▲もうゴルフとは迷わない。上質さ、ユーティリティ性を求めるならば、必然的にこちらに落ち着くだろう。しかし、問題なのはこの新型パサートに少し遅れてクリーンディーゼルの導入が予定されていることだ。性能はこの1.4Lで必要十分なのだが…… ▲もうゴルフとは迷わない。上質さ、ユーティリティ性を求めるならば、必然的にこちらに落ち着くだろう。しかし、問題なのはこの新型パサートに少し遅れてクリーンディーゼルの導入が予定されていることだ。性能はこの1.4Lで必要十分なのだが……

偉大なる弟、ゴルフを超える面目躍如

偉大なる弟分ゴルフ、その影に隠れた存在だったパサートが新型になり大きな変貌を遂げた。一瞥しただけで、ピシっと糊の利いたYシャツがごときプレスラインにクラスを超えた質感を感じる。フロントフェンダーからテールランプにまで伸びる、BMWのジッケラインを彷彿とさせるショルダーラインがボディサイドに陰影を与えている。

全長×全幅×全高の3サイズは先代とそれほど大きく変わらないが、ホイールベースは79mm延長されており、8代目となるこの新型は前後オーバーハングが短く、歴代で最も躍動感あるデザインになった。ヘッドライトと上端のラインが揃えられた水平基調のグリルデザインによってワイド&ローな雰囲気がより一層強調されており、同様の意匠がインテリアの左右に広がるエアコンのベンチレーションにも用いられる。内装質感も1クラス上のものだ。

このモデルチェンジの最大のハイライトはゴルフ7に始まったVWグループの新世代モジュールプラットフォーム、MQBを用いていることだ。その特徴はホイールベース、トレッド幅、ホイールサイズなども車種に合わせて変更できる柔軟性だ。プラットフォームをゴルフと共通化と言うと、上屋違いの車をイメージするかもしれないがさにあらず。やはり静かだし乗り心地も上質だ。パワートレインもゴルフと共通の気筒休止システムを持つ1.4L直噴4気筒ターボに7速DSGを組み合わせるが、その洗練度はますます高まっている。車検証を見るまで1.4Lとはまったく気づかなかった。

ラゲージもFFならではの驚きの広さだ。通常で586Lと、Cクラスや3シリーズと比べると約100Lも大きい。

いやはや、さすがの兄貴の面目躍如である。

▲VWのデザイントレンドである水平ラインが特徴的。ヴァリアントと呼ばれるワゴンもラインナップ ▲VWのデザイントレンドである水平ラインが特徴的。ヴァリアントと呼ばれるワゴンもラインナップ
▲MQBの採用で室内はさらに広くなった。ダッシュボードには帯のように全幅にわたるエアベントを採用 ▲MQBの採用で室内はさらに広くなった。ダッシュボードには帯のように全幅にわたるエアベントを採用
スポーティな内外装のRラインも用意された。室内長を旧型比で33mm延長、ヴァリアントのラゲージ容量は650L~ スポーティな内外装のRラインも用意された。室内長を旧型比で33mm延長、ヴァリアントのラゲージ容量は650L~

【SPECIFICATIONS】
■グレード:TSI Highline ■乗車定員:5名
■エンジン種類:直4DOHCターボ ■総排気量:1394cc
■最高出力:150/5000-6000[ps/rpm]
■最大トルク:250/1500-3500[N・m/rpm]
■駆動方式:FF ■トランスミッション:7DSG
■全長×全幅×全高:4785×1830×1470(mm) ■ホイールベース:2790mm
■車両重量:1460kg
■車両本体価格:414万円(税込)

text/藤野太一 photo/阿部昌也