日産 シルビア ヴァリエッタ ▲今回、紹介するのは2000年7月に登場した日産 シルビアヴァリエッタ

リトラクタブルルーフ搭載の「日産 シルビアヴァリエッタ(絶版)」

37年間、7世代にわたって日産のFRスペシャリティカーとして愛されたシルビアは、2002年に絶版となった。

そんなシルビアには2世代だけ、オープンモデルが投入された過去がある。

今回、注目するのは7代目シルビアにおいて2000年に投入されたオープンモデル、シルビアヴァリエッタだ。

シルビアヴァリエッタ最大の特徴は、フルオープンタイプの電動メタルルーフを装備していたことだ。

電動メタルルーフはいわゆる「リトラクタブルルーフ」と呼ばれるもので、クーペとオープンの両方を味わえるもの。

リトラクタブルルーフ採用の車としてシルビアヴァリエッタは「国産車初」と記されるときもあるが、 実は1995年に三菱 GTOがアメリカでフルオープンタイプのリトラクタブルルーフモデルを投入していた事実がある。

また、フルオープンタイプではないものの、1989年にトヨタ ソアラにリトラクタブルルーフモデルの「エアロキャビン」が限定車として投入されていた。

リトラクタブルルーフをひもとくと歴史は長く……、なんと1934年にはランチアが市販車として最初のリトラクタブルルーフを投入していた。

この話は長くなるのでここでは割愛するが、いつか取り上げてみたいと思う。
 

日産 シルビア ヴァリエッタ ▲ヴァリエッタの最大の魅力、「リトラクタブルルーフ(ヴァリアブルメタルルーフ)」

「モルフォトーンクロスシート」には特に注目!

シルビアヴァリエッタは最高出力165ps(AT車は160ps)の2L直4エンジンのみがラインアップされ、トランスミッションは5速MTか4速ATが選べた。

また車両重量は1330㎏あり、165psの馬力ではパワー不足感が否めなかった。

そのせいか、中古車市場ではターボチャージャーを取り付けたもの、エンジンを載せ替えたものもチラホラ見受けられる。

シルビア クーペに設定されていたターボエンジンをどうして搭載しなかったのかは定かではないが、速く走らせて楽しむ車ではないということだったのかもしれない。

気になる屋根の開閉は、室内に設置されたロックを手動で解除しインストルメントパネルに用意された開閉ボタンを押すだけである。

開閉に要する時間は約20秒だ。

インテリアには本革シートがオプションで用意されていたのだが、注目すべきは標準装備されている「モルフォトーンクロスシート」という布地シートだった。

これは、南米アマゾンに生息する「モルフォ蝶」の鱗粉の発色原理を用いた繊維「モルフォテックス」を織り込んだものが、世界で初めて採用されたのである。
 

日産 シルビア ヴァリエッタ ▲モルフォテックスの発色原理は、繊維が光の干渉により発色するもので、濁りのない澄んだ色が得られ、見る方向によって光の干渉度が変わり、シートの色調が変化するものだった
日産 シルビア ヴァリエッタ ▲オプションで設定された本革シート

生産台数約1120台のため掲載台数は10台未満!

中古車相場に目を向けてみると、とにかく販売台数が少ない。

というのも、シルビアヴァリエッタは1120台ほどしか生産されておらず、なかなか手放す人がいないようだ。

走行距離が多く修復歴があるものもあるが、安いものは100万円前後で狙える。

ひとつの目安として10万㎞未満か否か、が大きなポイントになっていそうな中古車相場だ。

シルビアヴァリエッタの新車時価格は279万8000円からだった。

絶版となってから18年が経過しようとしてるにも関わらず、平均中古車相場は128万円と思いのほか高めに推移している。

今後、程度の良いものは値上がりする可能性を秘めているのかもしれない。

ちょっとでも気になった方は、中古車物件をチェックしてみてほしい!
 

日産 シルビア ヴァリエッタ
日産 シルビア ヴァリエッタ
文/古賀貴司(自動車王国)、写真/日産

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日産 シルビアヴァリエッタ(2000年7月~2001年12月生産モデル)×全国
古賀貴司(こがたかし)

自動車ライター

古賀貴司(自動車王国)

自動車ニュースサイト「自動車王国」を主宰するも、ほとんど更新せずツイッターにいそしんでいる。大学卒業後、都銀に就職するが、車好きが講じて編集プロダクションへ転職。カーセンサー編集部員として約10年を過ごし、現在はフリーランスのライター/翻訳家として活動している。