ランドローバー ディスカバリースポーツ▲長寿番組『笑っていいとも!』が終わり、STAP細胞騒動が起こった2014年。この年、最も売れたSUVはホンダ ヴェゼルだ

日本で取り回ししやすい全長4600mm前後の4モデル

中古車を選ぶ際、当然選択肢が多いときに探した方が自分にピッタリの1台を見つけやすい。

では欲しい中古車が多いときって、どんなときだろう?

愛車を手放す立場から考えると、まとまったお金が必要になる車検を前に、「そろそろ手放そうか」と考える人が多い。

また新車を買う場合、販売台数を見れば明らかだが、デビューした年が最も売れる。

つまり、新車で買った人が車検を前に手放すときが、最も中古車が増える時期だと言えるだろう。

となれば、デビューした年に購入された車が、初回の車検を迎える3年後、以降2年おきの5年後、7年後……がひとつの目安になる。

一方、中古車を探す側としては、なるべく高品質の中古車を安く買いたいと思うはず。

3年後ではまだ価格は高めだが、7年後になると傷や走行距離の心配が増える。

そこで、今回ベストバランスとしてオススメしたいのが5年落ち物件だ。しかも5年落ちならば、現行型であることも多い。

では今から5年前、2014年にデビューした車は何か?

たくさんの車が登場した2014年の中から、今回はSUVを紹介しよう。

いずれも全長4600mm前後だが、荷物をタップリ載せられて、日本の道路でも取り回ししやすいサイズ感のSUVと言える。

とはいえ、ほぼ同じサイズだけどそれぞれ個性のあるSUVのため、予算だけでなく自分が何を求めるのかも考えて選んで見てほしい。

バリエーションが豊富で用途に応じて選びやすい
レクサス NX(現行型)

レクサス NX▲ストップ&ゴー機能付き全車速追従クルーズコントロールはもちろん、ロー/ハイビーム自動切り替えヘッドライト、交差点で曲がる際に曲がる先を照らすLEDコーナリングランプなど先進機能がたっぷり用意されている
レクサス NX▲センターコンソールにスマホを置くだけで充電できる機能や、カラーヘッドアップディスプレイなどが用意された。また、後席はラゲージ内からもスイッチで格納できる電動リクライニング&電動格納機能が設定された

北米を中心に世界展開を図るブランドとして誕生したレクサス。

その中において、「コンパクトSUV」として登場したのがNXだ。

アメリカ市場ではコンパクトだが、トヨタ ハリアーと同じプラットフォームを使っているだけに、日本の道では十分な大きさと言えよう。

ちなみにレクサスには、後にさらにコンパクトなSUVのUXが追加されている。

2014年7月デビュー時のラインナップは、2Lターボエンジン×6速ATの200tと、2.5Lエンジン+モーターのハイブリッドシステムを積んだ300h。

2Lターボエンジンは2017年にハリアーにも搭載されるが、当時はNXで初めて投入されたエンジンだ。ハイブリッドはカムリと同様のシステム。

各グレードともFFと4WDが用意されている。200tの4WDは通常はFFで、路面や走行状況に応じて前後100:0~50:50の間でトルク配分をコントロールするシステム。

一方、300hはフロントとリアそれぞれのモーターを制御する電気式AWDシステムを搭載している他、車両の揺れをセンシングして車体の揺れを制御する機能も備えている。

街乗りがほとんどなら200t、悪路での乗り心地を重視するなら300hの方がオススメだ。

デビュー時の車両本体価格は200tが428万円~、300hは492万円~。

走行距離7万km以上の2WD車なら300hでも支払総額300万円以下から狙える。ウインタースポーツなどを楽しみたい人には、支払総額350万円前後の4WD車がオススメだ。

▼検索条件

レクサス NX(現行型)×2014~2015年式×全国

ポルシェが作ったSUVルックのスポーツカー
ポルシェ マカン(現行型)

ポルシェ マカン▲フロント235/60R18、リア255/55R18と前後でサイズの異なる足回りがマカンの特徴。サスペンションのダンピングを変更できるポルシェアクティブサスペンションマネージメント(PASM)や、後輪の左右のトルク配分を可変するポルシェトルクベクタリングプラス(PTV plus)など多彩なオプションが用意されている
ポルシェ マカン▲スイッチがずらりと並んだセンターコンソールをはじめ、他のポルシェのモデルと共通するインテリアデザイン。ラゲージ容量は通常時で500L、後席を倒すと1500L

ポルシェが作ればSUVもスポーツカーになるのはカイエンで実証済みだが、カイエンよりもコンパクトなマカンでもそれは変わらない。

同じグループのアウディ Q5(FFベースの4WD)のプラットフォームを使いながら、ポルシェ独自の技術をたっぷりと投入し、FRスポーツカーのような振る舞いまで見せてくれる。

2014年4月に登場した時点で用意されたのは、最高出力237psの2Lターボを搭載する素のマカンと、同340psの3L V6ツインターボを搭載するS、そして同400psの3L V6ツインターボを搭載するターボの3グレード。いずれも7速AT(PDK)×4WDが組み合わされる。

4WDシステムは基本後輪にトルクを配分しつつ、前輪にも常時少し駆動力を与え、走行状況に応じてその駆動配分を瞬時に変化させる。

SUVゆえオフロードはもちろんだが、オンロードでは特にポルシェとしてのスポーツカーらしい走行性能も実現してくれる。

「荷物も人もたくさん載せられるポルシェが欲しい。けれど街中で取り回しにくいのは困る」という人にピッタリな“スポーツカー”だ。

デビュー時の車両本体価格は素のマカンが616万円、Sが719万円、ターボが997万円。

さすがに人気車種だけあって、走行距離5万km以内なら支払総額は素のマカンでも500万円以上、ターボは600万円以上となる。

ただし、“素”でも十分“ポルシェのスポーツカー”なので、あとはオプションの有無を確かめながら検討しよう。

▼検索条件

ポルシェ マカン(現行型)×2014~2015年式×全国

本格的なアウトドアライフを楽しめる
ランドローバー ディスカバリースポーツ(現行型)

ランドローバー ディスカバリースポーツ▲ディスカバリーが兄貴だとひと目で分かるデザイン&サイズ感。ディスカバリーの弟分、と言っても全長は初代“ディスコ”よりちょっぴり、50mm長い。ディスコの愛称を受け継ぐのはこのディスカバリースポーツだと言っていいかもしれない
ランドローバー ディスカバリースポーツ▲シフトがノブではなく当時のジャガー同様ダイヤル式(2020年モデルから普通のシフトノブに)。オプションで3列7人乗りを選ぶことも可能だ。ラゲージ容量は通常時で981L、2列目を倒すと1698Lとたっぷりある

ディスカバリーといえば、かつてはレンジローバーほど高級ではなく、ディフェンダーほど硬派でもなく、アウトドアを楽しみたい幅広い層に人気を得たモデル。

「ディスコ」という愛称がピッタリな、どちらかというと庶民派だった。しかし時代の流れとともに高性能化&高級化。現行型では1000万円超のグレードもあるほどに成長した。

その弟分として2014年に登場したのが、ディスカバリースポーツだ。

以前同社で販売されていたコンパクトなモデル、フリーランダーを受け継ぐモデルでもある。

最高出力240psを発揮する2Lターボに9速ATが組み合わされ、オンロード性能は高い。もちろん全車4WDで、走行モードを「オンロード」「草地/砂利/雪」「泥/轍」「砂地」の4モードから選べるテレインレスポンスを標準装備。

さらに渡河深度は600mmだし、荒れた路面の下り坂を一定速度で下るヒル・ディセント・コントールも全車標準装備するなど、ディスカバリーの名を冠されるだけあって今回紹介する4モデル中、最もオフロード性能が高い。

山奥の河原でキャンプなど、悪路をいとわずガンガン進みたいという人にはピッタリだ。

デビュー時の車両本体価格はSEが492万円、HSEが582万円、HSEラグジュアリーが692万円。

走行距離5万km超なら支払総額約300万円から狙える。

▼検索条件

ランドローバー ディスカバリースポーツ(現行型)×2014~2015年式×全国

カクカクにこだわらないならお買い得なモデル
ジープ チェロキー(現行型)

ジープ チェロキー▲4WD車は走行状況に応じて自動に2WD/4WDを切り替えて燃費向上を図る。ストップ&ゴー機能付きのアダプティブクルーズコントロールを全車に標準装備する他、各種安全装備を組みあわせたセーフティパッケージがオプションで用意された
ジープ チェロキー▲ナビ機能8.4インチのタッチパネルが標準装備。4WD車にはメーターパネル内にマルチインフォメーションディスプレイが備わる。助手席の座面下にも収納スペースがある

日本でチェロキーといえば、かつてのカクカクした無骨なスタイルが今でも人気が高い。

だからこの現行型のスタイルに拒否反応をもつ人もいるだろうが、そんな昔の話にとらわれない層なら、スタイリッシュに生まれ変わったチェロキーを受け入れやすいのではないだろうか。実際、本国アメリカではヒットしている。

スタイリッシュになっただけではない。イタリアのフィアット・グループと手を結んだことで、颯爽な走りの性能を手に入れることができた。

何しろ、アルファロメオ ジュリエッタと同じプラットフォームを使用。オンロード性能は格段に向上している。エンジンは2.4Lの直4と3.2LのV6。いずれも9速ATが組み合わされる。

一方で「ジープ」の名にふさわしく、爆弾で出来た凸凹があるような泥濘地でも突っ走れるオフロード性能も備わる(4WD車はスノー/サンド・マッド/ロックなど走行モードが選べる他、トレイルホークにジープアクティブドライブロックが、リミテッドにジープアクティブドライブIIが標準装備される)。

一方で2WD車もあるので、街乗り中心か、悪路や雪道をガンガン走りたいかでグレードを選んだ方がいいだろう。

デビュー時の車両本体価格は2.4Lの2WD車(ロンジチュード)が379万800円、3.2Lの4WD車のトレイルホークが429万8400円、リミテッドが461万1600円。

走行距離5万km超なら、新車時の半額以下となる支払総額200万円以下から狙うことができる。

▼検索条件

ジープ チェロキー(現行型)×2014~2015年式×全国
文/ぴえいる、写真/トヨタ、ポルシェ、ランドローバー、FCA

ぴえいる

ライター

ぴえいる

『カーセンサー』編集部を経てフリーに。車関連の他、住宅系や人物・企業紹介など何でも書く雑食系ライター。現在の愛車はルノーのアヴァンタイムと、フィアット パンダを電気自動車化した『でんきパンダ』。大学の5年生の時に「先輩ってなんとなくピエールって感じがする」と新入生に言われ、いつの間にかひらがなの『ぴえいる』に経年劣化した。