「車を見に行っても、どこをどう見たらいいのか……」

そんな方々の悩みを解消すべく、実際に販売店で実車を見ながらチェックポイントを解説。これを参考に、気になる車に会いに行こう!
 

レクサス IS ▲今回見てきたのはレクサス IS(初代)。販売店 VIRKIN(ヴァーキン)の高橋秀士さんにチェックポイントを聞いた

レクサスが日本展開時に投入したエントリーモデル

レクサスは元々トヨタが北米向けに立ち上げたプレミアムブランドだった。

日本では2005年にブランドが展開されるとなったのだが、ISはその際に、レクサスのエントリーモデルとしてラインナップされたものだ。

エントリーモデルといっても、最も安価なグレードで新車販売価格は390万円。

つまりどのグレードもレクサスブランドにふさわしい、高級感をもったモデルといえる。

全グレードでV型6気筒エンジンが搭載され、2.5Lと3.5Lという2種類の排気量が用意された。

高級感とスポーティさがうまくミックスされたモデルといえるIS。

手頃なサイズのプレミアムカーに乗ってみたいという40~50代や、スポーティな走りを楽しみたいという若者に人気だ。
 

レクサス IS ▲日本では初代となるIS。海外ではトヨタ アルテッツァとして販売されていたモデルが初代のため、グローバルでは2代目にあたる

機関系の故障はほぼないが、経年劣化に注意したい

これまで多くのISを販売してきたVIRKINの高橋さんに話を聞くと、機関系のトラブルはほとんどないという。

「新車時価格が高い車の特徴として、定期的にメンテナンス(点検整備やオイル交換)を受けているという点が挙げられます。ISも例によって、丁寧に乗られていた物件が多いという印象です」(高橋さん)

購入後も基本的な点検整備とオイル交換を行っていれば、長く乗ることができるモデルだそうだ。

中古車販売価格の相場は前期型では総額100万円弱がボリュームゾーンで、人気もそのあたりに集中しているようだ。

「後期モデルになると同程度の状態でも約50万円程アップします。つまり中古車としてうまみは前期型にあると言えるでしょう」(高橋さん)

ただし前期型でも初期の物件はすでに登録から15年が経過しているため、経年劣化に気をつけたいという。

直接走行に関わる部分ではないものの、長く乗りたいと考えているのであれば、以下の部分に注意して車両をチェックしてみるとよさそうだ。

VIRKIN

取材協力

VIRKIN(ヴァーキン)

輸入車を中心に、多くのプレミアムカーを販売する。中でもセダンの取り扱いは多く、ISの販売実績も豊富。

住所:埼玉県三郷市幸房163-1
電話:048-971-9550

レクサス IS

チェックした車

レクサス IS(初代)

2008年まで製造されていた前期モデル。登録から約13年が経過しているものの、走行距離は5万km以内でエンジン類も快調
●支払総額/99.9万円(税込)
●年式/2007年式
●走行距離/4.8万km
●修復歴/なし
●乗車人数/5人
●エンジン/3500cc ガソリン
※2020年2月15日時点の情報

CHECK POINT 1
ダッシュボードのひび割れ

経年劣化で、助手席側のダッシュボードに亀裂が入ることも。

主な原因は直射日光によるものなので、割れていない物件も購入後はサンシェードなどで予防したい。

亀裂が蜘蛛の巣状に複数入っているほどでなければ、専用の布を上から貼ることで数万円程度で見た目をリフレッシュできるそうだ。
 

レクサス IS ダッシュボード ▲前期型で発生しやすいダッシュボードのひび割れ。写真のように筋が1本程度であれば、割れが広まる前に布等の別素材を貼り付けてしまうのもオススメだといいう

CHECK POINT 2
ヘッドライトの黄ばみ

世代や年式を問わず、保管されていた環境によって発生しやすいのが樹脂ヘッドライトの黄ばみ。

表面の黄ばみは研磨とコーティングでクリアになるが、内側の劣化はコーティングができず、ユニットごとの交換となる。

その場合は10万円以上の費用がかかることもあるので、状態の良いものを選びたい。
 

レクサス IS ヘッドライト ▲表面の汚れであれば、簡単な研磨でクリアになることも

中期、後期でも劣化注意の箇所アリ

ホリエオート 草加店 ▲中期型や後期型でもチェックしておきたいポイントをホリエオート 草加店の田村遼太さんに聞いた

前期モデルはダッシュボードとヘッドライトを特に要チェックだったが、中期、後期モデルでも物件によっては、確認すべき点がある。

近年ISの販売に特に力を入れている、ホリエオート 草加店にも話を聞きに行った。
 

VIRKIN

取材協力

ホリエオート 草加店

セダンとミニバンを中心に、お手頃で質の良い物件を数多く揃える。中でもISは注力しているモデルのひとつ。

住所:埼玉県草加市旭町4-7-18
電話:048-943-1500

レクサス IS

チェックした車

レクサス IS(初代)

2010年8月以降に販売された後期モデル。先のモデルと同程度の走行距離で排気量が小さいが、価格は30万円ほど高い。
●支払総額/138.8万円(税込)
●年式/2012年式
●走行距離/4.5万km
●修復歴/なし
●乗車人数/5人
●エンジン/2500cc ガソリン
※2019年2月15日時点の情報

CHECK POINT 3
ショックまわりのオイル漏れ

ISのスポーティかつ、高級感ある乗り心地を支えているのがショックアブソーバー。

年式的にも前期型を中心に、そこからオイル漏れが発生する場合があるという。

下からのぞき込んで下部までオイルが付着しているようだとかなりの量が漏れていると考えられる。

その場合は交換を依頼した方が良い。
 

レクサス IS 足回り ▲かがんで見ただけでは漏れている箇所は特定できない。オイルによる湿り気があればショックアブソーバーの点検はマストにしたい

CHECK POINT 4
タイヤの溝の有無と製造年式

低走行の物件が多く、タイヤがあまり擦り減っていないものも多い。

しかし十分な残量があっても古いタイヤはゴムが劣化していて、バーストの原因になる。

年式に限らず、タイヤ側面の製造年の記載は要チェック。

4桁の数字の上2桁が製造週、下2桁が製造年を表しており、5年以上前であれば交換した方が良い。
 

レクサス IS タイヤ ▲車の年式とタイヤの年式が同じであれば交換していない可能性大。溝があっても交換がオススメ

CHECK POINT 5
パワーウインドウの作動確認

経年劣化といえば電装品。

ISはエアコンやナビなどの不調はあまりないというが、たまにパワーウインドウが動かなくなる症状があるそうだ。

これはスイッチ接続のトラブルが原因。

使用頻度の高い運転席側はもちろん、すべての窓がきちんと作動するか確認しておきたい。
 

レクサス IS パワーウインドウ ▲最後まで開閉されるか動作を確認しよう

CHECK POINT 6
革シートのコンディション

流通している約半数の物件が、本革シート装着車。

乗り降りの回数も多い運転席は、擦れやすいサイドサポート部分の革が劣化しやすい。

傷みが目立ちにくい黒系が人気だが、色を問わず必ず明るい場所で確認を。

また、触ってみてひび割れによるささくれなどができていないかも確認しよう。
 

レクサス IS 革シート ▲車内が暗いと汚れ具合が確認しにくい。シートのチェックは明るい場所で行おう

販売店がよく受ける質問ベスト3

★第1位
年式やグレードによって自動車税は変わりますか?

田村遼太さん
田村遼太さん

2.5Lと3.5Lの2種類のエンジンがあり、前者の自動車税は4万5000円で、後者は5万8000円です。また登録から13年以上経過した車両は15%の増税となるので、該当する年式か事前にご確認を。

★第2位
どうして距離の少ない物件が多いんですか?

田村遼太さん
田村遼太さん

レクサスの中で比較的コンパクトサイズだったということもあり、新車時はセカンドカーとしての需要が多かったようです。そのため、年式の割に走行が少ないものが多いといった印象です。

★第3位
改造された物件で注意すべきポイントは?

田村遼太さん
田村遼太さん

車高調整式サスペンションを装着している物件は、ボディのきしみ音がすることがあります。社外パーツを装着しているものは試乗して音と乗り心地の両方を確認した方が良いと思います。

文/小鮒康一(フナタン)、写真/三浦孝明

※雑誌版カーセンサー 2020年4月号(2020年2月20日発売)の記事「気になるクルマに会いに行こう」をWEB用に再構成して掲載しています。

小鮒康一(こぶなこういち)

訪問した人

小鮒康一(フナタン)

スキマ産業系自動車ライター。元大手自動車関連企業から急転直下でフリーランスライターに。中古車販売店勤務経験もあり、実用車からマニアックな車両まで広く浅く網羅。プライベートはマイナー旧車道一直線かと思ったら、いきなり電気自動車を買ってしまう暴挙に出る。愛車は日産 リーフ、初代パルサー、NAロードスター。