「車を見に行っても、どこをどう見たらいいのか……」

そんな方々の悩みを解消すべく、実際に販売店で実車を見ながらチェックポイントを解説。これを参考に、気になる車に会いに行こう!
 

三菱 パジェロミニ ▲今回見てきたのは2013年式の三菱 パジェロミニ(初代)。スズキ ジムニーと人気を二分してきたモデル

長く乗れる頑丈な車だがオイル関係のチェックは必須

同サイズのジムニーと比較されることが多いパジェロミニ。でも同じようなコンディションならパジェロミニの方が2~3割ほど安い。

さらに2代目は4気筒エンジンのため、パワフルで静かという点もオススメだと教えてくれたのは、これまで多くのパジェロミニを販売してきた小宮店長。

こうした特性から日常使いのセカンドカーとしての需要が高く、SUVブームも相まって隠れた人気車種となっているようだ。

「2008年9月以降の後期型は、内装の質感が向上し、フロントデザインも一新されました。人気があり店頭に出すとすぐ売れてしまいます。走行距離が5万㎞以上の物件でも、エンジン類のトラブルなどはほとんど聞かないこともオススメの理由ですね」

ただそれはエンジンオイルの交換など、基本的なメンテナンスがされていた物件に限ってのこと。

人気車種だが、焦って失敗はしたくない。そこで安心して乗れるパジェロミニの見極め方を聞いてきた。
 

三菱 パジェロミニ

今回見た車

三菱 パジェロミニ

2008年9月のマイナーチェンジで、フロントマスクがそれまで以上にパジェロに似たデザインになり、より力強い印象が増した。約900台ある流通量のうち、後期型は3割程度
●本体価格/89.4万円(税込)
●年式/2013年式
●走行距離/4.4万km
●修復歴/なし
●乗車人数/4人
●エンジン/660cc ガソリン
※2019年11月28日時点の情報

CHECK POINT 1
タイミングベルト付近のオイルのにじみ方をチェック

基本的にエンジン関係のトラブルは少ない。

しかし、エンジンオイルの管理が行き届いていなかった物件はエンジンの前部、タイミングベルトカバーの周辺からオイルが漏れ出す場合があるとのこと。

オイルシールの交換で対応できるが、その場合はタイミングベルトの脱着も必要になるため、意外と工賃がかさむ。

また、タイミングベルトの交換歴があってもオイルシールを交換していない車両は要注意だ。
 

三菱 パジェロミニ ▲赤丸の部分がタイミングベルトカバー。オイル漏れがないかチェックしよう

CHECK POINT 2
エンジンをかけてみて音と排気の出方を確認しよう

定期的にオイル交換をしていないと、燃焼室内にエンジンオイルが入り込み、マフラーから白煙を噴くようになる。

気温が低いと水蒸気なのか、オイルが含まれた異常な状態なのか判断しにくいが、比重の関係で水蒸気が上昇するのに対し、オイルの煙は下に落ちる。

また、エンジン音に「キュルキュル」という異音がする場合は、不調のサインと考えられるので、物件確認の際はエンジンをかけ、目と耳で確認しよう。
 

三菱 パジェロミニ ▲マフラーから出る煙の向きに要注目だ

CHECK POINT 3
タイヤハウス周辺のサビ具合をチェックする

悪路走破性が高い車なので、オフロードや降雪地域で乗られていた可能性もある。

手入れのされ方によっては、サビが発生している場合がある。特にリアのフェンダー部分は泥や汚れが蓄積し、裏側から腐食してしまっていることも。

特に外から見て塗装の浮きがあるようだと、裏側から腐食が進行している可能性が高い。

腐食の修理は費用がかさむので、塗装が浮くほどのサビが発生している物件は避けたい。
 

三菱 パジェロミニ ▲特にフェンダーの折り返し部分にはゴミがたまりやすくサビやすい

CHECK POINT 4
運転席の右側座面部分のへたり具合は軽く押して確認

コンパクトカーやセダンよりもシート位置が高いため乗車時にはお尻でシートを押すような体勢になりがち。

座面の右側側面のヘタリは見るだけではわからないため、シート逆側の同じ位置を触ってみて硬さを比較確認したい。

また乗り込む際、足を持ち上げるような姿勢になるため、サイドシル部分に靴が当たることで小キズがついている場合も。大抵はコンパウンドで消えるが、念のため助手席側の状態も確認しておこう。
 

三菱 パジェロミニ ▲乗り降りで負荷がかかるこの部分はヘタリやすい
小宮翔太さん

取材協力

OZ MOTORLING レイクタウン本店 小宮翔太さん

イオンレイクタウンmoriすぐ隣の中古車店。軽自動車はもちろん、国産ミニバン・SUVさらに外車もラインナップ。小宮翔太さんはこれまで多くのパジェロミニを仕入れ、販売してきた目利き。

住所:埼玉県越谷市東町2-30-1
電話:048-989-3337

販売店がよく受ける質問ベスト3

★第3位
オフロードでハードに使われてた物件の特徴は?

小宮翔太さん
小宮翔太さん

車高が高いので、下回りをのぞき込んでもらえればある程度判断できます。キズやサビ、凹みが目立つ車両はその可能性がありますが、ジムニーに比べるとそういった個体は圧倒的に少ないです。

★第2位
日常使いで乗り心地が悪くないか心配です

小宮翔太さん
小宮翔太さん

静かな4気筒エンジンが搭載されているうえに、後期型は乗り心地が向上しています。個人的には最近のトール系の軽自動車と比べても差はありません。そのため普段使い用に購入される方も多いですね。

★第1位
リフトアップの改造を施すことはできますか?

小宮翔太さん
小宮翔太さん

ジムニーのようにハードにカスタムをするイメージが少ない車両かもしれませんが、実はアフターパーツは豊富でリフトアップすることも可能です。自分好みにカスタムできるのも魅力のひとつです。

文/小鮒康一(フナタン)、写真/稲葉 真

※雑誌版カーセンサー 2020年2月号(2019年12月20日発売)の記事「気になるクルマに会いに行こう」をWEB用に再構成して掲載しています。

小鮒康一(こぶなこういち)

訪問した人

小鮒康一(フナタン)

スキマ産業系自動車ライター。元大手自動車関連企業から急転直下でフリーランスライターに。中古車販売店勤務経験もあり、実用車からマニアックな車両まで広く浅く網羅。プライベートはマイナー旧車道一直線かと思ったら、いきなり電気自動車を買ってしまう暴挙に出る。愛車は日産 リーフ、初代パルサー、NAロードスター。