【新型】トヨタ RAV4|アメリカで大人気のSUVが2年8ヵ月ぶりに日本凱旋
2019/09/17
1994年、本格的なクロスカントリーモデルが全盛の時代に5ナンバーサイズの“ライトクロカン”という新たなジャンルを開拓して一大旋風を巻き起こした初代RAV4(ラブフォー)。
初代の特徴は見た目こそ都会的で若者を意識したカジュアルな雰囲気でしたが、中身はモータースポーツに参戦できるほど本格的な機構を備えていました。
その後、RAV4はモデルチェンジを重ねるごとにボディサイズを拡大。これは北米からの要望を受けたものでしたが、日本ではそれがあだとなり、販売台数が伸び悩んでいきます。
そして4代目は日本に導入されず(4代目へのモデルチェンジ後も日本ではしばらく3代目が継続販売されていました)、2016年7月に日本での販売が終了となります。
「もう日本で新しいRAV4に乗ることはできない」と思われていましたが、2019年4月、新型RAV4が日本で発売開始となりました(世界的には5代目ですが、日本では4代目扱いになります)。
そんな待望の復活を遂げた、新型RAV4を詳しく解説していきます。
【グレード】ガソリンとハイブリッドをラインナップ
新型RAV4は2Lガソリンエンジンと2.5Lハイブリッドという展開に。
基本は4WDですが、ガソリン、ハイブリッドともにエントリーグレードのXには前輪駆動(FF)も設定されています。
4WDシステムは3種類用意されています。
■ダイナミックトルクベクタリングAWD
ガソリンモデルのG Zパッケージとアドベンチャーに設定。
走行状況に応じて、前後トルク配分だけでなく後輪トルクを左右独立で制御する「トルクベクタリング機構」を搭載。
4WDが必要ないときは後輪に動力を伝達させる駆動系を切り離し、燃費向上を図ります。
■ダイナミックトルクコントロール4WD
ガソリンモデルのXとGに設定。
前輪駆動状態と四輪駆動状態を自動で制御。
通常の走行時には前輪駆動状態で燃費効率の良い走りを実現。発進時や滑りやすい路面での走行時には、車両の状態に合わせて最適なトルクを後輪に配分します。
コーナリング中はステアリングの切れ角からドライバーが思い描いているラインを計算し、それに応じてきめ細かく前後トルク配分を調整します。
■E-Four(電気式4WDシステム)
前輪はエンジンと駆動用モーター、さらに後輪側にも駆動用モーターを設置。
RAV4に搭載されるのは新型のE-Fourで、前後輪トルク配分を100:0~最大20:80まで変更可能な新制御を採用しています。
【エクステリア】タフ感を強調したアドベンチャーに注目
曲線を多用し都会的な雰囲気に仕上げられたクロスオーバーSUVが全盛の中、RAV4は大地を駆け抜けるような力強さが表現されています。
これは、ボディサイズは違うものの、同じトヨタのC-HRやハリアーとの差別化でしょう。
エクステリアを離れた場所から見ると、2つの八角形をくっつけたような複雑な造形をしています。
このデザイン構成によりフェンダーがまわりが大きく張り出し、大径ホイールと合わせて大地を力強く踏み締めるようなたくましい印象に。
そして新型RAV4では、アウトドアテイストを高めたアドベンチャーを設定。アドベンチャーは専用のフロントグリル、フロントバンパー、大型フロントスキッドプレートにより標準モデルよりも一層力強さが強調されました。
エクステリアは、このアドベンチャーのデザインが最もバランスよく感じられます。
ボディカラーは、アドベンチャー専用色を含めて全8種類。
アドベンチャーには、ツートーンカラーが4色設定されています。
中でもアッシュグレーメタリックとアーバンカーキのツートーンは、流行のナチュラルカラーで明るくも落ち着いた雰囲気に。オシャレに乗りこなしたい人にオススメです!
【インテリア】大人っぽさを演出したシンプルなデザイン
シンプルな造形の中に上質な素材を効果的に配置し、大人っぽい雰囲気を演出したRAV4のインテリア。
手が触れる部分にはソフトパッドを使い、見た目だけでなく乗車中の触感からも満足度を高める工夫がなされています。
インパネは高さを抑えることで視界を良くし、解放感を演出するとともに住宅地などでも運転しやすくなっています。
インテリアカラーは、各グレード2色展開。アドベンチャーには、専用のオーキッドブラウンのインテリアが用意されています。
シートはエントリーグレードのX、ハイブリッドXのみファブリックになりますが、その他のグレードはステッチ付きの合成皮革に。こんなところからも、RAV4のさりげない高級志向が垣間見えます。
【運転支援システム】最新のToyota Safety Senseが標準装備
新型RAV4は全グレード予防安全パッケージ「Toyota Safety Sense」が標準装備に。
■プリクラッシュセーフティ:ミリ波レーダーと単眼カメラを用いて、車両などの障害物はもちろん、昼夜の歩行者、昼間の自転車運転者も検知し、衝突回避や被害軽減を支援。
■レーントレーシングアシスト:高速道路を走行時、単眼カメラが車線を認識。車線の中央を走行するために必要なステアリング操作の一部をアシスト。車線からはみ出しそうになった場合は、ブザーとディスプレイで警告。合わせてステアリング操作の一部を支援。
■レーダークルーズコントロール(全車速追従機能付):先行車を認識し、渋滞時を含めて車間距離を維持しながら追従走行。
■オートマチックハイビーム:ハイビームとロービームを自動で切り替えながら走行。
■ロードサインアシスト:はみ出し通行禁止、最高速度、車両進入禁止、一時停止の標識を単眼カメラが認識し、マルチインフォメーションシステムに表示。
【価格】ハイブリッドはやや高めの価格設定に
日本での発売に3年近いブランクがあるため装備類に差が大きく、また現行型のガソリン車は2Lなのに対し、3代目は2.4Lと内容がかなり異なります。
そのため参考程度にしかなりませんが、2014年4月に登場した3代目RAV4の最終モデルと価格を比較してみました。
新型RAV4のエントリーグレードとなるX 2WDは260.82万円(8%税込み)。3代目のエントリーグレードである2.4スタイルは221.1万円(8%税込み)。
これだけ見るとかなり価格が上がったように感じますが、TNGAによる新たなプラットフォーム、数々の先進安全装備、さらに4WDでは様々な電子制御を駆使するシステムが投入されたことを考えると、妥当な価格と言えると思います。
3代目には設定されていなかったハイブリッドは320.22万~381.78万円(8%税込み)。ガソリンとハイブリッドは60万円近い価格差があることになります。
【エンジン・燃費】意のままに操れるダイナミックトルクベクタリングAWD搭載モデル
新型RAV4のWLTCモード燃費はガソリンエンジンのFFが15.8km/L、4WDが15.2km/L、ハイブリッドのFFが21.4km/L、4WDが20.6km/Lになります。
4WDも路面状況に応じて電子制御が最適なトルク配分を行うため、2WDとの燃費差は少なめ。とくにガソリンエンジンの上級グレードに搭載される「ダイナミックトルクベクタリングAWD」は、ディスコネクト機構により市街地など4WDが不要なシーンでは後輪への駆動をカットすることにより燃費向上を図っています。
新型RAV4には2種類の動力システム、2つの駆動方式、そして3つの4WDシステムがあり、その組み合わせは全部で5種類。
もし普段使いはもちろん、オフタイムには高速道路を走ってアウトドアに繰り出したいと考えているなら、ダイナミックトルクベクタリングAWDを搭載するガソリンモデルのアドベンチャーか、G Zパッケージをオススメします。
ダイナミックトルクベクタリングAWDの走りは、とにかく気持ちよく曲がるという印象。
アウトドアに向かう際は、高速道路を降りた後にワインディングを走る機会も多いもの。ダイナミックトルクベクタリングAWDは上り、下りともにドライバーのハンドル操作に対して頭が素直に入っていくため、走りが心地いいだけでなくストレスを感じずにドライブを楽しめます。
また、ガソリンモデルはCVTに発進用ギアを追加した「ダイレクトシフトCVT」を採用。発進や加速でももたつきがなく、気持ちいい加速を味わうことができます。ダイレクトシフトCVTには10速シーケンシャルシフトマチックが備わります。
C-HRやハリアーはハイブリッドモデルの重厚感が心地よく感じましたが、RAV4はガソリンモデルならではの軽やかさが性格にあっているように感じました。
現行型プリウスから始まったトヨタのTNGAは、新しいモデルになるほど走りの質が高まっている印象で、RAV4も走り出した瞬間からしっとりとした上質な乗り味を堪能できます。中でも街中での日常速度域での心地よさが印象的でした。
【中古車】低走行の中古車がこれから増えることに期待
2019年9月現在、カーセンサーnetには90台ほどの物件が掲載されていました。多くは「新車未登録」で、登録済み未使用車は約25台流通しています。
登録済み未使用車で流通台数が多いのはガソリンのX 2WDとアドベンチャー、そしてハイブリッドGになります。
X 2WDは新車価格より10万円ほど安くなっているものが多く、アドベンチャーの車両本体価格は新車価格より高め。ただ、ナビをはじめオプション装備のものが中心なので、多少のお得感はありそうです。
これから年度末にかけて、ディーラーの試乗車や展示車が中古車として流通し始めるでしょう。
ディーラーのHPを見るとRAV4の試乗車は結構用意されているので、低走行の中古車が増えることには期待できそうです。
自動車ライター
高橋満(BRIDGE MAN)
求人誌編集部、カーセンサー編集部を経てエディター/ライターとして1999年に独立。独立後は自動車の他、 音楽、アウトドアなどをテーマに執筆。得意としているのは人物インタビュー。著名人から一般の方まで、 心の中に深く潜り込んでその人自身も気づいていなかった本音を引き出すことを心がけている。 愛車はフィアット500C by DIESEL
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