▲VW ゴルフ オールトラックでなければならないかというとそうでもない。しかし質の良さをライフスタイルに求めるのならぴったりであろう。都会に住み休日は子供を連れて山に向かう。奥さまは天然酵母のパンを焼いて実家に届ける。そんな妄想が広がるモデルだ ▲VW ゴルフ オールトラックでなければならないかというとそうでもない。しかし質の良さをライフスタイルに求めるのならぴったりであろう。都会に住み休日は子供を連れて山に向かう。奥さまは天然酵母のパンを焼いて実家に届ける。そんな妄想が広がるモデルだ

“すかしてない”のが、逆にその人のライフスタイルを印象づける

先代パサートから派生した“オールトラック”シリーズから、ひと回り小さな“ゴルフ オールトラック”がデビューした。グループのアウディの“オールロード”にちなんでのネーミングだが、アウディは高級路線、ゴルフはエントリーブランドとなる。とはいえ価格は300万円台の中間だから安くはないが、ドイツ車のオンデマンド4WDとしてはかなり戦略的な価格である。市街地と高速道路をドライブした印象をお伝えしたい。

見た目はソリッドで質実剛健。車高を25mmほどリフトアップさせてヴァリアントよりも存在感は増した。さらに進化した4WDシステム、4モーションを投入して性能も骨太になった。

このクラス最強のボディ剛性はドアを閉めた瞬間に分かるが、走り出せばもっとよく理解できる。車高を上げたことによって縮み側のストロークを抑えて不安定な要素をスポイルし、低速では硬めの印象になるのだ。

信号待ちでパサートでは気になった振動もチェックしてみる。普通のゴルフは恐ろしく静粛性が高いが、オールトラックも振動も静粛性もかなり良好だ。車高のリフトでここまで見切り良く仕上げたことにも感心する。

ATは湿式の6速DSGで、最も成熟したツインクラッチによるトランスミッションだ。動力の伝わり方が自然で中間の制御が上手く、至ってスムーズである。4モーションシステムの真価は試せないものの、発進時におけるトラクションはフロントだけにとどまらずリアから支えられる安心感はある。エンジンは決してパワフルではないが必要にして十分だ。四輪にちゃんとトルクを伝達させて挙動の乱れはない。サスペンションは硬めでスポーティなハンドリングすら感じる。

決して派手さはないが流行ではなく質と価格で勝負する1台である。

▲クローム装飾をアクセントに、ボディ下回りに黒い樹脂パーツを用いることでSUVテイストを強調 ▲クローム装飾をアクセントに、ボディ下回りに黒い樹脂パーツを用いることでSUVテイストを強調
▲専用デコラティブパネルやロゴ入りファブリックシートなどを採用。通常モデルと差別化を図った ▲専用デコラティブパネルやロゴ入りファブリックシートなどを採用。通常モデルと差別化を図った
▲ラゲージ容量はゴルフヴァリアントと同じ605~1620L。スライディングトノカバーも同様に備わる ▲ラゲージ容量はゴルフヴァリアントと同じ605~1620L。スライディングトノカバーも同様に備わる

【SPECIFICATIONS】
■グレード:TSI 4MOTION ■乗車定員:5名
■エンジン種類:直4DOHCターボ ■総排気量:1798cc
■最高出力:180/4500-6200[ps/rpm]
■最大トルク:280/1350-4500[N・m/rpm]
■駆動方式:4WD ■トランスミッション:6DSG
■全長×全幅×全高:4585×1800×1510(mm) ■ホイールベース:2635mm
■車両重量:1540kg
■車両本体価格:347万円(税込)

text/松本英雄 photo/阿部昌也