左)タイヤは225/45R17を装着(右)
気持ちのいいエンジンフィール&ビーエムらしい走り
さて。そんな車全体の印象はさておき、改良点で注目は何と言っても2つのエンジン、320用の2Lの4発N43と、325用の3Lの6発N53だ。このところのBMWはEVなど次世代分野でも話題を提供しているが、実は内燃機関も引き続き、熱心に(=莫大な研究費をつぎ込んで)開発を推し進めている。今回のように新しいガソリンエンジンが次から次へと搭載されるから、にわかに混乱してしまうほどだ。感心したのは320用の直噴4気筒自然吸気である。マニュアルミッションを組み合わせれば、アイドル&ストップも備わっていることから、10・15モード燃費18.4km/Lを叩きだす。…にもかかわらず、その必要十分なパワフルさと、気持ちのいいエンジンフィールは、さすがにエンジン屋の所産だ。
乗っていてさらに心躍ったのは、直噴6気筒NAの325iクーペだった。こちらには6ATのみが組み合わされるが、直噴にありがちな低回転域のざらつきもほとんどなく、実にビーエムの6発らしい回り方をする。力はもちろん十分で車体とのバランスも良く、実に快活。モデル末期に至って、これほどのベストバランスをシラッと出せてしまう開発の継続力に、驚くほかない。
SPECIFICATIONS
主要諸元のグレード | 325i クーペ |
全長×全幅×全高(mm) | 4610×1780×1400 |
車両重量(kg) | 1530 |
エンジン種類 | 直列6気筒DOHC |
総排気量(cc) | 2996 |
最高出力[ps/rpm] | 218ps/6100rpm |
最大トルク[kg-m/rpm] | 27.5㎏-m/2400~4200rpm |
車両本体価格 | 598万円 |
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