運転の楽しさと高級車をもつ喜びを両立できるSUV
(Tester/西川淳 Photo/尾形和美)

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テスト車両:X5 3.0si(753万円)、X5 4.8i(963万円)
■主要諸元:3.0si
●駆動方式:4WD
●トランスミッション:6AT
●全長4860×全幅1935×全高1765㎜
●ホイールベース:2935㎜
●車両重量:2100㎏
●乗車定員:5人
●エンジン種類:直6DOHC
●総排気量:2966㏄
●最高出力:200kW(272ps)/6650rpm
●最大トルク:315N・m(32.1kg-m)/2750rpm
●使用燃料:無鉛プレミアム
●燃料タンク容量:85L
●10・15モード燃費:8.0㎞/L
●タイヤサイズ:255/55R18


コンセプト
旧型の不満点を解消した7年ぶりのモデルチェンジ

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 ’99年にデビューした初代X5は、それまでのSUVの常識を覆した。ちゃんと走る、それもBMWらしく喜びを伴って走る。ということで、BMW自身もX5のことをSAVと呼び、他のSUVとは一線を画したのだった。
 そのもくろみは大いに賛同され、人気を博した。どころか、それ以降に登場するSUVに多大な影響も与え、今やセダンライクに走らないSUVのほうが珍しいぐらい。それでも先代X5がもっていたパフォーマンスの優位性は後退することはなく、モデル末期まで人気を保ち続けた。そんな成功作の、7年ぶりのモデルチェンジである。性能アップはもちろん、室内空間と荷室の拡大や見映え質感の向上といった、先代で最も不満であった点に力が注がれている。

室内&荷室空間
市場の要望に応え、3列目シートをオプション設定

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 ボディサイズがひと回り大きくなったことは、そのまま室内空間の拡大を意味する。実際、前席なら横方向の、後席なら足元のスペースが明らかに広がった。先代X5以降に登場した欧州高級SUVのレベルに並んだと言っていい。
 荷室も相当の容量アップを果たしている。その容量はといえば、2列目を倒したときも倒さないときでも、大きなステーションワゴン並み。加えてアメリカ市場の要望が大きかったのだろう、3列目シートをオプション設定した。足元の窮屈さを我慢さえすれば、大人でも座ることができる。
 レザーシートが標準となり、好きなボタンにプログラムを配分できるiDriveも備わった。また、ついにSUVにもアクティブステアリングが搭載された。

ドライブフィール
軽量化とバランスの良さで直6モデルが狙い目だ

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 新型X5には、3L直6と4.8LV8の2グレードが用意されている。いずれも6ATに、電子制御多板クラッチ式前後駆動力配分4WDのxドライブが組み合わされた。まずは直6の3.0siに乗る。はっきりと軽やかなアクティブステアリングのおかげで低速域では体の大きさを持て余すことがない。80kmを超えるあたりでズシリと重くなるため、高速域では岩のように安定して走る。以前よりパワフルな直6と軽量化の努力のおかげか、直6でも軽快に駆け抜ける。バランスもいい。
 とはいえ、塊が吹っ飛んでいくようなV8の加速性能も捨て難い。アダプティブドライブを装備すれば、まるでスポーツクーペのような足さばきで攻めの気分さえ芽生える。自制心が必要なSUVだ。

こんな人にオススメ

 そろそろ高級SUVを、と思っている方すべてに。今、SUVに乗っていて走りに不満をもっている方にも。基本的には、運転する楽しみを知っている人にオススメしたいですね。その方がこの車の魅力に感動できると思いますから。でっかくて重い車がこれほど意のままに走るなんて。ライバルはポルシェカイエンぐらいでしょう。