アウディ A1▲魅力的な車にいち早く乗りたいという人の方が多いため、新車の販売台数は初期型に偏りがち。しかし、中古車を購入するなら「早く買わなきゃ」と初期型を選ぶ必要は薄れる

国産車と比べ輸入車は改良が頻繁に行われる

「もっとこうすればよかった……。」と思うことは誰にでもよくあることだ。

実際「もしタイムマシンに乗れるなら、過去と未来のどちらに行きたい?」と尋ねると、たいていのアンケート調査では半数以上が「過去」と答えるという。

もちろんタイムマシンはないから、過去をやり直すことはできない。

でも、車の場合ならマイナーチェンジや一部改良などで「こうすればよかった」ことを解決するできる。

それでも、例えばコスト面や技術的課題によって改良を施せないとなったら、国産車ではフルモデルチェンジで解消するのが一般的。

しかし、輸入車の場合は違う。ある意味往生際が悪く、マイナーチェンジとは思えないような大幅な改良を加えることまであるのだ。

一例を挙げれば、メルセデス・ベンツ Cクラス(旧型)は2011年のマイナーチェンジで、約2000ヵ所以上の改良を施している。

さらには、改良内容を発表するプレスリリースすら出さず、ひっそりと一部のパーツを変えていたりすることもある。

改良=良く改めること。それの何が悪い? と言わんばかりだ。

だから車好きの中には、「輸入車を買うなら最終型」と考える人も少なくない。

熟成極まった最終型は、使い勝手も乗り心地も、走りも得てしてグッと向上していること多いからだ。

そこで今回は、2019年にフルモデルチェンジを迎え、旧型になったばかりの輸入車に絞り、その中でも最終改良型を紹介したいと思う。

中でも、支払総額300万円以下から狙える車に絞り込んだ。

旧型となったことで価格的なうま味は増しているが、性能はまだまだ一級品であること間違いなしのモデルばかり。

メーカーが何度も繰り返し改良を続けてきた「熟成最終モデル」を選んで、その魅力を存分に味わってみてほしい。

安全装備が充実、新世代エンジンも投入された
BMW 1シリーズ(2代目・2017年8月以降モデル)

BMW 1シリーズ▲販売終了まで1年を切った2018年9月には、ダコタレザーなど特別装備が奢られた特別仕様車「Mスポーツエディションシャドー」や」「ファッショニスタ」が追加された

FR最後の1シリーズというだけで魅力的だが、中でもその最終形はBMWがこのサイズで求めた走りの楽しさを最大限に表した1台と言えそうだ。

2011年に登場したF20型1シリーズは、2019年7月まで約8年間販売された。2015年5月のマイナーチェンジでは外観のリファインと、全車に衝突被害軽減ブレーキが標準装備された。

最終改良は2017年8月。プレスリリースではインテリアデザインの変更と、ディスプレイがタッチパネルになったと記載されている。

そして、詳細こそ書かれていないが「スポーティな運動性能を実現」との記載があるため、動力性能面においても改良が加えられていると見て良い。

2017年8月時点のラインナップは、2015年8月に新しい3気筒1.5Lターボへと変わった118iと、2016年5月に新世代2Lディーゼルターボに変わった118d、同じく2016年11月に新世代2Lターボに変わった120i、2016年9月最高出力340ps/最大トルク500N・mまで高められた直6の3Lターボを搭載するM140iとなる。

いずれも、2015年5月のマイナーチェンジ後に一新されたエンジンを搭載しているのが特徴だ。

2017年8月時点の新車時車両本体価格は317万~618万円。

中古車であれば、2017年式の118iや118dを中心に、支払総額200万円以下から十分に狙える。

▼検索条件

BMW 1シリーズ(2代目)×2017年8月以降モデル×総額300万円以下×全国

足回りとステアリングの改良が図られた
BMW 3シリーズ(F30型・2017年8月以降モデル)

BMW 3シリーズ▲全長4625mmは2代目5シリーズ(E28型)とほぼ同じまでに成長した。ちなみに現行型(G20型)の全幅は1825mmと、ついに日本の駐車事情が考慮されなくなった

旧々型(E90型)に対しホイールベースが50mm、全長は100mmも伸びた旧型3シリーズ(F30型)。

ただし、全幅は海外仕様が1811mmなのに対し、日本仕様は旧々型(E90型)同様、日本の一般的な機械式立体駐車場に対応するため日本専用のドアハンドルにすることで1800mmにとどめられた。

2015年8月のマイナーチェンジでサスペンションとハンドリング特性が見直され、より「駆け抜ける歓び」が向上している。同時に衝突被害軽減ブレーキが全車に標準装備となった。

最終改良は2017年8月。これからのCASE(Connected・Autonomous・Shared・Electric)時代に対応すべく、BMWコネクテッド・ドライブが全車に標準装備され、スマートフォンでドアを施解錠できたり、広い駐車場でもスマホで駐車位置を特定できるなど便利になった。

2017年8月時点のラインナップは2016年に追加された1.5Lターボ搭載の318i、2016年5月に新世代ディーゼルターボを搭載した320d、2016年に追加されたPHEVの330e iPerfomance、2015年8月に新開発の6気筒ターボを搭載した340i、その他に2Lターボの320iと、その4WD車である320i xDriveがある。

2017年8月時点の新車時車両本体価格は419万~832万円。

2017年式の318iなら支払総額200万円前半から、318dは300万円以内から、320iは約300万円から、330iは300万円前半から狙える。

▼検索条件

BMW 3シリーズセダン(F30型)×2017年8月以降モデル×総額300万円以下×全国

新1Lエンジンが搭載され、ステアリング機構も一新された
アウディ A1/A1スポーツバック(初代・2015年6月以降)

アウディ A1スポーツバック▲フロントグリルやヘッドライトの変更で全長が従来より20mm長い3980mmに。オプションでA1はルーフアーチを、A1スポーツバックはルーフドームをコントラストカラーにすることができた(写真はA1スポーツバック)

アウディのエントリーモデルとして2011年に登場した3ドアのA1と、5ドアのA1スポーツバック。

フォルクスワーゲン ポロと多くの部品を共有しているが、ポロより上級、つまりアウディらしい内外装が施されたコンパクトカーだ。

大きな変更が行われたのは2015年6月のマイナーチェンジ。

同社初の1L3気筒ターボエンジンを搭載する1.0 TFSIが新たに追加されたが、これは2018年にフルモデルチェンジしたポロにも積まれた、現役バリバリのエンジンだ。最高出力は95ps、最大トルク160N・mを発揮する。

また、気筒休止システムを備えている従来の1.4L4気筒ターボも、高出力が140psから150psへと高められた。

同時に、電動パワーステアリングも速度が上がるとアシスト量が弱まる新システムに一新され、1.4Lターボ搭載車には走行モードを選べるアウディドライブセレクトが標準装備されている。

その他、新グレード「スポーツ」も設定された。スポーツサスペンションを備え、引き締まった乗り心地と快適性を両立させるようチューニングされている。

2015年5月のマイナーチェンジ時点での新車時車両本体価格は249万~349万円。

中古車だと、A1/A1スポーツバックいずれも支払総額200万円以内から狙える。

A1は台数が少ないが、現状3ドアとしてはこれが最後のモデルになっているだけに、今後希少価値が高まるかもしれない!?

▼検索条件

アウディ A1/A1スポーツバック(初代)×2015年6月以降×総額300万円以下×全国

ライバルに対抗すべく室内が広くなり、4WDも追加された
メルセデス・ベンツ Bクラス(2代目・2015年1月以降モデル)

メルセデス・ベンツ Cクラス▲衝突被害軽減ブレーキはマイナーチェンジ前から全車標準装備だが、オプションで渋滞時に停止・再発進できるディストロニックプラスを含むレーダーセーフティパッケージが設定された

同じプラットフォームのAクラスより、約1年早い2012年にデビューした2代目Bクラス。

他のライバルよりも広い室内がウリのコンパクトカーだったが、BMWが同様に広さを売りにした2シリーズ アクティブツアラーを投入すると(日本導入は2014年)、追従するように2015年1月にマイナーチェンジを行って、できるだけ室内空間を広げた。

全高は1540mmから1545mmとなり、プレスリリースでは「Eクラス以上の広々としたヘッドクリアランスと、レッグスペース」をうたっている。また、ラゲージ容量は通常時は486Lから488Lにわずかながら拡大した。


他にもボタン操作だけでエンジンが始動するキーレスゴーや、Wi-Fiテザリング機能が追加され、ディスプレイが7インチから8インチに大型化されている。

また、ドライバーの疲労や眠気を検知して注意を促すアテンションアシストの表示も細分化され、使い勝手が高められている。

同時に、2Lターボ+4WDのB250 4MATICスポーツが新たに追加された。

2015年1月のマイナーチェンジ時点の新車時車両本体価格は307万~490万円。

中古車なら、2016年式のB180を中心に支払総額200万円以下から狙える。

▼検索条件

メルセデス・ベンツ Bクラス(2代目)×2015年1月以降モデル×総額300万円以下×全国

新しいエンジンが出るたびに惜しみなく投入された
ボルボ S60(2代目・2016年2月以降モデル)

ボルボ S60▲内外装デザインが一新されたのは2014年モデルから。フレームレスになったフロントグリルは大型&ワイド化され、中央に配されるアイアンマークも大型化された。インテリアではシフトノブデザインが変更され、ステアリングホイールヒーターが設定された

4ドアクーペと称した初代S60に続き、流麗なフォルムをまとい2012年に登場した2代目S60。

当初は1.6Lターボの「T4」と3L車の「T6」でスタートしたが、2014年2月に2Lターボの「T5」、2015年7月に2Lディーゼルターボの「D4」、2016年2月に2Lターボ&スーパーチャージャーの「T6」と1.5Lターボの「T3」が追加されるなど、エンジンバリエーションが目まぐるしく変わっていった。

2016年2月マイナーチェンジ時点のラインナップを整理しておくと、1.5LターボのT3、2LディーゼルターボのD4、2LターボのT5、2Lターボ&スーパーチャージャーのT6、さらに同年8月からT6のエンジンをチューンしたポールスターが用意された。

組み合わされるミッションはT3が6速AT、それ以外は8速ATだ。なおT6とポールスターは4WDとなる。

当初から衝突被害軽減ブレーキを標準装備していたが、2015年モデル以降は全10種類の安全装備・運転支援機能を備えた「インテリセーフ・テン」が全車に標準装備されているのも魅力だ。同時にETC車載器も全車標準になっている。

2016年時点の車両本体価格は434万~614万円、ポールスターは839万円。

中古車なら2017年式のディーゼルのD4や、1.5LのT3が支払総額200万円台前半から狙える。

▼検索条件

ボルボ S60(2代目)×2016年2月以降モデル×総額300万円以下×全国
文/ぴえいる、写真/BMW、アウディ、ダイムラー、ボルボ

ぴえいる

ライター

ぴえいる

『カーセンサー』編集部を経てフリーに。車関連の他、住宅系や人物・企業紹介など何でも書く雑食系ライター。現在の愛車はルノーのアヴァンタイムと、フィアット パンダを電気自動車化した『でんきパンダ』。大学の5年生の時に「先輩ってなんとなくピエールって感じがする」と新入生に言われ、いつの間にかひらがなの『ぴえいる』に経年劣化した。