高い着座位置と軽快な運動性で、ノンストレスな運転感覚

  • トヨタ カムリ 走り|ニューモデル試乗
  • トヨタ カムリ インパネ|ニューモデル試乗
コンセプト

セダンスタイルのままパッケージングを変更

このカムリ、日本ではあまり目立たないが、年産は約60万台に上り、そのうちの45万台を売るという販売の主戦場アメリカでは、例年、アコードやトーラスと激しい首位争いを繰り広げるモデル。

2001年こそ、モデル末期ということもあって、ベストセリングの座をアコードに譲りそうだが、1997年から2000年まではトップを守り続けたのはカムリだった。

メインマーケットが、コンベンショナルなセダンを好むアメリカなので、こうした3ボックス形状をキープする必要がある。しかし今回、ヒップポイント(着座位置)が上昇して560mmになり、それに伴って全高も1490mmになった。だがこうした新パッケージングや、全高の変更をあまり感じさせないデザインにまとめている点は注目だろう。
室内&荷室空間

高い着座位置と広大なトランクに特徴

インテリアは、ツーリング系がダークグレー基調、ステアリングは3本スポーク。一方のG系は、明るいブラウン系(フォーンと呼ばれている)のカラーがベース。この2つのインテリアカラーが、外装の6色と組み合わされる。

新たに設定された560mmという高めの着座位置は、ストレスの少ない乗降が可能。そして前席の頭上部分がえぐれた形状になっていて、ドライバー席のヘッドルームは十分以上の余裕がある。後席も頭上には余裕があるが、ただ前席ほどではなく、またショルダースペースには、もう少しゆったり感が欲しい気もする。

トランクは、ひと言で言って広大。上下方向は標準だが、前後方向にはたっぷりと深く、奥のほうに手が届かないほどだ。
  • トヨタ カムリ リアシート|ニューモデル試乗
  • トヨタ カムリ エンジン|ニューモデル試乗
ドライブフィール

電子制御のTEMSはサスの硬さを調整できる

静粛、かつ中速域でトルクがあるエンジン。5000回転以上でエンジン音がやや高まるが、それもさほど不快ではない。パワーに対して軽量なボディが、意図通りのストレスのないドラビングを可能にしている。大柄なボディだが小回り性能は良好で、最小回転半径を5.3mに抑えてあるのはいい(ツーリングは5.6m)。

サスは、電子制御で車両をフラットに保つTEMS最新仕様と、ノーマルに大別される。ただ今回のノーマルは、TEMSで選べる4段階の真ん中よりも乗り味が硬め。したがって、乗り心地のマイルドさを求めるなら、選択が4段階から可能であるTEMSをチョイスするのがよいだろう。その場合は、16インチホイール+TEMSという組み合わせをオススメしたい。
こんな人にオススメ
やっぱりセダン(3ボックス)がいいけど、でもあまり高価なものは……というクレバーな人へ。この車には、静粛性、新パッケージング、軽快な運動性、さらには走りの楽しさといった価格を超えた性能が詰まっている。あえていえば、これは“プアマンズ・セルシオ?”
SPECIFICATIONS
グレード ツーリング
駆動方式 FF
トランスミッション 4AT
全長×全幅×全高(mm) 4815 x 1795 x 1490
ホイールベース(mm) 2720
車両重量(kg) 1420
乗車定員 5人
エンジン種類 直列4気筒DOHC
総排気量(cc) 2362
最高出力 117kW(159ps)/5600rpm
最大トルク 220N・m(22.4kg-m)/4000rpm
車両本体価格 260万円
写真:桜井健雄 文:家村浩明