アバントの陰に隠れていた、絶滅危惧車のアウディ RS6セダンをチェックせよ!
2019/05/26
0→100㎞/h加速4.7秒の超ハイパフォーマンスセダン
アウディ RSシリーズはアウディ最強のスポーツモデルとして、子会社であるクワトロ社(現在、アウディ・スポーツ社)が手がけている。「RS」はドイツ語でRenn Sportの略で、「レーシング・スポーツ」を意味する。
今となっては信じられないが1990年代初頭、ポルシェは経営難に陥っていた。ポルシェを救うべくメルセデス・ベンツが、ポルシェに“仕事”(チューニングおよび生産)を発注して1991年には500E(Eクラスベース)が生まれ、1994年にはアウディからはRS2(80アバントベース)が生まれた。
「RS」の名が再び登場したのは、2000年に投入されたRS4アバントからだった。RS2と同じコンパクトステーションワゴンのRSモデルとあって、エンスーから羨望のまなざしを集めた。それ以後、アウディはライバル同様、様々なモデルでRSシリーズを展開していった。
そして、今回注目したのが、A6がベースになったRS6のセダン(最新のRS6はステーションワゴンのみの設定)。
旧型となる2代目RS6はもう二度とお目にかかれないような、化け物パワーユニットを搭載していた。これはS8、S6、R8、ランボルギーニ ガヤルドなどが搭載していた5L V10自然吸気エンジンがベースでツインターボ化をはじめ、RS6専用パーツを400点も採用していた。
昨今、ハイパワーモデルでも押し寄せる、小排気量・高効率エンジンの波に、5L V10ツインターボは希少な存在。しかし、気づけばカーセンサーnetには同エンジンを積んだRS6は、ステーションワゴンしかない……。
さらに検索を進めると、旧々型の初代モデルのセダンは現行執筆時点(5月20日)、かろうじて3台が掲載されていた。
初代モデルは2002年に投入され、同時期のA8が搭載していた4.2L V8エンジンをツインターボ化したもの。エンジンのチューニングにはコスワース(現在、マーレ・パワートレイン社)がかかわっていた、と聞くだけでもゾクゾクする。
最高出力は450psで0→100㎞/h加速は4.7秒、と当時のセダンでは超高性能ぶりを発揮していた。ハイパフォーマンス・セダンはFR、というのが一般的だった当時、RS6のみが4WDを採用していた。
そんなRS6の制動力も強烈で、100㎞/h→0㎞/hは2.6秒だった。早い話、同時期のポルシェターボと同じような加速・減速性能がセダンで実現されていたということだ。
フロントには4リンク独立懸架式、リアにはダブルウィッシュボーンというサスペンション形式こそベースモデルであるA6と一緒だが、スプリングレートは30%、ダンパーのコンプレッションは40%引き締められていた。
また、アウディのDRC(ダイナミック・ライド・コントロール)という機構が初採用されたのも、RS6からだった。これは車の走行状態を常にモニターすることで、必要に応じて各ダンパーの減衰力を可変させるもの。加速時、減速時、コーナリング時のロールやピッチを最適化させる優れものだった。
車高はA6よりも20㎜下げられていたが、なによりも特筆すべきはワイド・トレッドとなっていたことだろう。A6がスラっとしたデザインだったのに対し、オーバーフェンダーが筋肉質なイメージをRS6に与えた。直接的なライバルであるAMGのE55、BMWのM5よりも控えめなのに、強烈なインパクトがあった。
そんなRS6も今では200万円ほどで狙えるのは、吉報ではないか? しかも気づけば旧型RS6はカーセンサーnetに掲載されていないくらいだから、旧々型RS6が姿を消す日も近いかもしれない。
RS6にセダンがラインナップされなくなってから、急にセダンへの需要が高まったのだろうか……。
少しでも興味を持たれた方は、中古車物件をチェックしてみてほしい!
▼検索条件
アウディ RS6(初代)×全国自動車ライター
古賀貴司(自動車王国)
自動車ニュースサイト「自動車王国」を主宰するも、ほとんど更新せずツイッターにいそしんでいる。大学卒業後、都銀に就職するが、車好きが講じて編集プロダクションへ転職。カーセンサー編集部員として約10年を過ごし、現在はフリーランスのライター/翻訳家として活動している。
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